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ルナ姫の受難  作者: 東吉
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7

 「いったい、どういうことっ!?」

 私は、ライラと名乗った魔女に詰め寄る。

 返答次第では、息の根を止めてやる! 


 「く、苦しい……首、締めすぎ……」

 これでは、話もできないか……少しだけ手を緩める。

 「それで、どういうことなの?」

 「私のせいじゃないわよぉ! これはきっと、審判よ」


 「……はっ?」

 「だからぁ、貴女を審査するって、言っているでしょ!」


 「どうして、私が審査を受けなければならないの? 意味がわからない!」

 「そんなこと、私だって知らないわよ! ただ、私は、言われたことをしているだけ! ちょっと、アリ! 貴方ねぇ、ご主人様が危ない目に遭っているんだから、助けるとか何とかしなさいよねっ! 全くもう、使えないんだから!」

 私がライラから手を引くと、彼女は服の埃を取るようにパタパタと払う動作をしながら、従者に向かって小言を言い始めた。


 「……必要ない」

 ライラの言を最後まで聞いた後に放った彼の言葉は、呆気ないほど一言だけだった。

 それに対しライラは、その言葉にも反応し、


 「キーーッ! 必要ないですって? どういうことよっ!」

 「……殺気がなかった」

 「だからってねぇ…………」


 延々と続きそうな会話を打ち切るべく声をかける。

 「とにかく私は、ミーナを助けに行く。それが、審判だというなら、受けて立つ!」

 

 一瞬、私の周りに風が立ち、風の精霊の祝福を受ける。


 「どうしたの、二人とも? 口が開いているわよ?」

 「べ、別に、あんたなんかに、見惚れていたわけじゃないわよ! 大体、私の方が綺麗だしっ!」

 「…………?」


 「いいのよっ、わからなくても! ほらっ、小娘を助けに行くんでしょ! 仕方がないから、私もついて行ってあげるわよ」


 ライラの頬が、ほんのりと赤くなっているのが気にならなくもないが、一人でミーナを助けに行くよりも、同行者がいるのには、心強い。


 ミーナ、待っていて。

 必ず、助けに行くから。



 **********

 

 (閑話)


 「殿下、呆けてないで、ちゃっちゃと仕事して下さいね! はい、次は、これです」

 ドサドサッと目の前に書類が積まれる。


 「おいっ! まだあるのか!?」

 「仕方ないじゃありませんか。殿下がかの国の王女様に振られてしまって、王様と王妃様が傷心旅行に行かれてしまったのですから」

 「はぁ!? あれは、傷心旅行じゃない! というか、何で、俺が振られて、本人が行くんじゃなくて、両親の傷心旅行なんだ? それに、俺は振られてないっ!」

 「まあまあ、いいじゃないですか、そんなことどうでも! それに、どちらにしても王様と王妃さまの仕事の穴埋めは、誰かがしないといけないのですから。その穴埋めは、必然的に殿下がされるしかないのです!」


 俺は、ルナを探しに行きたいのに……。


 ルナ……見つけた時には覚悟しておけよ!



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