表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ルナ姫の受難  作者: 東吉
19/35

18

短いですが、何とか時間ができたのでUPします。

 「失敗しただと?」

 底冷えのする声音に、白服の男の身体が、一瞬ビクッと震えた。

 それを、声を発した人物が目を細めてジッと見つめる。


 「申し訳ございません。今一度、チャンスを頂ければ……」

 「チャンスをあげたとして、どうする? もう既に、あの娘はヴィルヘルムへ入り込んでしまったというのに?」


 あの娘は、余の思惑通りヴァンデル国に嫁がず、勝手なことをした。これは、このまま放っておくわけにはいかない。


 「……姫様をどうなさるおつもりですか?」

 「そなたらが知ってどうする? どちらにせよ、そなたらはしくじったのだ。今後は、銀狼の仕事だ! 関係なかろう? ヤツならば、あの赤毛の始末を、ちゃんとつけてくれよう?」


 ヒュッと男が息を吸い込む音が聞こえた。

 「ルナ様は、この国唯一の巫女様の資格のあるお方でございます。あの見事なストロベリーブロンドの髪と銀色の瞳は、巫女の証でございますれば……!。最後の巫女様は、ルナ様のっ……」

 「黙れ! もうよい、下がれ!」


 白服の男、神官は、一礼して、部屋を下がった。


 ルナは、忌々しいほど、産みの母に生き写しだった。

 王の娘、そして、ライオネルと双子の妹姫としての環境を整えてやった。

 そんな義理などないのに!


 それもみな、愛しい女であり、ライオネルの母の遺言でなければ、絶対に聞き入れられないことだった。

 恩を仇で返すようなやり方など、流石、あの女の娘だ。


 報復が必要だ。

 そう、私の愛しい女を悲しませた罪は重い。


 この国の巫女として、一生幽閉すべきだったのだ!


 そうだな……。

 そうすれば、神官どもも、何も文句は言わまい。


 とりあえず、銀狼へは、連れ戻すようにと、指令を変更することにしよう。

 既に、息の根が絶えていた時には……仕方ない。


 それも、あの女の時の運、ということか。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