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「ルナ様、お身体は大丈夫なの?」
「はい、もうすっかり大丈夫です。ご心配をおかけして申し訳ありません」
王妃様の問いかけに対し、答えながら、食卓へ一緒についている、陛下と殿下へもお詫びの礼をする。
殿下へ顔を向けると、反射的に頬が熱く感じられたが、抑えることなどできない。
今日の殿下は、この間と違い、ちゃんと私を見てくれていた。
可笑しいところなどない! とミーナには言われてきたが、やはり自信がない。
「ルナ様、すっかり良くなったのなら、フィリップスの公務も一段落した頃合いだし、城下町でも案内してもらうか、遠乗りにでも連れ出して貰うといいわ」
「母上、姫はまだ、病み上がりです。ここで無理をされて、ぶり返されたら大変です」
「あらっ? ルナ様は、もうすっかり良くなったと言われたのを、貴方聞いていなかったの?」
自分のことで、親子喧嘩でも始めそうな雰囲気に、委縮してしまい、思わず声を挟んでしまった。
「王妃様、私のことはお気になさらず。殿下がお忙しい身というのは、よく分かっているつもりです。殿下も、お仕事、大変でしょうが、頑張って下さい」
「もう、ルナ様ったらまた、わたくしのことを他人行儀な呼び方をして! 名前でいいわって、言っていたでしょう? それに、フィリップスのことを気にかけてくれるのは嬉しいけれど、そんなに遠慮することはないわ。だって、婚約者のことを気遣うことは、当然のことですもの。ねぇ、フィリップス?」
王妃様、いいえ、マリィ様の今の言葉が怖い。
私には、脅しにしか聞こえなかった……。
当のフィリップス王子は、大きな溜息をこれ見よがしに吐いた後、言葉を告げた。
「母上には、敵いませんね。ルナ姫、病み上がりで申し訳ないが、今日の午後、私に付き合って頂けますか? 生憎、遠乗りをする時間は、取れそうにないので、庭の散歩など如何ですか?」
王子は、丁寧な物腰で尋ねてくれた。
私は、またもや、頬に熱が集まるのを感じた。
「ええ、勿論。是非、お供させて下さい」
何とか、噛まずに受け答えできたと、心の中で喜んだ。
王子は、仕事があるので、と言われ、席を離れた。
王妃は、暫く一緒に話をしたりして過ごしたが、侍女に呼ばれて席を立たれたため、その機会に私も、自分に与えられている部屋へ下がった。
王子との散歩には、何を着て行こうかなどと、考えながら。
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しかし、王子との散歩は、可もなく不可もない具合に終わってしまった。
王妃様から、婚約者扱いをされて、フィリップス王子は、確かに、私の相手を務めてくれていた。
一度は、遠乗りにも連れて行ってもらった。
しかし、いつまで待っても、王子との距離が縮まらないのだ。
ミーナ相手に恋愛相談したものの、お互い、付き合った殿方の一人もいないため、知るはずもなく……。
従って、今日も、王子との散歩の後、自室へ戻り吐いた溜息は大きかった。
「いったい、何がいけなかったのかしら?」




