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049. 出発

誤字、脱字、御指摘、感想 等もらえると嬉しいです。



[夜明けです。起きてください]


 久しぶりにナノムに起こされて起きた。アルコールの分解をナノムに頼んでいたので酒の影響は全くない。

 しばらく、風呂には入れないので是非とも朝風呂に入ろう。


 風呂から上って、角煮のレシピを書き終わっても、まだ朝食には早い時間だった。



 イーリスから通信だ。


[艦長、セリーナとシャロンの階級についての件ですが…]


(ああ、そうだった。セリーナ・コンラート准尉、シャロン・コンラート准尉の両名は、司令官の発見及び、物資調達に尽力した功をもって少尉に昇進させる。これは艦長命令だ)


[了解しました。通常であれば、とても承認されないであろう昇進ですが、現在は第一級非常事態宣言中ですので、何の問題もありません]


 先日からイーリスに頼まれていたのは、セリーナ、シャロンの階級についてだった。


 軍規によると艦長に昇進できるのは士官のみで、下士官は艦長になる資格はない。つまり、二人が准尉のまま俺に何かあれば、この惑星の帝国軍には司令官が不在になってしまう。イーリスに第一級の命令を下せるのは司令官である艦長のみなので、出来るだけ早く二人を士官に昇進させるように頼まれていた。


 これで俺に何かあっても、二人の内どちらかが艦長に昇進して帝国軍を率いてくれる。そう考えると肩の荷が降りるような気がした。


 そういえば、セリーナとシャロンはどちらが先任になるのだろう? 同じ階級の場合、先に任官されたほうが先任、上位になる。二人は今、全くの同時に任官された。どちらが先任とは言えないはずだ。


(セリーナとシャロンはどちらが先任なんだ?)


[セリーナです]


(なぜ? 任官は同時のはずだ)


[さきほどの命令の際、艦長はセリーナの名前を先に口にされました。それが理由です。過去の判例に基づく慣例になります]


 そんなくだらない事で決まっていいのだろうか? まぁ、俺が死ななければ問題になることはないか。


[それから艦長、現状ドローン一機を直掩機として上空に待機させていますので、そのまま旅にお連れください]


(ドローンを? 必要か? ドローンは全機情報収集に当てているんだろう?)


 ドローンは各都市を周り、主に酒場に設置されているビットに保存されている情報を回収して周っているはずだった。ビットの通信可能範囲が狭いため、これはどうしても必要な処置だ。


[直掩機は必要です。万が一、艦長達三人が失われれば、作戦は頓挫し、私はただの宇宙ゴミになるのですから]


 そう言われればそうだな。ドローン一機ぐらいを無駄に使う事に躊躇する必要もないか。保険と考えれば安いものだ。



 朝食の時間になったので食堂に降りていった。

 御茶を飲みながら待っているとみんな降りてきたが一番最後はクレリアだった。


「うぅ、頭が痛い…、しかも気持ちが悪い」とクレリア。


 バリバリの二日酔いのようだ。これから出発だというのにしようがないな。


(ナノム、クレリアの体内のナノムに命じて二日酔いを治してやってくれ)


[了解]



「お風呂に入っても治らなかったのに、御茶を飲んだら少しづつ気分が治ってきた」とクレリア。


「リア様、昨日は飲み過ぎですよ」とエルナ。


「確かに飲み過ぎかも…。途中までは覚えていて、楽しかったのは覚えているけど、どう楽しかったのか記憶にない…」とクレリア。


「フフ! けっこう面白かったですよ、クレリアさん」とシャロン。


「気になる…」とクレリア。


「フッ、あとで教えて差し上げますよ、リア様」


 朝食のサンドイッチが出てくる頃には、クレリアは食べられるぐらいには復活したようだ。


「準備ができ次第、出発したいがどうかな?」


 みんな、問題ないというので食後直ぐに出発することにした。荷物が多いのでまずは馬車を引きとってから宿の荷物を積み出発する事にする。


 どうせだからと全員でタルスさんの店にいくと、タルスさんの家族が揃って見送りに来てくれていた。

 購入した物資はもう馬車に積み込み済だ。


「わざわざ見送りに来て頂いてありがとう御座います」


「いえ、アランさん達にはお世話になったので当然の事ですよ。では、皆様の旅の無事を祈っています」


「有難うございます。では、行ってきます」


 みんな口々に別れの挨拶をして店を後にした。


 宿に着いて追加の荷物を積み込む。この馬車はむき出し御者台と大きな箱が付いたようなデザインになっており、その箱の前部は人が座って乗るスペース、さらにその後ろに区切られた荷物を積むスペースがある。サスペンションがついており乗り心地は中々に快適だ。


