第8話「世界」
ピットにたどり着くと、代表が待っていた。
「ちょっと、トレーラーで話そう。」
「はい。」
簡易的なミーティングルームに入る。
「今回のレース、結果としては残念だったが、お前としてはどうだった?」
「途中、無線のトラブルもありましたが、去年のチャンピオンの杏堂選手に追いついて、追い抜けそうなところまでいけたのは良かったと思います。」
「そうだな。杏堂に追いつけたのは大きかったな。あの追い抜き、俺達も思っていなかったよ。みんな、そこで行くか!?って驚いていたぜ。」
「はい、初めてのスーパーフォーミュラでのレースでしたけど、得られたものは大きかったと思います。」
「おう、とりあえず、田邊の応援に行くぞ。」
代表が椅子から立ち上がる。
2人でガレージに入る。
モニターに表示される順位表に田邊は3位と表示されていた。
「ファイナルラップ、ファイナルラップ、田邊、そのまま頼むぞ!」
監督がヘッドセットのマイクに叫ぶ。
嬉しさを抑えきれないメカニックたちがピットサイドに駆け出す。
ちょうどトップ3が戻って来る。
「やったぁ!」、「っしゃあ!」色々な声が聞こえてくる。
目の前を10号車が走り抜けていく。
結果、優勝は杏堂拓実、2位に長谷部哲人、3位に田邊という結果になった。
3人がシャンパンファイトを楽しんでいた。
その時、代表に呼ばれる。
「実はお前に提案があるんだ。」
「何ですか?」
「お前にWEC、世界耐久のドライバー育成プログラムに参加してみてほしい。」




