第四十三話 エピローグ
吸血鬼のイスラフィールは物覚えが出来た頃から一人だった。
そんな女の子は友達を求めて人間の世界を旅をした。
そしてイスラフィールは出会った。大切な友達に。ルーテシアという男の娘に恋心を抱いた。
そんな男の娘は今、イスラフィールのママに何故かなっていた。
「ママ!イスラと遊んで!」
「はいはい。じゃあ何して遊ぶ?」
「んーとね!んーとね!お店屋さんごっこする!ママが店員さんでイスラがお客さんね!」
季節は夏。
あの事件から数ヶ月経った今、イスラフィールの見た目はもうすでに五歳児程度まで大きくなっていた。
普通の赤ちゃんならあり得ない成長速度だが、イスラフィールは特殊な吸血鬼。ルーテシアたちは特に深く考えなかった。
「えへへ〜」
イスラフィールはいきなりルーテシアに抱きつく。
そして慣れた手つきでルーテシアの胸を揉んだ。
「キャッ!!こら!イスラ!やめなさい!!」
堪らずルーテシアはイスラフィールを引き剥がそうとするが吸血鬼の力からは逃れられない。
「ダメだよママ?お店屋さんごっこなんだからお客さんには優しくしないといけないんだよ?」
「ええ!?お店屋さんごっこって夜のお店のこと!?」
「えへへ。良いではないかー。良いではないかー」
イスラフィールはルーテシアに抱きついたまま離れない。
流石のルーテシアもこれには参った。
仕方ないと諦め、イスラフィールの頭を撫でる。
二人の関係を知らない人が見るとまるで親子そのものである。
ちなみに男の娘の淫魔であるルーテシアに女の子のイスラフィールが過剰な接触をしているが、ルーテシアはイスラフィールの魔力を吸うことはない。
何故ならば見た目の背格好があまりにも離れているからだ。
ルーテシアの性的嗜好はロリコンではなく年上のお姉さんである。
そんなわけで子どもの姿をしているイスラフィールはルーテシアに触り放題だった。
ずっと人肌を求めていたイスラフィールである。一度体験した温もりは忘れ難い。
暇があれば常に誰かとくっついてた。
ルーテシアたちが住んでいる喫茶ダーラムにはルーテシア以外にも多くの人がいる。
このお店のオーナーであるメルフィーナ。そして従業員のミレットとエレナ。メルフィーナが親代わりに保護しているリーゼリッタとリーゼロッタの双子の犬耳姉妹。
全員がイスラフィールに良くしてくれる。
イスラフィールは幸せだった。
ずっと憧れていた家族がそこにいた。
一緒にご飯を食べて、遊んで、お風呂に入って、一緒の布団で寝る。
当たり前だけど得難い温もり。どれも大切な家族だ。
カランコロンと入口のドアベルが鳴る。
ルーテシアとイスラフィールがドアへと目をやると、そこにはイスラフィールのもう一人のママがいた。
「ユーリママ!」
イスラフィールはルーテシアから離れてユーリシティアに飛びついた。
そんなイスラフィールをユーリシティアは優しく抱き抱え、頭を撫でてやる。
「こらイスラ!いきなり飛びついたら危ないでしょ?」
「うぅ……、ごめんなさい」
ユーリシティアに叱られたからか少し反省したイスラフィールはユーリシティアと手を繋ぎながらルーテシアの隣の席へ座る。
そこからは他愛もない話で三人は会話に花を咲かせる。
孤独な吸血鬼は旅をした。
道のりは険しく先は見えない旅路。
そんな旅の終わり。一度無くした命を代償に旅する吸血鬼は二人の大切な人に出会った。
一人は耳の長いエルフのママ。
そしてもう一人は男の娘の淫魔であるママ。
イスラフィールは旅の終わりに幸せにも二人のママが出来た。
そしてイスラフィールは、二人の大切な家族と共に新たな旅へと旅立つのだ。
これで第一章終わりです。
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