 商会が所有していた馬車だけあってかなりの荷が積めるように設計されているので、追加の荷を載せても全然余裕だった。さらに馬車の箱部分の上にも荷を積めるようになっているので、まだまだ積載できそうだ。


「アラン、いよいよ出発か。これを忘れてるぜ」


 バースはそういいながら大きな箱を渡してくる。中を見ると、かつお節が二十本くらい。それに壺に入った黄色いカラシ、タース。そして大量のパンが入っていた。昨日、あれだけ飲んだのに朝からパンを焼いてくれていたようだ。


「おい、こんなにいいのか?」


「いいさ、餞別だ。受け取ってくれ」


「そうか、有難く受け取るよ。いろいろと世話になったな、バース」


「そりゃ、俺のセリフだ。またいつか会おうぜ、アラン」


「あぁ、いつか必ず」


 こうして俺達は、宿「豊穣」をあとにしてゴタニアの街を出た。


 街を出ると直ぐにエルナに御者を代わってもらった。出来るだけ早くエルナ以外が馬車を動かせるようになったほうがいいだろう。幸い馬車の運転は難しくは無かった。


 エルナによると二頭の馬、タースとシラーはとても賢いらしい。指示にはとても従順に従ってくれるそうだ。


 隣に座るエルナは周囲を警戒しているが、直上の上空にいるドローンがマルチセンサーで常に周囲を警戒しているし、さらにナノムが魔力センサーで警戒しているので、不意打ちは事実上不可能だ。


 道順はドローンによりナビゲーションされているし、天気にも恵まれ、やる事もないので眠くなるほどだった。



 あと少しで昼食をとる予定の場所に到着しようとした時、直上のドローン、ディー・ワンより通信が入った。ディー・ワンは、このドローンのコールサインだ。


[ディー・ワンより艦長]


(なんだ?)


[グレイハウンド五体が、三キロ圏内に入りました。排除しますか?]


 五体か、セリーナとシャロンの魔法の練習に丁度いいな。ライフルのエネルギーの心配はいらなくなったが、常にライフルを携帯している訳ではない。魔法の上達は必須事項だ。


(いや、向かってくるようであれば、こちらで処理する。警戒を続けろ。あと今後、同様の事があってもアラームとマップ表示するだけでいい。連絡するには及ばない)


[了解しました]



「ここで昼食にしようか」


「そうですね、丁度いいでしょう。この先にこれよりいい場所があるとは限りませんから」とエルナ。


 ま、この先にこれよりいい場所は無いんだけどな。ここは街道に面した広場のようなところで、正に休憩のために開かれた場所なのだろう。


「アラン、休憩なの?」とクレリア。


「そうだ、昼食にしよう」


 さて、昼食は何にしようか。バースに貰ったパンにするかな。せっかくだから、ふかふかの内に食べよう。ベーコンをカリカリに焼いて、レタスのような野菜とトマトの薄切りにマヨネーズって感じかな。ちなみにマヨネーズは事前にバースに分けてもらったものだ。もちろん、ケチャップ、バースが開発したソースも結構な量を分けて貰っている。


