表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/19

第14話 第三夜


 樹の下を目指しての第三夜である。


 喉が渇いて眠れない。焚き火の火照りが胎内に燃えているようだ。渇いて渇いて、タマラナクナル。そばで眠っているドーマを殴りつけたくなる。破壊衝動と性衝動は同じひとつのものである、ドクターの言葉を思い出す。


 チクショウ! 身体が熱い。だが、その手には乗るものか。あたしはあたしだ。


 身体を貫く欲望とは掛け離れたことを考えよう。ドクターの言葉は難しいが、こういう時には役に立つ。


 言葉は螺旋らせんなんだ。


 と、ドクターは言っていた。次々と宿主を変えながら、形を変えながら生き延びていく。その先の受け手へと。だからこそ、ああ、汚い言葉を使ってはいけないのです。


 まさに然り、畜生め! アーメン。


 時に子供の言葉は鋭い真実を帯びる。触れれば致命傷になるほどには。聖なる言葉は狂った言葉。では、無垢な言葉は? ああ、ダメだ。身体の熱が脳を犯している。うまくものをかんがえられない。なにを考えていたのだったか。


 言葉は伝染する。


 良くも悪くも人を変えるのは言葉だ。目にしてしまったら、読んでしまったら、聞いてしまったら、もはや、そこから逃れることはできない。言葉が呪術的である由縁ゆえんがそこにある。それはその瞬間に伝染するのだから。螺旋らせんのように旋回し、聞く者の耳下じかに潜り込んで行く。そこに寄生し、そこから子孫をばらまくのだろう。まるで、まるで、まるで、


 ……まるで、生殖のようだ。


 気付くとあたしはドーマの上にまたがっていた。だが勘違いしないでくれよ。まだ何もしちゃいない。あたしは女王のスペアから女王になりつつあったらしい。この火照ほてりをどうすればいい。紫と赤の女のように乱れればいいのか。誰か助けろ。あたしの渇きをなんとかしてくれ。


 不吉だ不吉だ永遠に不吉だ。


 アリアの死を予感しながら扇情に悶えるあたしは何者か。あたしは、あたしは……。開かなくなった頭の中のドアを叩き続ける。アリア、アリア、あなたに会いたい!


 樹の下へ行って、女王として凱旋しなければ。アリアがどうしているのか、どうなっているのか、ドクターの元へ戻らなければ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