攻略法
更新が一か月近く遅れてしまい申し訳ありませんでした!
ぎりぎりの戦いの均衡が崩れたのはゲッカのMP切れからだった。
元々レベルが低かったゲッカはレベルアップによる全回復を利用して今まで炎を途切れることなくゴーレムに放ち続けていたのだが、ついにレベルアップのための経験値が追い付かなくなってしまったようだ。
足にダメージを与えたゴーレムに止めをさせなくなったというのはそれはつまりレベル上げの停止と自由に使える足場の減少を意味する。
それならゲッカのレベルアップのためにも私かツキミが倒れているゴーレムを倒しにいくべきなのだがツキミの攻撃はそこまで効かないし、私が処理に動くにしても私達の精神疲労がたまるスピードが加速するだけでなく、もしダメージが足らなければ自爆させてしまうかもしれない・・・。
ん?そういえば自爆がどれくらいの威力なのかまだ知らないな。ものすごくショボいかもしれないし下手すると遺跡が落盤たりしてもうここには来れない、なんてこともありうるかもしれない。もちろん普通のMMOではまずありえないことだろうが、『SILVER WORLD』は種族決めの時点でもうとんでもないイレギュラーだということは身に染みているので警戒するに越したことは無いのだ。そもそもこの場所自体ツキミに案内してもらった上、種族決めの時の勇者の行動をもとにしなければ来れなかった。最後の質問の時のことやこの場所のことをツキミが知っていたことも含めて考えると何となく見えてくるものがある。
《かこまれてる・・・!》
しまった。完全に考えることに必死になって周りへの注意が散漫になっていた。幸いなことにアイアンゴーレムは囲んできている奴らの外側にいるようなので心配することはない。ないんだけど。
「さすがにこの量はまずいかな・・・!」
その時だった。ゴーレム達の背後から光が差し込み一瞬のうちに私もその中に飲まれていた。
「う、う~ん。」
光に飲み込まれてから物凄い衝撃に襲われた後の記憶がない。あまりの衝撃に気を失う(VRMMOでそんなことは起こるはずがないと思われるが)ような感じになっていたのだと思う。
そこまで考えた後、ゴーレムたちのことを思い出してぱっと顔を上げるとそこには、どでかい穴が開いた私が入ってきたほうじゃない扉と爆風に吹き飛ばされバラバラになり倒された状態になっているゴーレムたちと表面に傷を負ったアイアンゴーレムの姿があった。レベルアップを知らせる音が聞こえるけどそれよりも先に
「ツキミ!ゲッカ!大丈夫!?」
《びっくりしたぁ!きかなかったからだいじょうぶだけどね!》
《・・・あわててにげこまなかったらやられてたかも・・・》
そう返事が聞こえると同時にゲッカはふわふわと私の頭の周りを回り、ツキミは私の服の中からもぞもぞと這い出るように私の首に帰ってきた。
これは・・・どういう状態なのだろうか。どこかで爆発があったのは確実なのだが、向こうの扉の方向には倒れているゴーレムはいなかったはずだけど。でも、自爆以外に爆発を起こせるものなんて他にはないは・・・いや、あった。
侵入者撃退用の罠だ。確か最後のフロアに続く扉にはランダムで罠の内容が変わるブービートラップが仕掛けられていたはず。それがたまたま広範囲を爆破するトラップで、たまたまゴーレムに囲まれたタイミングに、たまたま起動したなんていうめちゃくちゃなことがありうればの話だが、確かにそれで今の状況については納得ができる。そしてついさっきまでの絶望も一気に解決策が見えてきた。
「ツキミ、ゲッカ。MPは温存したままゴーレム達を釣るよ!」
罠での攻撃が有効なことはわかったんだ。あとはいかにその罠に追い込むか。都合がいいことにどこにどんな罠があるかは把握している。まだ動けないでいるゴーレム達をしり目に迷宮に向かって逆戻りする。ゴーレム達が追いかけてこようとするのを確認しながらメニュー画面を操作して〈連撃〉を〈隠密〉に戻す。
「罠のところまで行ったら私とツキミは隠れるからゲッカには頑張って罠の上を飛んでゴーレム達を誘導してほしいの。流石に罠の位置位ゴーレム達も把握してるだろうけどそこからは私がどうにかするから。」
まずはゲッカが一発ゴーレム達の集団に魔法で攻撃してもらう。
〈ちゅどーん!〉
上手い!綺麗に沢山のゴーレムに炎を当てている。それになんだか魔法の威力も上がったように見える。
ゴーレム達は攻撃を食らったことを認識してゲッカに向かってのそのそと集団で近づいて来る。ゲッカも言っておいた通りちょうどいい距離を取ったまま逃げている。
