第十話-時龍&キリシュタリア-
新たな仲間を探すために捜索を開始した竜神達。しかし、竜神達の前には新たなる強敵達が立ち塞がっているのである…
「あ、でもよ。仲間の捜索〜って言ってるけどなんかしらのアテはあんのか?アテも無しに探すのは流石に面倒じゃねぇか?」
「アテか?アテならあるぞ。」
「あんの!?てっきりアテ無いと思ってたんだか!?」
時龍はてっきりアテも無しに探すのかと思っていたので思わずツッコミを入れてしまった。
「そりゃ俺だって無闇矢鱈に味方を動かして怪我をさせるなんて事はしたくないからな。事前に竜神に頼んで軽く調べてもらった。」
「いつの間に!?」
「そりゃここにお茶持ってくる時にだ。」
「お、おう…出来ればこの場で調べるなりなんなりしてくれ…」
時龍は何故かは知らないが頭を押さえた。
「…?まあ、分かった。とりあえず目星って言っても俺達の知らない気配や力を探って見つけた者だから敵かどうかは正直分からん。だから遭遇した時は絶対に気を抜かないようにしてくれ。」
「おう。ま、とりあえずさっさと行こうぜ。正直ここに留まり続けるのも飽きてきた。」
時龍が言うと、他の者達も頷いた。
「分かった。それじゃあ適当にメンバー組んでから各自まわってくれ。気配とかを感じた場所に丸印を付けているからメンバーを決めたら別れてそこに行ってくれ。もし誰もいなかったらすぐにここに戻ってくるように。」
「了解っと。」
「あ、でも時龍だけはちょっと霧の湖の方には行かないでもらえるか?」
「んあ?何でだ?」
「まあ、ちょっとな…とりあえずそっちには俺と竜神と…そうだな、そっちの…えーと、古風な感じのと一緒に行くか。」
「む?儂の事か?」
「おう。てか今更だけどアンタの名前って聞いてたっけか?」
「…そう言えば名乗っておらんかったような…気がするのぉ…」
と言って男は顎に手をあてがった。
「ふむ。一応名乗っておったかどうかは分からんが、名乗っておくとしよう。儂の名はキリシュティア・セード・アインシュヴァルツ。名は長いのでキリシュティアと呼んでくれるとありがたいのぅ。まあ、呼びやすい名で呼んでくれて構わないわい。」
男は名前を名乗ると静かにお辞儀をした。
「随分と長い名前だな。俺ん所にゃそんなに長ぇ名前は無かったな。」
「私の所もですね。でも、いい名前ですね。」
日咲は素直にキリシュティアの名前を褒めていた。
「確かに…俺も名前にカタカナ入れてみようかな?」
竜神は笑いながら冗談を言っていた。
「ま、とりあえず名前は後でにして今は行くべき所に行くぞ。」
「はいよ。それじゃあ俺は…そうだな、キリシュティアと一緒に行くとしようか。」
時龍は珍しく(?)男と一緒に行動すると言ったのだ。
「時龍が男と一緒に行動する…だと!?」
「ありえん…何かしらの天変地異でも起こる前触れか…!?」
「お前ら…流石に非常事態の時くらいまともな事言えよ…」
「時龍が正論を言った…だと!?」
「くっ…!これは幻想郷の終わりを告げているのか!?」
「お前ら一回…ぶっ飛ばすぞゴラァ!!」
「あんたらいい加減にしなさい!」
「ぐはぁ!?」
「うぇい!?」
「痛ってぇ!?」
時龍と竜神と儚月が漫才かましてると、痺れを切らしたレミリアが三人に拳骨を食らわした(吸血鬼の力を存分に使って)
「大体、こんな大事な時に変な漫才して貴重な時間を潰すんじゃ無いわよ!!」
レミリアが怒り心頭で怒鳴っているが、三人からは何の反応も無い。
「ちょっと聞いているの!?」
「あの…レミリアさん。」
「何!?」
「三人共…その…気絶してますけど…」
「へ?」
レミリアが三人を見ると、地面に突っ伏して気絶していた。
「あ…やっちゃった系?」
「やっちゃいました系ですね。」
レミリアと日咲はとりあえず気絶した三人を放置して、一緒に行動するメンバーをさっさと決めた。
