8.公爵家の家令は情報通
執務室に戻ったアルフレッドに家令のマックスが声をかけた。
「どうです、少しは進展しました?」
「戰のみならず、初動の失策は響くな」
「そうですね、お迎えした時に愛想がなかったですね」
「あの時もか…」
「他にもやらかしたんですか?」
アルフレッドはマックスを睨んだが、仕方なく辺境伯領での失態も打ち明けた。
「いつものフレッド様ならそこまで酷くなかったはずですが」
あの夜アンナの姿を探すのに必死で、シャーロットを邪険に扱ったのは間違いない。自分は全く不遜だった。結果会いたかった本人を貶めていて、彼女と父親の不興をかったのだから情けない。
「明日来る王子ですが…」
「ああ、シャーロット嬢に会いに来るそうだな」
「シャーロット様を気に入っていて、レーゲンスブルク閣下にポロッと側妃の話をしたことがあるそうです」
「…なんだと」
「レーゲンスブルク閣下が静かに怒り出して、側近は慌てて申し出を取り下げて詫びの品を贈ったとか」
「おまえはそんな情報まで掴んでいるのか」
「王宮でのフレッド様の侍従時代につくった人脈が生きておりますので」
「ウィリアムは婚約者との婚姻もまだなのに側妃の話を出すとは、困ったヤツだな」
「シャーロット様も19歳、婚約が決まる前にと焦ったのでしょう」
「王太子の申し出を跳ね除けるレーゲンスブルク卿か」
「今フレッド様が求婚したら、間違いなく断られますね」
「……そうだな」
国の重鎮と言える辺境伯で数々の功績を上げて来たレーゲンスブルク家の令嬢なら、妻にと望んでも周りには反対されない。だが…
(ご令嬢本人と父親の不興をかっていては、全く不可能な話だな)
最初から妹と紹介してくれればとルークを恨んでみたが、結局すべて自分の行いが招いた事だ。
そこまで考えてアルフレッドは、はっとする。
(俺はシャーロット嬢と結婚したいのか…)
自分が抱いていた気持ちがはっきりした、だが道のりは険しい。シャーロットが屋敷に滞在しているうちに、少しでも親しくならなければとアルフレッドは決意した。