 昼食の準備をしているうちに、数百メートルまで近づいていた先程のグレイハウンドの動きが明らかに変わった。こちらに気づいたらしい。


「グレイハウンド五頭が近づいてくる。セリーナとシャロンで、魔法の練習をしたらどうだ?」


 馬の世話をしていた二人が顔を輝かせる。


「分りました、やってみます!」とシャロン。


「任せてください」とセリーナ。


「アラン、私は?」とクレリア。


「クレリアはもう練習はいいだろう?」


「私なんてアランに比べたら全然まだまだよ。五頭もいるんだから私も!」


「じゃあ、三人でやればいいか。こちらの方向だ」


 セリーナとシャロンはどちらの方向から来るのか、もう把握しているだろうけど、クレリアには判らないだろう。


 来る方向から距離を取り、セリーナ、シャロン、俺は、腰溜めにライフルを構え、クレリアとエルナは剣を抜き構える。


 山の中からグレイハウンドが次々と広場に飛び出してきて、無警戒にもそのままこちらに走ってきた。


 フレイムアロー、炎の矢が発現し、グレイハウンドに飛んでいく。セリーナ、シャロンは一本、クレリアは三本だ。


 最初に山の中から飛び出してきたヤツには三人全員の矢が的中。セリーナ、シャロンは次弾を発現させているが、クレリアの残り二本の矢は、二番目、三番目に出てきたヤツに突き立った。セリーナ、シャロンの次弾は残り二頭のグレイハウンドをそれぞれ片付けた。


 結果からすれば、クレリアは三頭、セリーナ、シャロンは二頭に的中か。やはり魔法の制御に関してはクレリアに一日の長があるようだ。何れにせよ五頭ぐらいのグレイハウンドじゃ、この三人にかかればイチコロだな。


 セリーナ、シャロンはクレリアよりも的中が少ないのを悔しがっており、逆にクレリアはとても嬉しそうだ。


「みんなよくやったな。昼食よりも先にグレイハウンドを片付けるか。なんか落ち着かないしな」


 手分けしてグレイハウンドの魔石を取った。この作業はなんとかならないもんかな。足で押さえ剣でほじくり返すようにして、なるべく触らないようにしているが気持ちのいいものじゃない。


 死体をそのまま置いておくと他の旅人の迷惑になるため、街道脇の谷まで引きずり、転がり落とした。


 水魔法で手を洗い、皆で昼食を取った。ベーコン・レタスサンドは中々好評だ。


 昼食後は直ぐに馬車に乗り走り始める。出来れば今日の宿泊場所には早く着きたい。


 その後は問題もなく午後四時頃に宿泊予定地の近くに到着した。


「今日は彼処の川の近くで野宿にしようか。そこから河原まで馬車で降りられるし、開けているからある程度安全だ」


「確かに良さそうですね。そうしましょう」とエルナ。


 もちろん、この場所の状況は確認済だ。ドローンが低空で撮影した全方向動画も見ている。河原でキャンプ出来るし、何より川幅が広く魚釣りが出来そうな深い淀みがある。是非とも魚釣りをやってみたい。


 まずは、手分けしてキャンプの準備だな。クレリアとシャロン、セリーナは馬車から馬を外して馬の世話。俺はエルナとテント張りだ。


 テントは中々よく出来ていて、エルナに教えてもらえば、それほど難解ではなかった。大人二人が横になるのが精一杯の大きさのテントが三つだ。短時間で準備出来た。


 よし、あとは食事の準備くらいだな。という訳で早速魚釣りにいこう。食材の調達は立派な仕事だ。


「俺は魚釣りにいこうと思う。そんなに時間はかけないから暫くは自由行動にしよう」


 釣り道具の入ったバッグを持って川に向かうと皆がついてきた。


「ん? みんな自由行動だぞ?」


「魚釣りというものを見てみたい」とクレリア。


「そうですね、私も興味があります」とエルナ。


 ならばしょうがない。


 川の辺りについて早速準備を始めた。餌がないからルアー釣りをしよう。一応、経験はあるから準備も問題ない。


このリールは電動ではなく手動の手巻き式だな。釣り好きの人は大抵手巻き式だ。よし、これで準備完了だ。ルアーは小魚に似せたものを選んだ。


「この疑似餌、魚を形どったものを投げて魚を誘うんだ。餌だと思って魚が食いつくと、この針がついていて魚が引っかかるという仕組みさ」


「凄い! この糸は透明なもので出来ている!」とクレリア。


「そりゃそうさ、透明じゃなかったら魚に見えてしまうじゃないか」


「そういう事ではない気がします」とエルナ。


 もうすぐ暗くなってしまう。早速始めよう。


 ルアーを投げてみると、飛距離はないがなんとか飛んだ。なんとなく思い出してきた。二投目はもっと遠くに飛び、リールを巻き始めた途端にぐっと引き込まれた。


「きたっ!」


 なかなかの手応えだ。しかし、この釣り糸は普通の魚ぐらいでは切れない。たしか最低五十キロぐらいまでの獲物に耐えられるはずだ。竿も同様だ。結構強引に巻き取っても問題ない。


