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魔法使いになるっ!  作者: 東メイト
第七章 魔道競技祭(2年目)編
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第51話:決戦!ウォーターフラッグ!

「それではただいまよりウォーターフラッグの競技を始めます。各校の参加選手達はプールサイドに集まってください」

僕達は審判に促されてプールサイドへと移動した。


「それじゃ、打ち合わせの通りにお願いしますね」

僕はクラスメイト達に作戦のことを念押した。


「わかっていますわ」

直美が首を縦に振ると同調するかのように他のメンバー達も首を縦に振った。


「それでは第一試合、海燕京浜学園 対 聖明けの星女学院を開始します・・・整列っ」

審判の掛け声と共に海燕と明けの星の生徒達が一斉にプールの中へと足を踏み入れた。


「・・・開始っ!」

審判が大きな旗を振り下ろすと各校の生徒達はプールの両サイドに立っている棒を目指して突っ走っていった。


プールの中央で両校の生徒達はぶつかり合うとプールの中へ沈めようと重力魔法の応戦合戦が始まる。


膝より上まで水に浸かった選手は失格となり、プールサイドから外へと出て行く。そして、失格選手が増えるに連れてプールの中が段々と静かになっていく。


「今年の海燕は手強いですね・・・」

明けの星の選手達も決して弱くないのだが、今年の海燕はそれを余裕で上回っていた。

そのため、時間が経つに連れて失格となる明けの星の選手の数が圧倒的に多くなっていった。


(海燕・・・こんなに主力な選手達を出していて問題ないのだろうか?)

僕の中でそんな疑問が浮かんでいた。


それだけ今年の海燕が強かったのである。海燕の強さは王城とも引けを取らないくらいの実力であった。

もしかしたら、今年の海燕京浜学園全体の質が良いだけの話なのかもしれないが、何故か不自然さを感じていた。


(とりあえず、まずは目の前の王城学園を突破しなければ・・・)

僕は違和感の正体がわからなかったが、今は目の前の壁である王城戦に集中することにした。そして、僕達の試合が始まった。


「それでは第二試合、王城七陽学校 対 六魔道藤白波高等学校を開始します・・・整列っ」

(いよいよだな・・・)

僕は高鳴る心臓に押し潰されないように必死で緊張を圧し殺していた。そして、呼吸を整えると重力魔法を使ってプールの中へと降り立った。


「・・・開始っ!」

審判の合図と共に僕達は左右のプールサイドの方へと陣形を展開した。


「これは・・・一体?」

王城の選手達は見たことない陣形に戸惑っていた。

通常であれば中央を厚くして一点突破の陣形を取るはずなのだが、僕達はセオリーとは全く逆のことをしていた。


「一体どういうつもり・・・」

王城の選手達は僕達の行動を怪しんで最初の内は僕達の陣地に入ってこなかったが、時間が経つにつれて段々と痺れを切らせて攻め込んできた。


「よしっ・・・今ですっ!」

僕はある程度の人数が僕達の陣地に入ってくるのを確認すると右手を挙げて合図した。すると左右に散っていた選手達は一斉に体重を軽くしたり、重くしたりと体重を変動させ始めた。


「何?あの変な動き・・・」

「馬鹿みたい・・・」

僕達の意図を知らない王城の選手達は最初の内は僕達の意味不明な行動を嘲笑って僕達の旗を目指して突っ走っていたが、彼らが僕達の狙いに気が付いた時には既に遅かった。


「「「きゃあああ」」」

王城の選手達はあちらこちらで悲鳴が巻き起こると次から次へとプールの中に沈んでいった。


僕達はプールサイドの左右で体重を変動させて振動を起こすことで波を発生させていた。そして、波を起こすことで足の裏に集めている水の分子を散らして足場の形成をできなくさせていたのである。


