第93話 衝撃
「皆さん!ご静粛に!」
司祭が礼拝堂の中にいる一般市民の人達を鎮める
(遂に始まったな…)
『全部隊準備完了しています、あとは艦長の合図でデコイを突入、黒魔法の使用を探知出来次第部隊を出現させます』
(分かった、まだそのまま待機だ)
『了解しました』
そう会話をしている間にも下の会場にいる司祭は礼拝の準備を整えていく
「ここで一つ問題が発生しました、なんと悪魔に魅入られた者が教皇閣下を攫い、現在逃走中です、したがって教皇閣下が不在となるので、代理として…」
「私がやろう」
そう言って12人の枢機卿が座る席の中から一人が立ち、名乗りを上げる
「ガヴィエル様自ら教皇閣下の代理をされるのですか?」
「あぁそうだ、既に他の枢機卿からも賛同を得ている、何も問題はあるまい?」
「ふむ、、なら問題ありませんね、手順はもう知っておられますな?こちらへ…」
そうして司祭に連れられてガヴィエルという人物が礼拝堂の奥へと歩いていく
(デコイ行けるな?)
『はい、問題ありません』
(よし、予定通りの行動を開始させろ)
『了解しました』
そう通信が来た瞬間…
ガタッ!
一般市民が座る席から一人が立ち上がり、ゾンビに似たような歩き方で礼拝堂の奥へと歩いていく
「そこの人、元に戻って座りなさい」
「・・・・・・・」
「聞こえないのか?戻れと言っている!」
「一体どうした?」
ガヴィエルと言う人が後ろを振り向く
「申し訳ありません!此奴が言うことを聞かないもので…」
そう言って警備兵がデコイを押し戻そうとするが、デコイは前への歩みを止めず、むしろ警備兵の方を押していた
「こ、こいつ!ふざけるのもいい加減にしろ!」
「どうした?早く連れて行け」
「その、、っ!こいつ意外にも力が…」
「全く不甲斐ない…」パチン!
指を鳴らすと、礼拝堂の脇に付いている扉から複数人の私兵と思われる人達がデコイをつまみ出そうとする
(おい、アレを起動しろ)
『はい』
そう通信が入ると…
「おわっ!?」「な、何だ!?」「体が大きくなっている!?」
デコイに装備された吸引器が周りの空気を吸収し、それを空洞の体内に放出することで風船のようにデコイの体を膨らませる
「まさか悪魔の一体か!?」
ここでマーベリック枢機卿が市民達に恐怖するようにわざと発言する
「な、何だって!?」「悪魔!?」「は、早く逃げろ!殺されるぞ!」
市民達は大慌てで礼拝堂から外へ逃げていく
「ふん、悪魔だと…」
そう言ってガヴィエルがデコイに手を向け…
(来るぞ、しっかり観測しろ)
『了解』
「死ね」バキュゥッ!
手から少し黒色が混じった白い光線がデコイに向けて発射される、すると…
ボフゥッ!! デコイが割れ、辺り一帯に黒色の煙幕が一気に礼拝堂を包み込む
「うわっ!」「め、目の前が見えない…!」「な、何なんだ一体…!?」
(結果はどうだ!?)
『・・僅かですが黒魔法の魔素を探知しました!』
(よし!護衛機隊を降下させて一気に捕まえろ!ガヴィエルが最優先目標だ!)
『了解しました!』
そうして護衛機隊がステルスモードを解除して黒煙が渦巻く礼拝堂へ突入していく
「ぐわっ!一体何だ!?」「ごふっ!?」「た、助け…」
礼拝堂内から複数の悲鳴が聞こえ、煙幕が晴れると…
「な、何だこの者達は!?」「ひ、人じゃないっ!?」
(よし、全員捕まえたか…?)
そう思った瞬間…
『・・報告します、最優先目標を取り逃がしました』
(何!?一体何処に行った?)
『現在大聖堂内の通路内を逃走中、、地下へと続く通路に入りました!』
(不味い、、ここで逃したら後々面倒な事になる…!)
そうして俺は一旦礼拝堂内へと降り、大聖堂の事に詳しい枢機卿に話を聞きに行く
「枢機卿、大変な事になった…」
「それについては私も検討がついている、先程壇上にいたガヴィエルの姿が見当たらん」
「そうだ、それでそのガヴィエルは大聖堂の地下へと続く階段に入っていったそうなんだが…」
「む?大聖堂で地下へと続く階段は、、ッ!?」
「どうした?」
「ついこの前話したであろう、始祖の悪魔が封印されいるとされる建物だ、大聖堂で地下へと続く階段はそこに行く階段しか存在せぬ!」
「奴は一体何を…?」
「分からん、分からんがとにかくこれは不味い、外には一般の罪無き市民達が大勢いる!彼らを巻き込む訳にはいかん!」
「分かった、じゃあ枢機卿は外に出て市民の誘導と避難を頼む、俺は奴を追う!」
「うむ、健闘を祈る」
そうして俺は枢機卿と離れ、地下へと逃げたガヴィエルを追う
『そこを右です、その先を左へと曲がれは隠し通路があります』
(分かった)
最短誘導で地下へと続く階段に辿り着き、俺は急いでその階段を降りる、するとそこには…
「何だこの空間…」
地下には大きな横穴の空洞があり、側面の壁にはパルテノン神殿を思わせる石柱、そして正面には大きな反り立つ壁があり、中へと続く通路の様なものがあった
「ほう、貴様が私を襲った張本人か」
「そうだが?」
「貴様、マーベリックの使いであろう、こんな事をするのはマーベリックただ一人だけだからな」
「それで?ここで一体何をする気だ?」
「フフフ、まさか奴ごときにこれを使わねばならんとは思いもしなかったが、私をここまで恐怖させた者を殺すのだ、十分釣り合っていると言えるだろう…」
「あ?お前一体何を…」
「お前には分かるまいさ、この私の真の姿というものをな…」
そう言ってガヴィエルは奥の壁に空いている中へと続く通路のような所に入っていく
(奴は一体何を…)
そう思い奥へと走り出そうとした瞬間…
『艦長!大規模なエネルギーを探知しました!大至急そこから避難してください!』
(どういうことだ!?)
『とにかく地上へ行ってください!そこは危険です!』
そう会話していると…
グララララ…!!
地震のような揺れと同時に地面が割れるような音が響く
「くそっ、ここまでか…」
そうして俺は急いで階段を駆け上がる、そして上に上がっても地震は続き、俺は外へ出る
「一体何が起こってるんだ…」(地震を発生させる装置でもあったのか…?)
そうして数十秒後、とんでもない事が起こる
「お、おい!大聖堂が…」「大聖堂にヒビが入ってるぞ!」
今までその堅牢さを誇っていた大聖堂にヒビが入りはじめ、そして遂には…
ドカーン! ガラガラガラ!!
「大聖堂が崩れたぞーー!!」「急いで逃げろーー!!」
なんと大聖堂が崩れ始め、至るところで崩壊が始まった
『報告、地下から大規模なエネルギーが地上へ向かっていることを確認しました、至急数十メートル避難することをおすすめします』
そうして俺は指示通り数十メートル離れて様子を見る、すると…
『大規模なエネルギー源、地上へ出ます!』
そう通信が入った瞬間…
「おいおい、嘘だろ…」(まさか…)
大きな大聖堂を突き破り、姿を表したのはなんと…
「アグレディアの同型艦…!?」
そこにはアグレディアとほぼ同じ形状をした艦が、崩れた大聖堂の残骸を突き破り、艦首をその天へと向けていた…




