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ばいばいげぇむ  作者: 硝子の騎士
28/41

ばいばいげぇむ~みやび28歳~

我慢した後の解放感。


我慢した甲斐があった…とは勿論言えないけども。


そもそも女子トイレが空かなかったのがいけないのだし。


私わるくないし。


って、子供みたいに膨れてみたところで、状況は最悪なままだった。


衆人環視のもとで漏らしてしまうという最大のピンチは脱したものの、強盗は店内に居るし、自分は男子トイレに居るし…。


らむだけを店内に残してきてしまった罪悪感が、今更ながらに胸に宿った。


これって、らむから見たら…私だけがセーフティゾーンに逃げ込んだ、みたいに見えるんじゃ…


いや、私は限界だったのよ。


って、言い訳が通用するものかどうか…


そもそも女子トイレを占拠してた人が悪いんだよ。


そこは是非とも理解して欲しい。


と、店内からゴンっ!…という鈍い音が。


その音を合図に女子トイレのドアが開く音。


このタイミングでトイレから飛び出すか!?


何だか店の中がザワついている…


私は男子トイレから出るタイミングが分からずに頭を抱えていた。


「みやび、あの人捕まったよ」

ノックする音がして、ドア越しにらむの声が聞こえた。




「それにしても、ビックリしたね」

私の家のリビングで、らむと二人で乾杯をした。

「ごめんね、ずっと我慢してたから…」

事情を説明したら、らむはあっさりと受け入れてくれたらしく、大爆笑されてしまった。


「とはいえ、あのおじさんどこから沸いて出たんだか…」

「え?どうゆう事?」

らむ曰く、ホットドリンクコーナーに居た大学生風のお兄さんが強盗を倒した直後に、強盗を取り押さえた男がいたらしいのだが、店内にいきなり現れた…らしい。


駆け付けた警察官と一緒に強盗を連行して行ったらしいのだが、何とも不思議な話である。


「まぁ、二人とも無事だったし、貴重な体験が出来たって事で♪」

既に何回目か分からないけどグラスを合わせた。


それから再び昔話に花を咲かせた。

らむとは中学、高校と一緒だったので本当に懐かしい思い出ばかりだ。


「それで、らむはまだ良い人出来ないの?」

なんとなく聞いてみただけだったんだけど、らむは明らかに動揺している。

地雷だったかな?

「私はまだ、そういうのは良いかな。今は仕事が楽しいからね」

「あ~まあね~…」

産休を取ってる同僚の顔が頭に浮かぶ。

早く仕事に復帰したいと、毎日のように幸せそうな愚痴を聞かされていた。


何気なくスマホを手にして日付が変わっている事に今更ながら気付いた。

「お、みやびもそれやってるんだ」

「やってない人の方が珍しいでしょ」

らむが興味を示したのは『ばいばいげぇむ』というアプリ。

今や誰もが使っている有名なゲームだ。

「20連勝くらいすると…悩むよね」

20連勝といえば100万を越えている。

私は17日くらいで怖くて止めてしまっていた。

「よく20日も続けられるな、らむは度胸があるね」

アートギャラリーの収入がどれくらいかは分からないけれど、100万といえば大金だとは思う。

「あれこれ欲しい物があるしね。交換出来るのが1商品のみってのがヤラしい」

このアプリで得られたポイントに応じて、他のアプリで実際の商品と交換出来るのだが、通常価格より1割増しな上に毎月1点しか交換出来ない仕組みになっている。

課金などは一切無いけども、端数は翌月に繰り越しになるので勿体ないと思い、翌月も挑戦してしまう。

…本当に人の欲求を刺激する上手いシステムだ。

「こんなんで本当に採算取れてるのかな?」

「取れてるから続いてるんでしょ。1割増しってのも、まあ上手いよね」

私もらむも、二人揃って15日目の挑戦に成功していた。


今回はいけるところまでやってみようかな…


この時の私は軽い気持ちでそう考えていた。

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