ばいばいげぇむ~けんや28歳~
「獲得:16,777,216B」
スマホの画面下にとんでもない数字が並んでいる。
パンパカパーン♪
軽い感じのファンファーレが鳴ると、画面にメッセージが現れた。
『1千万B突破おめでとうございます!
貴方は特別ステージへの挑戦権をGETしました。
明日より指定された場所にて上位者同士での直接対決が行われます。
衣食住は当社でご用意させて頂きますので是非ともご参加下さい。
【※指定場所:東京都新宿区…】
尚、参加されない方も現時点で得られたポイントは失効いたしません』
《参加しますか?YES/NO》
「何だ…これ?」
今まではこんなメッセージは現れなかった。
あの強盗騒ぎから9日。
何度か警察が現場検証に来ていたが、それ以降は何事もない日が続いていた。
アプリの景品で1千万というだけでも胡散臭いのに、突然明日ここへ来い…とか言われても。
コンビニのあるマンションの最上階。
けんや独りで暮らすには広すぎる部屋であった。
リビングのテーブルにスマホを置くと、気分を落ち着ける為に珈琲を沸かす。
こんなに立て続けに色々起きるのは何かの前触れなのか?
強盗とアプリの件を繋げて考えるのは馬鹿げているが…偶然なのだろうか。
ここで止めても1千万か…
店長代理という仕事があるとはいえ、数日ならバイトに任せても大丈夫だろう。
上手くいけば生涯賃金以上を一気に手にするチャンスである。
…とはいえ、現物で1億以上とかになったら何と交換すりゃ良いんだ?
今までは縁が無かったので気にした事すら無かったが、調べてみると一軒家やらクルーザーやら億単位の商品も交換出来るらしい事が分かった。
おいおいこのアプリ、何処まで本気なんだよ…
商品を目にして急に現実味を帯びてくると、再び画面へと目を落とす。
《参加しますか?YES/NO》
…ん?
『上位者同士での直接対決』って何だ?
殴りあって勝った方が…って、そんな筈はないな。
女性や子供も運さえあれば参加可能な筈である。
ならば、直接対決ってのも運試しなのだろう。
「まさかジャンケンとかじゃないだろうな…」
3千万を掛けてジャンケンをするとか…心臓に悪いどころの話じゃない。
何にせよ特別ステージというのは今までとはルールが違う可能性は高い。
「ま、危険な事にはならないだろう」
負けたとしても1円の損にもならないと考えれば、得られたチャンスは最大限に生かすべきである。
そう結論付けて、けんやも迷いつつ「YES」を押したのだった。