私たちもゲッカの近くにいるはずなのに何故こんな風に他人事のような感じで見ていられるのかというと短剣スキルのアーツ〈ハイド〉のお陰だ。
短剣スキルはいわゆるチュートリアルの万能スキルのようなものだ。レベルが5を超えるまでは単純に短剣を使うと威力が上がるというだけだった。しかし、レベルが5を越えさらに10まで到達した〈短剣〉は短剣を使うにあたって便利なアーツが二つもある。
一つは〈スラッシュ〉。普通に振るよりも速く強く短剣を振り抜く技だ。ディレイや硬直があるのでリアルスキルがえげつない主人公の皆様には必要がないものだけど、武器を振ったことのない普通のプレイヤーの皆様なら必須級のアーツだ。むしろ何故このレベルになるまで使えなかったんだろうかと思うレベルである。
二つ目が〈ハイド〉。MPを10秒に1消費して敵からの認識力を低下させる技。これだけだとMPがバカみたいに低い私には使い辛いにもほどがあるのだが〈短剣〉スキルの面白いシステム、それは条件付きで消費するMPを少なくするという藻のだ。その条件とは。初心者用の短剣スキルはいわばここから派生するスキルの入り口のようなものなのだ。つまりは使えるアーツのそれぞれにその先があるということ。ここまで来ればわかると思うが私の〈隠密〉は〈ハイド〉に属するスキルであり、この状態であれば発動するとき際にMP2を支払うことにより同じ効果が得られるのだ。
ゴーレムの感覚というのは野生の勘のような鋭いものではないだろうから〈ハイド〉とその効果で敵の視線を切ったことによる〈隠密〉の重ねがけしている私をゲッカに集中している今見つけることは難しいだろう。
まぁそれは置いておいてゲッカがちょうどいい距離を取りながら逃げていった先は先程と同じようなゲッカには聞かないタイプの爆発罠だ。違うのは落とし穴の先にあると言う所。このまま馬鹿みたいにゲッカにつられてくれればいいのだけど。
《あ、なんかきゅうにとまっちゃったよ?》
でしょうね。はい、知ってました。この性格が悪いとしか言いようのない迷宮を作った魔王さんがゴーレム達に罠のデータを入れてないわけなかったっすよね。ってことで罠の目の前で止まってるゴーレムの後ろにシュタっと飛び降りてから〈隠密〉スキルのアーツ〈ハイドアタック〉でぶったたいてやる。とぉりゃ!
《・・・ないすしょっと。》
ほんとに見たことは無いけど大量の人がこけて圧死とかいうニュースを見たことがあるけどほんとに起こりうるんだね。
最後尾のゴーレムに不意打ちボーナスのついた〈ハイドアタック〉が決まるとそれに押されたゴーレムがゴーレムを押してどんどん連鎖して先頭に立っていたアイアンゴーレムごと一気に罠の落としあなに落ちていく。その瞬間凄い爆発音と衝撃が迷宮内を暴れ回る。
「ツキミ!どう!?」
爆風と衝撃に耐えながらツキミにゴーレムの気配について尋ねる。
《・・・そこらへんになんたいかとしたにあいあん。》
まじか・・・。何体か落とし穴に落ちないことは想像してたけど大量のゴーレムに押しつぶされた後、二度目の爆発受けてまだ生きてんの・・・?
驚愕に目を見開きながら落とし穴を覗き込むと
『ピ、ピピピピピぴピピピピピぴピピピピピピ!自爆シーク、エ、エンス・・・?をを』
やっば!忘れてた!
「ゲッカ!?全力攻撃!」
『じ、じじっこううhんsjのあsじじっこうどうhんsjのあ・・・・・・・・・。』
《・・・ぎりぎりせーふ?》
《せーーーーーーーーーーーーーーーふ!!!》
『フィールド名 無慈悲の大迷宮のフィールドボスが討伐されました。以降このフィールドのゴーレムはオブジェクト化します。』
【現在、始めてフィールドボスが討伐されました。様々なフィールドにボスは存在します。それではこれからもSILVERWORLDの世界をお楽しみください。】
あっぶねーーーーーーーーーー!!!!!!!!
更新が遅れた言い訳します。
正月休みが終わって睡眠サイクルを元に戻そうとして数日休んだら更新する予定だったんです。ただそこに体調不良や書いているパソコンが使えない事が重なり時間が空くうちに小説を書くことが億劫になっていました。申し訳ありませんが作者の性格上これからもこんな感じで不定期な更新になると思います。出来ればやれやれだぜと許してくれれば幸いです。
あと、この回だけでなく不自然に思った部分は報告していただくとありがたいです。




