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9話 家の明かり

私は夢を見ていた気がする。

楽しくて、辛くて、最後には死んでしまう。そんな夢。

でもどうやら起きてしまったみたいだ。



・・・あれ。・・・なんか前にもこんなことがあった気がする。

これが「デジャウ」というものなのだろうか。

昔懐かしい豚の友人から聞いた謎の言葉を思い出しながら、私はゆっくりと目を開けた。


目に映ったのは、暖かな色で作られたレンガの天井。

自分が家の中にいるのだと分かった。

パチパチと燃える薪ストーブが、部屋を暖かい空気で満たしてくれていた。


牛侍

「・・・なんで寝てたんだっけ」


暖かなふとんにくるまりながら、私は考えた。


たしか私は縁側でお茶を。

・・・いや違うこれは別の記憶だ。


たしか私はエゾンマ大森林での戦いで、裏切った旧友に切り伏せられて。

・・・いや違う、これも別の記憶だ。



・・・うーん、なんだったっけな。

記憶が交錯して、先ほどまでの事が中々思い出せない。


ファミリア

「・・・お姉ちゃん?」


ドアの奥から、聞きなれた少女の声が聞こえた


牛侍

「ファミリア!!!」


私はベッドで横になっていた体を、まるで1960年の東京オリンピックで行われたスキージャンプのようにたたき起こした。


開いている扉の奥。今にも泣きだしそうなファミリアが、マグカップを乗せたおぼんを持って、うるうると私を見つめていた。


そんなファミリアを見て、私はこう思った。

「どうしよう、なんで泣きそうなんだろう」


私は、ファミリアが泣きそうな原因を探す為、この数秒で3つの案を導き出した。


1,今までなかなかファミリアのことを思い出せなかったのが、ばれている。

2,ナンドウしかあげなかったことを怒っている。

3,ナンドウに原因不明の毒が入っていて、そのせいで涙が止まらない・・・。


ファミリア

「お姉ちゃん!!!!」


ファミリアがおぼんを床にこぼしながら、抱きついてきた。

膝でむせび泣くファミリアを見た私は、ようやく先ほどまで自分が何をしていたのかを思い出した。


牛侍

「私はここにいるよ、ファミリア」


そう言ってファミリアの頭をなでる私だったが、

ファミリアが無事だったことが心の底から嬉しく、油断すると涙があふれてしまうところだった。





見知らぬ女の声

「ファミリアちゃ~ん、なにか音がしたけど大丈夫~?」


ひとしきりファミリアをなでた後、ドアの奥から見知らぬ女の声が聞こえてきた。

一体誰だろうか。もしファミリアを狙う人間だったらただではおかない。

あふれ出る殺気を抑えることが出来なくなっていた私。

ファミリアが慌てて、誤解だと説明してくれた。


ファミリア

「ち、違うのお姉ちゃん!2人は私たちを助けてくれたんだよ!?」


そ、そうだったのか。

命の恩人に殺気を放つなど、とんでもないことをしてしまった。

それに殺気を出したせいで、さっきまで泣いていたファミリアも別の意味で泣いてしまいそうだ。


あわあわと動くファミリアに、私は「ごめんね」と謝罪した。

その後、私はファミリアに手を引っ張られながら誰かが用意してくれた部屋を出た。助けてくれた命の恩人に感謝を伝えるために。

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