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第16話「天才」
「あぁ〜。もうだめだぁ…」
松下は天を仰いでいた。
バコッ。
鈍い感触が来る。
「ってえ。誰スカ?」
「あ、なんだ、萩原か。久しぶり。」
頭を叩いてきたのはエナドリを持ったTOM'Sの萩原琢磨だ。
「何やってんの?はい、エナドリ。」
「サンキュ。練習よ、練習。」
「にしては、タイム悪くないか?」
「それなんだよ〜。何やってもうまくいかないの。」
「何が原因なんだろうな。」
「「うーん…」」2人で深く考え込んでいた。
その時、事務所のドアが開く。
「おっ、萩原も来てたのか。松下、紹介したい人がいる。この人だ。」
そう呼ばれて入ってきたのは見覚えのある男性。
「あ〜…杏堂選手…杏堂選手!?どうしてここに!?」
「言ってなかったっけか。杏堂はこのチームのチャンピオンドライバーなんだ。」
「鈴鹿での危ない追い抜きすみませんでした!」勢いよく頭を下げる。
「確かに、すごい追い抜きだったね。でも、あれも俺は想定できてたから大丈夫だよ。」
あの追い抜きまで想定しているのか。天才だ。
「もしかして、田邊先輩の後任のドライバーが、杏堂選手なんですか?」
「あぁ。杏堂には後半戦から10号車に乗ってもらう。」
「おぉ!チャンピオンと一緒に走れるんですね!」
「そうだ。学びもたくさんあるだろう。」
「楽しみです!」