_____________________________________________
「あー…めっちゃ痛てぇ…」
「ふむ。それはお主が悪いから仕方の無い事だと捉えるとよいぞ。」
「同情はしてくれないってか…」
「なんじゃ?同情してもらいたいのかのう?」
「いいや。男に同情はされたくないね。」
「なら我慢する事じゃな。」
そんな感じで妖怪の山の麓を時龍とキリシュティアの二人が色々と見て回っていた。
「しっかしなぁ…こんな所を見た所で何も見つからないと思うんだがなぁ…」
「ふむ…何かしらの意図があってここも捜索範囲に入れたのであろうから、何かしらはあると思うんじゃがのう…」
「でもよォ…パッと見ても俺の住んでた幻想郷と何ら変わらねぇんだけどなぁ。」
「儂の幻想郷とも同じで風景やその場の気配も同じじゃが…ふむ…」
時龍とキリシュタリアの二人は辺りを見渡しながら歩いていると、何だか妙に気になる箇所を見つけた。
「…ん?ちょっと良いか?何かあそこの滝の所、違和感感じねぇか?」
「滝?…ふむ。確かに変じゃな…もしかしたら何かしら空洞があるのやもしれぬな。」
「空洞か…もしかして、竜神がここに行けって言ったのはアレを調べろって事じゃねぇか?」
「一理あるのぅ…では、試しに行ってみるとするかのぅ。」
キリシュタリアはそう言うとさっさと歩き始めた。
(おいおい…見た感じから怪しさ満載なのに警戒もせずに行くって何考えてんだよ…いや、もしかして何も考えてないのか?)
時龍は少し呆れた感じでキリシュタリアの後を追ってその後ろを歩いた。
(うーん、やっぱ警戒してるって感じが全くしないな…いざとなりゃすぐにでも攻撃が出来るようにしとくか…)
時龍がそんな事を考えていると、キリシュタリアが不意に立ち止まった。
「ん?どうした?」
「…そこな木の影に隠れている者。姿を見せよ。でなければ問答無用で攻撃するぞ?」
キリシュタリアが近くにある木の後ろに声を掛けると、ふらりと何者かが出て来た。
「あら…見つかってしまいました。よく私の気配を感じ取れましたわね。」
何と木の後ろから現れたのは年端も行かぬ少女だった。
「気配は消せても僅かな殺気だけは隠せなかったようじゃのぅ。」
キリシュタリアは先程と変わらずあまり警戒をしてない様な口調で話しかけていた。
(おいおい…俺ですら気付かなかったってのにコイツは僅かな殺気だけで見つけたってのか?外見に見合わず結構なやり手って事か…)
時龍はとりあえず簡単な戦闘態勢を取った。
「あらあら、もう一人の御方は私に対して戦闘する気みたいですわね。」
「仕方無かろう。お主が気配消してかつ、殺気まで漏らしておったんじゃからなぁ。」
「あらあら、それは確かに致し方ありませんわね。では、私も当初の予定通りあなた方を抹殺する事に致します。」
少女はそう言うと足元から何かしらの術式の魔法陣を展開した。
「ほうほう…いきなり戦闘とな。じゃが、そうでなければやりがいも無いというのもよな?」
キリシュタリアは被っていた編笠を放り投げると、スキマから一刀の刀を取り出した。その刀は白銀に輝き、キリシュタリアの周りに凍てつくような冷気を放出していた。
「万気凝結の蒼刀・明星…お主にこの刀を防ぐ事は出来るか?」
キリシュタリアは先程のゆっくりとした口調から打って変わって、まるで相手を射抜くかのような鋭い眼差しに変わり、纏っていた雰囲気も歴戦の勇士そのものに変わっていた。
(な…なんだァ!?紅魔館の時と今と変わって強者の気配そのものになってやがる…!)
時龍はキリシュタリアに驚いている内に、キリシュタリアは少女との間合いを詰めて一気に斬りかかって行った。
「あらあら…」
しかし、少女は怖じける所か全く表情も変わらずにキリシュタリアに手のひらを向けていた。
物凄く遅くなってすみませんm(*_ _)m長らくモチベ&気力が全て消失してました(存分に叱ってやってください)