僕達の作戦に嵌った王城の選手達の数は半数まで減っていた。こうなれば、あとは数の暴力である。

如何に王城の個々の選手達が僕達よりも優秀であったとしてもその倍の数の選手達に押されれば耐えることは不可能であった。


「いっけえええ」

僕は旗を死守する一部の選手を残して全軍突撃の合図を出した。


こうして僕達は見事に優勝候補であった王城から勝利をもぎ取ったのであった。


「そこまでっ」

僕達が王城の旗をもぎ取ると審判が試合終了の合図を告げた。


「あと1勝ですっ!あと1勝頑張りましょうっ」

僕は喜びで舞い上がるクラスメイト達に渇を入れた。

ここで浮かれていては次の対戦相手である今年の海燕に勝つことはできないからだ。


問題はここからなのである。僕のこの作戦は基本的に1度しか使えない奇策なのだ。よって次の海燕との戦いでは使えない。

だが、僕には更なる秘策があった。それが成功すれば僕達は優勝を掴みことができる。

僕はそのことを懸命にクラスメイト達に伝えていた。


「・・・それじゃ、よろしくお願いしますね」

「「「はいっ」」」

僕はクラスメイト達と円陣を組むと最後に掛け声を挙げた。


「ここまできたら・・・あとは優勝するのみですっ。絶対に・・・優勝するぞっ!!!」

「「「おっ!」」」

僕達は士気を高めると共に気合も込めた。


「それではこれより決勝戦を始めますっ。両校の選手達は整列してください」

僕達は審判の指示に従ってプールサイドに並んだ。


「頑張れえええ」

僕がプールの中へ入ろうとした瞬間、観客席から遥が声を挙げた。


「遥さん・・・」

僕は遥に気を取られてプールの中に沈みそうになった。


「大丈夫?」

「・・・ありがとうございます」

僕は直美に支えられて何とか事なきを得た。


(今は試合に集中しなきゃ・・・)

僕は意識を前方にある海燕の旗に向けた。


「・・・開始っ!」

僕達は審判の合図と共に先程と同様に陣形を左右に展開した。すると海燕の生徒達も同じように陣形を左右に展開させた。


これが僕の奇策が1度しか使えない理由である。相手が真ん中に攻めてこなければ僕の作戦は何ら威力を発揮することはない。それどころかこちらが真ん中に攻めれば逆に罠に嵌められる可能性も高かった。

だからと言って、このまま左右から攻めていくのは得策ではなかった。

なぜならば、真っ向勝負をすれば海燕の実力によって僕達が押し負けるからである。それだけ今年の海燕の生徒達は強かった。


(やはり、向こうの選手達も馬鹿じゃない・・・だけど・・・)

相手選手が左右に展開してくることは僕の狙い通りであった。


(そろそろ動くか・・・)

僕は相手の動きを見ながら次なる一手の発動のタイミングを計っていた。


「今ですっ。第2形態へ移行しますっ」

僕が大きく手を振り上げると左右に展開していた選手達は一斉に中央を目指して走り始めた。

その動きに対して海燕の選手達は僕達が王城戦で見せた猿真似をして波を起こそうとしていた。


(予想通りだっ)

