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第17話 第六夜


 コロニー近くまで至った第六夜である。


 あたしの頭の中のドアは閉ざされてしまった。完全なそれは、ムッターとアリアのものだけだったが、いまはどちらも開くことはない。

 ムッターは死に、アリアも。たぶん、死んだ。二人のドアだけが頭の中に残されていて、押しても引いても、どうしたって開かない。

 だが、もし、ひらいたらどうなるのか。それがどこへ繋がっているのか。かんがえるだけでおそろしい。


 ムッターはよく言っていた。


 メリーゴーランドみたいだと。それが何かはよくわからなかったけれど、馬鹿みたいに回るウマだと聞いた。うん。馬鹿げている。それはつまり、メリーゴーランドみたいだということは、くだらないとか、意味がないということなのだろう。


 ムッターは死ぬ間際にも言っていた。


 まるでメリーゴーランドみたいだと。あたしは想像してみた。円になって回り続ける馬になることを。それは意外と難しくなかった。だって、すでにあたしはメリーゴーランドみたいなのだから。それよりも、回って回って溶けてバターになりたいと思った。ムッターが時々話してくれたオハナシのように。

 あたしはメリーゴーランドよりもバターになりたい女なのだから。あるいは力尽きるまで回り続ける蟻の群れのように。


 死者だけが美しく優しく力強い。


 大理石にとどめられた理想の肉体のように。すでに死んでいるものはそれ以上死なないから。ムッターは死んだ。死者は硬く、生者は柔らかい。アーメン。


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