[終わる喜び、始まる悲しみ]
私は、小さい頃、病院に行ってお医者さんに見てもらうと「インフルエンザだね、今日はお家でゆっくり休んで安静にしていなさい」と言われたことがある。
インフルエンザで死ぬことはたまにあるらしい。でも、そんなことは言われなかった。事実、私はそのまま容態は回復し、学校に無事戻ったからだ。
風邪を引くと、とても頭が痛む。ずきずきと。そのうち咳が出る。体の節々がどんどん痛くなる。そして、体の変化を、その痛みを通じで私は毎回、認識していった。
私は、目を覚ますと見知らぬ天井を見上げていた。真っ白い、ただただ真っ白い天井だった。視線を少し下にやると、私の口にはなにかついていた。呼吸器のようなものだった。呼吸器の中で、私の息を吸ったり吐いたりする音が反響していた。
両腕は動くらしい。私は、右手で額を撫でた。銃痕のようなものは見当たらなかった。代わりに、眉毛と、前髪の生え際がそこにはあった。先ほどまでの二人はどこに行ったのだろう。二人は無事脱出できたのだろうか。私を、仮死状態にでもし、難を逃れさせてくれたのだろうか。不思議な能力を使うやつらだったのか。
私の左側に、窓があった。窓際には一輪挿しが置いてあった。あまり、花とかには興味はなかったが、なんとなく心が安らぐ気がした。心なしか匂いもするようだ。
ぼけっとしていると、病室のドアが、ガラガラと音を鳴らしながら開いた。
「あ……」
看護師のような格好をしている女性が目の前に現れた。いや、ここが病院であるならば、当然存在してもおかしくはないのだが。このような状況下で「いや、コスプレですぅ」などと言われたらどうしようか。
「目を覚まされたんですね」とその女性尋ねてきた。
「ええ、まぁ」と私はそっけなく答えた。状況がよくわからないからだ。
「もう、何日でしょうね。結構眠っていらしたんですよ」
「はぁ……」
「あら、あまり記憶がないのかしら。そうね、大変な交通事故だったらしいから」
「はぁ……」
交通事故? 私は、交通事故にあったのか。そんな。そんなことはない。そもそも、私は死んでいたはずだ。大学で殺されたのだ。奇妙なお面を被った天狗に。
「大学の校門前の通りで、勢いよく突っ込んできた車にひかれたんですよ。幸いなことに外傷がほとんどなくて、奇跡だったんですって。でも、意識だけは無くて……」
女性は、私を心配そうな目で見つめていた。
「あ、先生に報告しにいかないと行けないわ。ちょっと、先生のところに言ってくるから、安静にしていてくださいね。きっと、先生もビックリするわね」と、言って看護師は病室を出て行った。なんだか、私は違う世界に来たような気分だった。「もう、どうにでもなれ」そんな気分だった。
しばらく、窓の外の景色を見ていた。たしかに、ここは大学近くの病院だった。大学が見えたからだ。
「おお、元気になりましたかね」
病室に新たな人が現れた。白衣を身にまとったひげ面の男だった。ひげ面?私は記憶の底で聞いたような響きだった。
「元気ですか。そうですか。もう、意識が戻らないかと思ったんですけどねぇ。よかった、よかった。精神的にも安定しているようだ」
男は、とても柔和な表情をしていた。そして、ベットの周りに設置した機械の数値を見たり、患者の容態を確認した。
「ふむふむ。全然、元気ですね。ちょっと、ご家族の方に連絡してきますね。目を覚ましましたよって。きっと、ビックリしてしまいますね。ふふふ」
男は、そういって座っていた椅子から立ち上がり、患者の下から離れた。病室のドアに手をかけた時だった。患者は、ベットから立ち上がり、さっきまで男が座っていたパイプ椅子を手に持ち、それを男の頭に勢いよく振り下ろした。
男は、苦痛な叫び声をあげたが、構うこと無く患者は男の頭をパイプ椅子で叩き続けた。しばらくして、男の頭から血が勢いよく吹き出し、男は動きを止めた。
さきほどまで、患者を応対していた看護師が病室に現れ、悲鳴をあげた。その悲鳴に気がついた同僚たちが集まってきた。患者は、その血の海に膝を落として、天井を見てケラケラと笑っていたのだった。
その後、患者は精神病棟へと移された。交通事故のショックで精神疾患をわずらったということで事件は処理された。
患者は、真っ白い病室で今日も、気味の悪い笑みを浮かべながら、部屋の一点を見つめているのだった。
その部屋の壁の先にある樹海のほうを。
去年の今頃から書いていたみたいです。でも、実質は一ヶ月くらいで書いた作品です。どんだけほっといたんだって話です。
全部、読んで「わけわかんねぇよ」って言って正解です。なぜなら、作者もよくわかってません。でも、さまざまな解釈とかできるかもしれませんね(絶対無理)あと、私の他作品「群青STORY」と若干のリンクを試みて失敗してます。読んでみてくれると嬉しいです。あっちも、夢オチで終わらせようかな。
結局、夢オチ?だったようなそうじゃないような。無心で書く作業もわりと楽しいものです。最終話のタイトルも、思いつきで書いたのですが、今後の自分を表している気がします。無心て面白い。
あーヨーグルト食べたい。
では、あるなら、次回作で!