僕は海燕の動きを見て心の中でほくそ笑んだ。なぜならば、彼らが僕達の真似をしたとしても所詮は付け焼刃、僕達ほどの大きな波は作ることができないからだ。


僕達は2週間を掛けてようやく呼吸を合わせることができ、共振を起こして足場を破壊できるほどの大きな波を起こすことに成功したのである。


とは言え、いくら付け焼刃でも僕達の足場をぐらつかせるくらいは充分に可能であった。

そこで僕達はプールの中央にクラスメイトを集めるとバレーのレシーブの要領で即席の足場を形成させた。


全ては僕の作戦通りであった。

僕は1度しか使えない作戦を2度生かすためにこの作戦を二段構えで考えていた。


1度目はそのまま相手を罠に嵌めて、2度目はその罠を囮に対策を取らせて戦力を左右に分断させることであった。


「いけえええええ」

僕達はプールの中央に人柱を立てるとその上を突き進んで海燕側の棒へと張り付かせた。


「沈めろおおお」

海燕は僕の作戦が通用しないことを理解すると中央に向かって重力魔法を掛け始めた。


「重力魔法を展開っ。後続は気にせず突き進んでください」

足場を形成しているクラスメイト達は周囲の重力魔法を打ち消すべく反重力の魔法を放った。


途中で力尽きて失格となったクラスメイトは即座にその場を離れるとそこに新たな選手が入って同じ事を繰り返した。


その甲斐あって僕らは3分の1の勢力を失ったが、相手の守りの1.5倍の人数を敵陣へと送り込むことに成功した。


「このまま一気に押し切りましょうっ」

僕達は一生懸命海燕の旗が立っている棒を横倒しにしようとした。だが、あと一歩のところでその攻勢は阻まれた。


海燕の選手達は45度まで傾いた棒を僕達の3分の2の勢力で見事に支えていた。


「そんな・・・このままでは・・・まずいっ」

僕達がこの特攻に失敗すればあとは海燕に攻め落とされる結末だけであった。

この奇襲は何としても成功させなければならなかった。


(どうしよう・・・どうしよう・・・)

僕は予期せぬ事態に頭の中でグルグルと焦りだけが渦巻いていた。


「茜っ!落ち着いてっ!」

僕が焦っていると遥が檄を飛ばしてくれた。


「茜ならできるっ!茜なら・・・」

(そうだっ、僕が落ち着かなければ・・・)

僕は深呼吸すると冷静さを取り戻した。そして、僕の脳裏にはあるイメージが思い浮かんでいた。

それは昨年の麗奈の勇姿であった。麗奈は昨年の騎馬戦で見事な跳び蹴りを食らわしていた。


(これだっ)

僕は一か八かで麗奈のやった跳び蹴りを海燕の旗の立っている棒に対してかましてみることを思い付いた。


「みんなっ・・・お願いっ」

僕はクラスメイト達に声を掛けると海燕の棒を目指して駆け出した。

その行動を見たクラスメイト達は僕の意図を理解して相手の棒まで道を切り開いてくれた。

そして、海燕陣の棒の麓まで辿り着くと勢いを乗せたまま麗奈の見様見真似の跳び蹴りを繰り出した。


「はあああああっ」

僕は全力で海燕の棒を蹴ったが、棒はビクともしなかった。


「負けるかあああ」

僕は斜めに傾いた海燕の棒の上を駆け上がると全力の重力魔法を放った。


めきっ・・・めきっ!めきめきっ!


僕の重力魔法で海燕の棒の根元に亀裂が入った。


「たお・・・れろおおお」

僕は更に棒の先を目指して必死で足を前へと進ませた。重力の鎖を断ち切るように一歩一歩着実に・・・。


べきっ!べきべきべきっ!


海燕の旗の付近まで辿り着くと遂に旗を支えていた棒は砕けた。


「はあああ」

僕は崩れる足場の中、必死で海燕の旗に手を伸ばすと無我夢中でその旗を掴んだ。そして、そのままプールの中へと落ちていった。


「そこまでっ」

海燕の棒が完全に水の中に倒れるのを確認すると審判は終了の合図を出した。


「ぷはっ」

僕が海面に顔を出すとクラスメイト達が一斉に僕の下へと集まってきた。


「やったわっ」

「おめでとう」

「私達の勝利よ」

僕はクラスメイト達から賞賛の声をあびた。そして、クラスメイト達は僕の身体を持ち上げると胴上げを始めた。


「ちょっ・・・」

僕は生まれてこれまで胴上げなどされたことがなかったため、とても戸惑っていた。


「茜・・・おめでとうっ」

遥はみんなから賞賛される僕の姿を見つめながら嬉しそうに微笑んでいた。


「今度はあたしの番ね・・・」

遥は僕に手を振るとその場を後にした。


次はいよいよ遥のスカイレースが始まる番である。

※次回は遥の視点で物語が始まります。

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