 あっという間に一匹目を釣り上げた。


「凄い! 本当に捕れた!」とクレリア。


「釣れたって言うんだよ、クレリア」


 なかなか見事なマスだな。いつかクレリアと拠点にいた頃に獲った魚よりは小さいが悪くない。


「アラン、私もやってみたい!」とクレリア。


「「私も!」」


 どうやらみんなやってみたいようだ。でも俺もまだやってみたい。

 竿は三本あるので、全て用意するしか手は無いようだな。


 手早く用意するとルアーの投げ方のレクチャーだ。


「リールのここを押さえると糸が止まっている状態になる。離すと糸が出ていく。そして腕を振り上げてこの角度くらいで、ここを離す。そうすると勢いで疑似餌が飛んでいく。飛び過ぎる糸を止めたい時は、またここを押さえる」


 実演してみると皆、理解したようだ。交代で練習させてみると二、三投目には曲がりなりにも飛ぶようになってきた。みんな筋はいいようだな。


「よし、では勝負だ! 釣り対決だな。クレリアとエルナの班、シャロンとセリーナの班。そして俺は一人だけでいい。俺は釣り経験者だからハンデだな。釣れた人は交代だ。一番の大物を釣り上げた班が勝者だ」


 竿は各チーム一本しかないのでハンデでもなんでも無いのだが、みんな気づいていないようだった。

 これでやっと釣りを堪能出来るな。


 それぞれ距離を空けて釣り始めた。


 さっそくセリーナが魚を掛けたようだ。やはり、かなり魚影が濃いようだ。セリーナは歓声を上げている。ほう、ジャンプした魚は遠目にも大きな魚だ。強引にリールを巻いているが、釣り糸も竿も頑強だから問題ないだろう。魚の取り込みを手伝いにはいかない。もうすぐ暗くなってしまうので釣りを出来る時間は長くはない。


