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自由奔放な猫の如く  作者: 黒田明人
2.放置の対策
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探しても探しても誤字脱字が尽きない。

また発見した orz

 

 結局、ゲームのIDと2年間の無料課金の権利を友人に売り付け、そいつから10万円得た。

 そいつは有料課金と変わらないが、割引の分だけお得だと、快く買ってくれたんだ。

 そいつはオレの小遣い額を知っていて、昼メシ代にするんだろうと言って、協力してやるよと言って。

 けどな、本当はそのゲームをやらない理由は別にあるんだ。

 オレはシューティング系のゲームは好きじゃないんだ。

 特に戦争系でリアルな殺し合いのあるゲームはやりたくない。


 嫌いじゃないけどやりたくないんだ。


 実は以前、そういうのが好きな兄貴に強要された時なんだけど、あるVRWAR(VR戦争ゲーム)をやったんだけど、自分が怖くなってすぐに止めたんだ。

 だってさ、そのゲームは超リアルを売り物にしていて、チュートリアルから気分が悪くなって強制ログアウト続出になったんだ。

 それでも慣れた者は継続になったようだけど、兄貴も当初は青い顔をしていたから気分が悪くなっていたんだろう。

 それで兄貴も直接戦闘じゃなく、作戦立案なんかのほうに流れたようで、そこの水に合ったようでオレにも勧めてきたんだ。


 もうそのゲームは運営停止になったけどさ。


 またぞろ生贄になるのかと思ったが、どうやら最初の刺激的なチュートリアルでの思いをオレにも味わわせてやろうと思ったようだ。

 本当にとことん腐っている兄貴だが、いきなり断るのもなんだと、兄貴の思惑に嵌まってやろうと思った訳だ。

 そしてそのチュートリアルとやらが始まったが、オレは何て言うのか、まるでスイッチが入ったかのように自然に動き、速やかに敵兵を処理していったんだ。

 何も考える事なく武器を持つ手は自然に動いて頚動脈を切り、当たり前のように心臓を撃ち抜き、言われるままに全てのターゲットを無力化し、チュートリアルの結果がPERFECTと表示されたにも関わらず、何か物足りなさを感じていた。


 そこでハッと気付いて自分の思考が怖くなったんだ。


 そんなチュートリアルを体験し、これ、ヤバくね? と、それで気分が悪くなった振りして兄貴には向いてないと言って断ったんだ。

 まあ、実際、俯いて口を押さえてガタガタ震えて見せれば、情けねぇの一言で終わって幸いだったが、どうにもしてやったりというのが丸分かりで、やはりと思ったが何も言わず、そのまま部屋に戻ったんだ。


 それが中2の頃。


 いくら黒い歴史の病に患る年頃だとは言え、そんな殺人鬼か殺し屋みたいな事が平気でやれるとか、逆にヤバいとしか思えなかった。

 あんなのに慣れたら将来は本当に、そんな職業しか無くなるって閃きが……そんな訳でオレは、血生臭いゲームは好きじゃないと公言し、実際にも全く手を付けてない。


 だからまた言うんだ。


 チュートリアルで断念したけど、友達がやりたそうにしていたからIDを渡したんだとね。

 その友人は黒い歴史の病の真っ最中で、どうやらVRの中で殺して陶酔しているようで、頼むからリアルで手を汚さないで欲しいと願うばかりだ。


「くっくっくっ、昨日は諜報員を捕らえてよ、たっぷりいたぶって殺してやったぜ」

「頼むからVRだけにしておいてくれよ」

「いや、済まん済まん。あっちじゃオレの本性が抑えられなくてな」

「そんな殺人狂みたいなのが本性かよ」

「オレの裡の死神が囁くのさ。殺せ、殺せとな」

「頼むから危険な事はしないでくれよ」

「ああ、リアルでは犯罪は起こさない。だが、VRじゃそうもいかなくてな」

「その死神ってな、祓えないのか」

「無理だな。それこそがオレの本性だから」


 すっかり病の最中の友だが、高校生になって治ると思ったんだけどな。

 他の2人はもう言わなくなったから治ったのかも知れないが、こいつだけは未だに直接戦闘を好む。

 しかも、拷問も好むと言うからどうしようもない奴だ。


「あいつ、まだ治ってないんだな」

「お前の左腕の悪魔は消えたのか」

「うっ、もう言うな、頼むから」

「やれやれ、困った奴だな」

「そういうお前も魔眼とやらはどうなったんだ」

「くそ、まだ覚えていやがったか、この野郎。忘れろ、消去しろ」

「お前らの黒い歴史はしっかりと覚えているから、社会人になってもその話題で盛り上がりそうだな」

「冗談じゃねぇぞ。盛り上がるのはてめぇだけだろうが」

「オレにそんな歴史は無いんでな、反撃は無理だと思えよ」

「ふっふっふっ、甘いな」

「うえっ、何かあるのかよ」

「当たり小僧」

「何でだぁぁぁぁ」

「ふふん、お前、オレにも言ったのを覚えてなかったか。当てるから当たったら寄こせと言っただろ」

「うわぁぁぁぁぁ」

「くっくっくっ、で、どんなカラクリなんだ」

「当時は空腹限界で飢餓の本能みたいなのが立ち上がったのか、何となく匂いで分かる事があってな。今はもう飢える事もなくなったが、当時は食える雑草を探していた経験もあるんだぜ」

