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ルナ姫の受難  作者: 東吉
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 ある一室へ一緒に放り込まれた私たちは、手と足を縄で縛られていた。

 私たちだけになってから、まず先に口を開いたのは、ミーナだった。

 「ライラ、縄抜けの魔法とか使えないの?」

 「できるわけないでしょ! 貴女たちの方こそ、どうなの?」


 「……できたら、聞いてないわよ」

 「それもそうねぇ……。何であの時、攻撃魔法を使わなかったのぉ?」

 ライラの問いに、ミーナは、呆れたというようにぐるりと目を回して見せる。

 

 そのジェスチャーを見て、答える気のないミーナに代わり、私が答えた。

 「あそこで攻撃魔法を使っていたら、村の人たちだって無事ではいられなかったでしょうね」

 「でもここは、貴女たちの国じゃないでしょう? 別にいいんじゃないの? 他所の国、ましてや、敵国の国民なんて……? ぐふっ!」


 私は、ライラの鳩尾に向かって、頭突きしてやった。

 本当は、足で蹴ってもよかったけど、何せ両脚とも縄で括られていたため、一番決めやすい頭を使ったのだった。


 ライラは床の上で悶えていたが、私も一緒になって悶えてしまった。

 ……頭が痛い……。

 ライラが悶えたのは、鳩尾の部分に嵌ったのではなく、肋骨にあたって痛かったのだと、後になってから分かった。


 しかし、怒りを抑えきれない私は、痛みををやり過ごした後、声を抑えることも忘れて、ライラを叱咤していた。


 「なんてこと言うのよっ! 自国の民でなければ、どうなってもいいっていうの? 違うでしょう! 例え国が違えど、同じ人には変わりないのよ! 命の重さに国は関係ないのよ!」

 

 『おいっ! 何揉めているんだ? 煩いぞ!』


 「…………」


 「要するに、攻撃魔法のコントロールができないというわけね?」

 ライラがミーナの方へ向かって、ひそひそと告げる。


 「……できるわよ。ただ、シールドを張ってくれる人がいれば……」

 ミーナも声を抑えて答える。

 「だから、それができないっていうことでしょうが!」


 ライラの声が高くなりそうになった時、『シーッ!』と私たちの声が重なる。

 「分かっているわよ!」

 不機嫌そうにライラが答える。


 「とにかく、今のこの状況をどうするか……何か考えでもあるの、ライラ?」

 「何で、私に聞くのよぉ?」

 口を尖らせ、すねた口調で答えるライラはスルーして、淡々と答える。

 「わざと、捕まるようなマネをしたから」

 「あらぁ、そんなことないわよぉ? どうして好き好んで捕まろうとするのよぉ?」

 

 「理由は二つあるわ。まず一つ目」

 私は、人差し指を立てて告げる。

 「抵抗らしい抵抗をライラもアリもしなかったこと」


 次に中指と合わせ2本指を立てる。 

 「二つ目。ミーナにちょっかいをかけていた男と一瞬だったけど、目配せをしていたから。多分、合図だったのでしょう? それで、こんなところまで私たちを連れてきて、何をさせたいの? それとも、誰と会わせたいのかしら?」


 「……なかなか、大した洞察力だこと! さっきのような甘ちゃんの台詞からは、想像できないな!」

 ライラの言葉遣いが変わると同時に、顔つきまでも男に見える!


 「貴方は、いったい、何者なの?」

 「それは、まだ教えられないな! でも、ルナ、君の素晴らしい推理に免じて、予定よりも早く会わせてあげるよ、審判者に!」

 


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