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まいにちの小さな冒険 友達や家族と楽しむ毎日の発見  作者: たむ


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220/220

第220話「四かくい星の話」

夜、あかりちゃんは空を見上げて、四かくに見える星のならびを見つけました。

それが、学校で見つけたかけらのひみつにつながっているのかもしれません。

次の日の朝、あかりちゃんはそのことを、はるとくんとゆうとくんに話しました。

 次の日の朝、あかりちゃんはいつもより少し早く校門へ向かいました。


 胸の中には、昨日の夜空がまだ残っています。

 四かくに見えた星のならび。

 その近くの月。

 夜の空気の冷たさまで、まだ覚えている気がしました。


「ほんとうに、何かつながってるのかな」


 そうつぶやいたとき、校門の前に、はるとくんの姿が見えました。


「おはよう」

「おはよう」

 はるとくんは、あかりちゃんの顔を見るなり言いました。

「なんだか今日は、話したいことがありそうな顔だね」


「あるよ!」

 あかりちゃんは、思わず声をはずませました。

「昨日の夜、空を見たの」


「空?」

「うん。そしたらね、四かくっぽく見える星があったんだ」


 そこへ、ゆうとくんもやってきます。


「おはよう。何の話?」

「夜空の話!」

 あかりちゃんは、昨日見たことを二人に話しました。

 夜ごはんのあとに外へ出たこと。

 星を見ていたら、四つくらいの星が大きな四かくみたいに見えたこと。

 その近くに月も見えたこと。


「四かくかあ……」

 ゆうとくんが考えるように空を見上げました。

 もちろん、朝なので星は見えません。


「図書室の本に、そんなのがあったかも」

 はるとくんが言います。

「ペガサス座って、大きな四かくが目じるしなんじゃなかったっけ」


「あっ」

 あかりちゃんは目を丸くしました。

「じゃあ、やっぱりあれかな」


「たぶんね」

 ゆうとくんもうなずきます。

「羽のある馬ぜんぶの形は見えなくても、四かくのところだけなら、わかりやすいのかも」


 三人はその場で、少しわくわくしてしまいました。

 学校の木の下のひみつが、ほんとうに夜空とつながっているように思えたからです。


「ねえ」

 あかりちゃんが言いました。

「だったら、木の下の丸い板みたいなのも、四かくの星と関係あるのかな」


「ありそう」

 はるとくんが答えます。

「夜空の絵の中に、目じるしになる星が描いてあったのかも」


「それに、まんなかの金色のしるしも」

 ゆうとくんが続けました。

「星の大事な場所を表してるのかもしれない」


 三人は、朝のしずかな校庭を歩きながら、大きな木のほうへ向かいました。

 もうすっかり、木の下へ行くのが毎日の約束みたいになっています。


 木のうしろに着くと、朝の光がまだやわらかく差しこんでいました。

 三人はしゃがみこんで、そっと土を見ます。


「今日は、あまりさわらないで見よう」

 はるとくんが言いました。

「形を頭の中でつなげたいから」


「うん」

 あかりちゃんも、そう思いました。


 木の根もとの土の下には、白いかけらのならび。

 その外へつながるように、別の場所で見つかった青いかけらや月のかけら。

 そして、まんなかの金色のしるし。


 全部を思い出しながら見ていると、土の下にかくれた丸いものの形が、前よりはっきりしてくる気がします。


「ねえ、こうじゃない?」

 あかりちゃんが地面の上に指で丸をかきました。

「ここが丸い板で……」


 その丸の上のほうに、小さな四かくを描きます。


「ここに、四かくい星のならびがあって」


「で、そのまわりに空の絵」

 はるとくんがつけ足します。


「下のほうか横のほうに、白い羽みたいなの」

 ゆうとくんも言いました。


 三人は、土の上の簡単な絵を見つめました。

 ほんとうにそうかは、まだわかりません。

 でも、ばらばらのかけらが一枚のものとして見えはじめています。


「これ、ただの星座の絵じゃない気がする」

 あかりちゃんが言いました。


「うん」

 はるとくんがうなずきます。

「星座を“見つけるため”の絵というより、“覚えるため”の絵かも」


「覚えるため?」

「ほら、本にも絵があったでしょ。星のならびだけだとわかりにくいから、馬とか鳥とかの絵といっしょにして」


「ああ……」

 あかりちゃんには、その言葉がすとんと胸に落ちました。


 星は、ただ見ても小さな光です。

 でも、線をつないだり、絵を重ねたりすると、形が見えてきます。

 まるで、木の下のかけらとおなじです。


「だから、夜空を見て作ったものなんだ」

 あかりちゃんが小さく言いました。


 そのとき、朝の光が少し動いて、白いかけらの線がほそく光りました。

 まるで、「そうだよ」と返事をしているみたいです。


「見て」

 ゆうとくんが、木の根もとの外がわを指さしました。

「この白いかけら、やっぱり丸のふちだ」


 三人でよく見ると、白いかけらは、中心を囲むようにゆるく弧をえがいています。

 羽というより、外側のかざりにも見えました。


「夜空の絵のまわりの、かざりつきの板……」

 はるとくんがつぶやきます。


「なんだか、すごく大事なものみたい」

 あかりちゃんも言いました。


 学校のどこかにあったものなのか。

 それとも、だれかが持っていたものなのか。

 まだ、それはわかりません。


 でも、ただのこわれた板ではないことだけは、前よりもずっとはっきりしてきました。


 遠くから、登校してくる子たちの声が聞こえます。

 朝の静かな時間は、もうすぐ終わりです。


「今日の夜も、空を見てみようかな」

 あかりちゃんが言いました。


「ぼくも見てみる」

 ゆうとくんが答えます。


「じゃあ、明日また話そう」

 はるとくんがうなずきました。


 三人は立ち上がって、教室へ向かいました。

 木の下のひみつは、まだ全部は見えていません。

 でも、学校の土の下にあるものと、夜の空にあるものが、少しずつひとつの話になっていく。

 そんなふうに思うと、あかりちゃんは胸がぽっとあたたかくなりました。

夜空の四かくい星のならびは、ペガサス座の目じるしかもしれません。

木の下で見つけたかけらも、星を見つけたり覚えたりするための絵につながっているようです。

三人のひみつは、土の下の発見から、空の物語へと少しずつ広がっています。

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