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終末超常世界は愛銃と共に。  作者: bea-ya
かつては非日常だった日常。
2/2

狩人と魔女の山小屋

この世界は5年前に崩壊した。

ある朝、突如として各地に【魔獣】が出現した。

それらは、暴れ回り世界のほとんどの都市が被害を受けた。

国々は軍を総動員し、対応にあたったが、何しろ数が多すぎた。

瞬く間に既存の文明社会は崩壊していった。

だが、人間も変わった。

世界の人間、その全てが魔力を手にした。

一部の人間は、異常に発達した身体機能を手に入れた。

それを、異常魔術的身体能力、通称【異能】と人々は呼んだ。

人ですら無くなった者たちもいた。

いわゆる、ドワーフやエルフといったお伽話の種族へと変貌した者たちもいた。

世界には遥かな昔から現代までずっとそうであったかのように、魔術の知識や本が出現した。

一部では、己のみが使える【固有魔法】を手にした人間や魔獣が現れた。

膨大な魔力を持ち、【固有魔法】を持ち、圧倒的な魔術の才を持った者は、【魔女】や【魔法使い】と呼ばれた。

今はその魔女や魔法使いが中心となって、人々は暮らしている。

らしい。

白狩さんは、家までの道中でこの世界についてなにも知らないわたしにいろいろ教えてくれた。

わたしが知っていたかつての世界とは大きく違ってしまっていることに、少しショックを受けてしまった。

ちなみに白狩さんは、魔力量は多いのに魔法の才能がないから魔女ではないらしい。

「しかし、私は魔獣を狩る。故に''狩人''だ。」

と、白狩さんは言っていた。

「ところで、白狩さん。」

「どうした?」

「家はどこなの?もう随分移動したよ。」

「もう少しだ。疲れたか?」

「ううん。白狩さんこそ疲れてないの?もうずっとわたしを抱えて走ってるのに・・・。」

「私は大丈夫だ。とりあえず、()()に入るまでは油断できないからな。立ち止まればたちまち魔獣どもが集まってきてしまう。それだけは避けたい。」

「そっか・・・。なんか、大変な世界になっちゃったんだね。」

「そうだな。これでもマシになった方だぞ。最初の一年は各地域とも連絡をロクに取れないし、食料は足りないし、力を得てしまった犯罪者どもが暴れまわって。何よりリーダーがいなかったからな。力ある魔女や魔法使い同士で連携が取れず、脅威に対して対症療法しかできないっていう時期が続いたからな。」

「だが、今じゃ全知の魔法使いってのが国全体を取り仕切ってる。アイツのおかげで、随分暮らしもマトモになった。」

「その全知の魔法使いさんって、総理大臣みたいなもの?」

「まぁ、そんなもんだ。ほれ、着いたぞ。」

「え?着いたって?家に?ここ山だよ?」

「ああ、そうだ。この山全域を一つの"世界"として捉えて、魔獣どもが入ってこないようにしてある、らしい。」

「"世界"としてとらえる?どういうこと?」

「さぁな。私にもよく分からん。詳しい説明はこの魔法をかけた本人に聞いてくれ。」

山は木が生いしげっていて、外から見ると暗かったです。でも、中に入ると案外明るくて、おどろきました。

白狩さんにその事を聞いてみると、

「これは、アイツの魔術のおかげだよ。」

と言っていました。

しばらく山を登り続けると、そこには家がありました。

木造で、二階建て。周囲の景色とよくなじんでいますが、その横には山には似合わない煙突の生えたシャッター付きのコンクリート製のガレージがあります。

白狩さんは迷わず、木造の方の家ではなくガレージに向かうと、扉から中へ入っていってしまいました。

「待ってよ、白狩さん!」

ガレージの中に入ると、その暑さのあまり一気に汗が吹き出してきました。

そこは、さまざまな工具や部品が作業机や棚に置いてありました。

隅には大きな炉もあり、その中で絶えず炎がゆらめいていました。

「やあ、初めまして。」

作業机に向かっていた女の人は立ち上がってこちらを向きました。

その女の人は、つなぎを着ていて、目には防護ゴーグルをしていました。その黒髪は後ろで一つにまとめられていて、その顔には笑顔を浮かべていました。

「初めまして・・・。」

「紹介しよう。コイツは私の雇用主にして、同居人の間子だ。」

「それは紹介としては不十分だろう、紫苑。」

「十分だろ。」

「全く...。改めまして、ボクは空木間子。空間の間に、子供の子と書いて"あいこ"と読む。日本魔術議会の頂点の(トップ・オブ・)杖たち(ザ・ウィザード)の1人、結界の魔女さ。キミの話は紫苑から聞いてるよ。記憶喪失なんだってね。キミはこれからボク達で保護させてもらう。そして、キミを鍛える。この世界でも生きて行けるようにね。何か質問はあるかい?」

「じゃあ、前から気になってたんですけど、なんでわたしを保護してくれるんですか?」

「紫苑、説明してないのかい?」

「ああ。私はそういうのは得意じゃない。」

「紫苑...。もうちょっと社交性というのを身に付けてもらいたいが、しょうがない。」

「まぁ、端的に言えば、キミが"魔女"としての才能があるってことさ。」

「"魔女"としての才能?」

「そう。"魔女"の才能ってのは、火、水、土、風、電、氷、これら全ての属性に適性があるかどうかって事なんだ。あとは、魔力の量とか、固有魔法とか色々あるけどね、その全属性への適性ってのが、一番大切なんだ。」

「ただ、この全属性への適性があると、なぜか魔獣に襲われやすくなるんだ。それが魔女や魔法使いなら良いんだ。ボク達は力を持っているからね。でも、キミのような魔女の卵は力は持ってない。だからキミを保護したんだ。保護し、ボクの弟子にするためにね。」

「そうだったんですか・・・。ありがとうございます。」

「うんうん。他に分からない事が何でも聞いてくれ。えーっと。そうか、名前も忘れちゃってるのか。」

「そうだな・・・。キミは今日から空木綾芽だ。」

「空木綾芽・・・。ありがとうございます、お師匠様!」

「お師匠様はやめてくれ、むず痒い。間子でいいよ。」

「分かりました、間子師匠。これからよろしくお願いします!」

「だから、師匠はやめてくれって。まあ、いっか。悪い気持ちはしないしね。」

「白狩さんも、これからよろしくお願いします!」

「紫苑でいいよ。」

「はい、しおんお姉さん!」

こうして、わたしの終末世界での初めての一日は終わった。

bea-yaです!第二話も読んでくださり、ありがとうございました。これからも、金曜の夜と土曜の夜に投稿していくつもりです。ただ、余裕のある時や、逆に余裕がない時は、その投稿間隔がズレてしまうかもしれませんが、ご了承ください。では、また第三話で!

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