「雑草とか終戦直後かよ」

「飢餓で原始の本能みたいなスキルを得たんだな」

「スキルとかゲーム脳になってないか? 」

「喧しい、この野郎」

「それが今でもテストのヤマ当てとして残っているんだな」

「そいつは入学の時の話か。まあ、あの時は必死だったからなぁ、そうかも知れんなぁ」


 中二病真っ最中の小野原、既に癒えたと公言しながらもゲーム脳っぽい斉藤、同じく治癒したと言い張っている石崎。

 そしてオレを含めた4人は中学の頃、オタク4天王とか呼ばれていた。

 オレは単に話を合わせていただけだが、3人はまさにイタイ発言を繰り返し、クラスの連中に引かれていた。

『狂気の死神』小野原、『左腕の悪魔』斉藤、『冷徹な魔眼』石崎ってのが当時の二つ名なんだけど、オレだけ毛色の違う二つ名になっていた。


『饗宴の供物』沢田ってさ、オレは生贄かよ。


 まあそんな病の奴らと付き合っていた事もあり、苛めから縁遠く居られた。

 色々な役柄にそれぞれ成り切って、何かちょっかいを出すたびに大騒ぎする奴らとか、苛めをしようって奴らにゃ邪魔でしょうがない相手だ。

 隠れての行為が本筋の奴らに対し、殊更に大騒ぎして目立って陶酔するのが本筋の奴ら。


 全くの正反対である。


 だからそんな奴らとつるんでいたオレに、うっかり手を出そうものなら即座に先生の知るところに及んでしまう。

 最初の数回で懲りた奴らは、オレを苛めの対象外に置いた。

 都合が良いのでそれからもこいつらとつるみ、そして進学した今でもその付き合いは続いている。

 3人はバカやっていたけどそれなりに成績は良く、それに合わせて何とか進学して今に至るが、クラス分けの関係で現在進行形の小野原以外は別のクラスである。

 だから無理して進学したって事にして赤点ギリギリでやっていたって言うのに、親の陰謀で50点キープになったのが残念だ。


「お前、テストはどうだった」

「平均52点」

「あれ、休み明けの試験もそう言ってなかったか? 」

「親との約束でな、平均50以上にしないといけないのさ」

「いや、そうじゃねぇよ。前のテストと同じ平均点って言ってんだ」

「偶然だろ」

「けどよ、中学の頃、お前だけ赤点ギリギリでよ、この学校は無理だと先生に言われてたんだろ。なのにフタを開けてみればすんなり受かってよ」


 ああ、思い出すなぁ。


 高校進学の金の件で、進学校っぽいここが、もし受かるなら授業料を出してやると。

 まあ、先生もまず無理だと言っていたからそんな賭けに乗ったんだろうけど、あっさり受かったオレに対し、妙に悔しそうにしていたっけ。

 お前だけだったんじゃないか? 子供が合格して嬉しそうにしてなかったのは。


「必死で勉強してヤマが当たっただけさ」

「お前、もしかして本当はもっと賢いんじゃないのか? 」

「赤点4天王にも加入していたオレがか? 冗談だろ」

「なあ、何か問題があるんならさ、誰にも言わないから教えてくれよ」

「問題は特に無いさ。オレは平均が50点以上になるように努力しているだけだ」

「わざと抑えるのに努力してんだな」

「どっからそんな想像持って来た。再発したか? 中二病が」

「冗談はよしてくれよ。もうあんなのは過去の話だ」

「お前の『冷徹な魔眼』にはオレがそう映るらしいな」

「うおおおお、それを言うなぁぁぁ」


 恥ずかしい過去を持つ奴らには、当時の二つ名を言えばいい。

 それできわどい話題もなし崩しになっちまう。


 こいつは信用とかそういう話じゃないんだ。


 かつてはそれを発見して活用し、今ではオレの根幹になっている。

 さすがにオレの根幹など、おいそれと明かす訳にはいかないさ。

 お前がどんな奴に脅されても、確実に対処出来るなら別だけど、お前も嫌だろ、そんな秘密を抱えるのって。

 的中率100パーセントの予知能力者の根幹とか、本当に知りたいのか?


 オレなら知りたくはない。


 そんな余計な秘密を持っていると知られたら、世界中から狙われるに決まっているからだ。

 オレ本人ならヤバい筋は閃きで回避できるが、ただ秘密を持っているだけの奴には無理だ。

 そして最悪、人質にされるかも知れないと思えば、お前らには教えるつもりは無い。

 何はともあれ、当時は本当に助けられたと思い、今でも付き合ってくれるのを嬉しく思っているが故だ。

 だから今回のオーバーフロー一攫千金作戦の後は、しばらく静かにしていく予定だ。

 裏の商売で地道に増えてくれれば、もう荒稼ぎの必要も無い訳だし。

 上の兄姉の不始末の対策は、それで足りると思うが故だ。


 まあ、兄貴にタダでは儲けさせないよ。


 全国の良心的な扶養施設……まあ、孤児院のような施設な。

 兄貴を含めた20ヶ所に同様のメールを送っておいたのだ。

 だからもし世界的に有名になったとしても、個人的に有名になるのは独力で当たった奴と兄貴だけ。

 後は経営の怪しい良心的な施設の資金調達の手段と言うか、イチカバチカの勝負に勝ったと言われるだけだ。

 ただその数が多いせいか、フリメの話も漏れるかも知れんが、生憎とそのフリメは手繰れない代物だ。


 さあ、踊れ踊れ、計画のままに。


 それにしても今回の10桁が少しおかしい。

 いつも当てているせいか、何かの企みを感じる。

 もしかすると何処かの国の調査でも入ったのか、閃きが危険を伝えてくる。

 なのでナンバーズ系の掲示板に流してやる事にした。

 さあ、数万口の購入者全てを調査するがいい。

  

どうにも言い回しがおかしいけど、このままいくしか……

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