 何投もしているが、なかなか来ないな。お、今度はクレリアが掛けたようだ。これも凄い竿の引きだな。ポイントを変えよう。


 今度はシャロンだ。これもデカそうだ。と思っていたらエルナも掛けた。ダブルヒットだ。

 あぁ、もうダメだ。うす暗くなってきて、あれだけの魚の料理をすることを考えたら今日は終了だな。


 エルナの魚の取り込みにえらく時間が掛かると思ったら一番の大物だった。なんとまさかのメーター超えのサーモンだ。


「えー、第一回目の釣り大会の優勝は、クレリアとエルナの班だな。準優勝はセリーナとシャロンの班だ」


 クレリアとエルナはとても嬉しそうだ。


 クレリアとセリーナ、シャロンのサーモンは、八十センチぐらいで、甲乙付けがたいぐらいの僅差だった。

 ちなみに俺のマスは 五十センチくらいだった。


「じゃ、俺は夕食に取り掛かるから」


「アラン、魚釣りって物凄く楽しいのね! 是非、またやりましょう」とクレリア。


「そうだな… 次は絶対負けないからな!」


 さっそく川のほとりで魚を三枚に卸す。俺の魚を除いて大きいので捌きがいがあるな。


 みんなは釣りの興奮冷めやらずといった感じで楽しそうに薪を集めて焚き火の用意をしている。明かりの魔道具もいくつかあるが、明るいに越したことはないからな。


 さて、メニューは、

 焼きしめたパンの薄切りの上にチーズとサーモンの刺身を載せマヨネーズと塩、胡椒で味付けしたカナッペ。

 サーモンとマスの塩焼き

 サーモンのムニエル

 パン

 にしようと思う。お好みでムニエルをパンに挟んでマヨネーズというのも美味そうだ。


 新鮮な魚が手に入る内にサーモンの寿司も試してみたいが今日はもう暗くなるので時間がない。次回に期待しよう。


 折りたたみ式のテーブルと椅子も購入してあったので、それを拡げてもらっている。


 夕食が完成したのはすっかり暗くなってからだった。


 しかし、明かりの魔道具をテーブルに二つ載せてあるし、テーブルの周りにも四つ、さらに焚き火の明かりもあるので全然不自由はない。


「では頂こうか」


「美味しそうです!」とシャロン。


「とても野営の食事には見えないですね」とエルナ。


 まずはカナッペだ。うん、何の問題もなく美味い。脂がのったサーモンとチーズはよく合うし、マヨネーズでさらに濃厚な味わいに仕上がっている。カリっとした焼きしめたパンの食感もいい。


「信じられない! 生の魚がこんなにも美味しいなんて!」とエルナ。


 クレリアは実食済だから驚きはないな。


 サーモンの塩焼きは、定番料理といった感じで文句の付けようもない。パリパリに焼いた皮がたまらない。


 パンにムニエルとレタスを挟んたムニエルサンドを試しに作ってみると、美味かったのでそういうとみんな真似して作っていた。


「自分で釣った魚だと思うと格段に美味しく感じるわ」とクレリア。


 みんな確かにそうだと口々に言っている。もちろん俺が釣った魚も入っているので、それにはかろうじて同意出来る。


 全体的に満足できる食事だったな。流石に食べきれなかったので、残りは明日の朝食にしよう。


 食後の御茶を飲みながらの雑談の時間だ。


「エルナさん、土魔法ってどんな魔法なんですか?」とシャロン。


 おぉ! そういえば、そんな魔法もあったんだよな。クレリアはよく知らないと言っていたし、魔術ギルドでも結局見ることが出来なかった。よっぽどレアな魔法なんだろうな。


「私も身近に土魔法が使える者がいなかったので、実際に土魔法をみたのは一度だけ。近衛と軍の合同演習の時に軍直属の魔術師隊が落とし穴を作るのを見たことがあるだけよ」


「凄い魔法じゃないか! 落とし穴を作った時に出る余計な土は、どうなるんだろう。まさか消えるとか?」


「消えるわけじゃなくて穴の周りに盛り上がる感じでしたね」とエルナ。


「ほう、それでも凄いな! 凄く便利そうなのになんで覚える人がいないんだろう?」


「聞いた話では、魔導書で訓練しても使い手になれる人が多くないとか。それに穴を掘るぐらいでは、軍以外では暮らしがなりたたないというのもあるとか」


 うーん、そうかな。建築現場とか墓地とかでは凄く便利そうだけどな。一人でどれくらいの土を操作出来るかにもよるか。


「エルナが見た落とし穴はどれくらいの大きさだったんだ?」


「その時は、四メートル四方、深さが二メートルぐらいでした」


「それを何人ぐらいで?」


「二十人ぐらいでした」


「それ以上の大きさの穴は作れたのかな?」


「さぁ、それは判らないですね。本当にたまたま見かけたという感じでしたから」


 なるほど。大した土の量ではあるけど、二十人の全力だとしたら、それほど大した事ないか。それでも土魔法は覚えてみたいな。使える機会があるかもしれない。検討してみよう。


 食事の片付けが終わるとやる事もないので寝てしまうことにした。明日は夜明けと共に起きて、朝食を食べたら直ぐに出発だ。


「アラン、見張りの順番はどうしますか?」とエルナ。


「見張りは不要だよ。魔物が近づけば探知魔法で目が覚めるから、それからみんなを起こしても十分に間に合う」


「そんな! … 本当ですか?」


「本当だ、エルナ。タラス村からゴタニアに旅している時、アランは寝ている間に魔物が近づけば目を覚ましていた」とクレリア。


「はぁー… 分かりました。それは非常に助かりますね」


 何故かエルナに盛大にため息をつかれた。


 こうして、俺達の旅の一日目が終了した。




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― 新着の感想 ―
[気になる点] 多分?多くの、なろう小説作家が気付いてない残念な事実。何故に馬車などで昔の人が移動する時に魚などを食べる時に串焼きにしてたのか? 答えは、手を洗いたく無いからです。魚は身体が小さい割…
2022/11/12 17:42 退会済み
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