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あらま、夜話ですか?

 一面に並べたお菓子とそれを囲むように敷いた布団。ある程度準備をしたら、皆で寮の大浴場に向かうことにしました。天然温泉を毎日楽しめるこの大浴場は、何度入っても癒されること。美肌効果が高く、このお風呂入りたさにこの学校を目指す子もチラホラいるくらいだったり。


 お風呂から出ると皆さんルームウェアに着替える。私は、部屋から持ってきたふわふわのく短パンとパーカーに着替える。キャミソール忘れてしまったけど、まあ、いいわよね。


 ふと、横で着替える凛々子ちゃんたちを見る。凛々子ちゃんはスポーティーな黒の個性的なパーカーと黒のサルエル、エレンちゃんはかなり際どいネグリジェ、亮ちゃんは猫がモチーフのふわふわなロンパース。

 皆、個性的ですわね。


 ああ、けど、いつもお風呂上がりはお風呂での事を思い出して、落ち込んでしまう。

 エレンさんのスタイルの良さや、凛々子ちゃんの腰や足、腕の細さ、亮ちゃんのもっちり美肌に実は誰よりも大きな胸……


 うふふふ、Dカップ普通体型の私にとって、とても羨ましいことですわ。

 可もなく不可もなく、中途半端。

 しかも、身長はあまりないですし……


 やはり、成長に関しては、3人のお姉様達に吸われてしまったのかしら?

 妹達も身長は小さめで……中学生なのに、はあ。


「もう、ピヨちゃん!胸覗いたって何も変わらないわよ!私と一緒にトレーニングしましょ!」

「うふふふふ……慎ましやかな方がき、着物が綺麗に着れるので、です、わよ」


「まあ、私よりあるからいいんだよ、ピヨ」

「むー!凛々子ちゃんは足が長くて羨ましいですわ!」

「そら、私クウォーターですからねー」

「外人の血に異議申し立てをしたいでござる」


 お部屋に戻り、早速ごろんと寝転がる。

 うふふ、ああ、楽しいですわ!


「さあてと、とりあえず、夜と言えばあああ?」

「ホラーだろ」

「凛々子 Shut Up!恋愛よ!恋愛!」

「女しかいない学校で真新しい恋愛があったらそれ、ある意味ホラー」

「そうなのですか??」

「まあ、そこは個人の趣味じゃね?……ピヨ意味わかってるの?」

「はい?まあ、私たちの担任を好きな子は多いですわよね」


 何故、三人とも暖かい視線を私に?ん?何か間違えたかしら?


「とりあえず、なんか雑誌読みながらコイバナしようか。思えば、このメンツでコイバナしたことなかったなー…」

「すみません、私のせいですわよね」

「ピヨは悪くないわ」

「まあ、今日はその分存分に話すぞ」


「「二次元は禁止」」

「そんな、殺生なああああ」


 アニメ雑誌を出しかけたのを見逃さなかった二人。二次元は禁止なのですか、亮ちゃんの好きなお方は画面の向こうにいるのだから、仕方ないのではないかしらとは思いますが。……あ、思えば、今日のために従姉兼実姉?の志摩姉様から貰った現代の恋愛バイブル本がありましたわ!


「そうそう、皆様に面白い恋愛本があるのですよ…ほら!」


 少々重い分厚い恋愛本を出す。まあ、この厚さは、内容的にも仕方無い分厚さらしいのですけども。


「"婚活(物理)!生死決定版"!?」

「What is it?????」

「……ピヨ殿は本当に斜め上に来ますな」

「ん?志摩姉様から"これで、普通の男もイチコロのハズよ"と昨夜届いたのですわ」


「イタリアマフィアの次期ボスの婚約者の座を奪いとった女から贈られてくるものなんか、怖くて実行できるかああああ!」

「凛々子ちゃん、違いますわ!イタリアマフィアのなかでも……あ、これ以上は駄目ですわ」

 多分、盗聴されてますでしょうし、詳細な情報は話せないのですよね。それに、この本が昨夜届いていたというのは、多分ですけども届けたのは…お姉様達の部下が届けたのかしら。

 婚約破棄したから、心配したのかしら。


「本当に、貴方の家ってぶっ飛んでるわよね。その志摩さんって腹違いのお姉さんなんでしょ?」


 エレンさんは突っ込んではいけないとこに突っ込んできましたわね。


「え、ええ。お母様のお姉様、伯母様の子なのですが、その当時は色々あったそうで……鶴代姉様と同い年なのですわ」

「……色々ってなんだよ」


「……その頃麗佳姉様が産まれた後お母様がなかなか妊娠しなくて、切羽詰まったお父様を恋人と別れたばかりでした伯母様が相談にのると騙して、襲ってしまいましたの。

そして、同時期にお母様は鶴代姉様を身籠って…けど、その後は案外円満だったそうですわ。まあ、志摩姉様の本家での立場としては数えはしませんが、数には入れるくらいかしら?」


 重い空気が流れる。私にとっては、昼ドラなんて日常茶飯事過ぎて、まだこの程度なら軽いジャブ程度ですし。逆に、志摩姉様は私達一家の事情には巻き込まれなかったから良かったと仰っておりました。

 ……まさか、留学先で映画真っ青な抗争を掻い潜り、愛を育むことになるとは私も思いませんでしたわ。


「鶴代さんもぶっ飛んでるけど、志摩さんも違う意味でぶっ飛んでるからなあ。けど、姉妹内ではピヨ仲良いし、志摩さんとは私もよく遊んだからなあ」


「ええ、お二人のお姉様には可愛がって頂いておりましたから、幸せにはなってほしいですわ。志摩姉様は凛々子さんと遊ぶ時、よく隠れ蓑になってくれましたわね」


「本当に……いい人だよ、志摩さんは。けど、やっぱり、お嬢様だったよな。それも戦闘出来るタイプの」

「うふふ、伯母様が経済界の女傑ですからね。仕方ありませんわ」


 思ったらすぐ行動する伯母様を思い出して、苦笑いを堪えきれない。会社が潰れないことを考えると、凄い方なのだろう。秘書の山田さんの気苦労は知れないけれども。


「まあ、こんな話よりも、明るいお話致しましょうよ!この婚活本、好きなタイプの考察とか載ってますのよ!」


 とりあえず、我が家の話よりも、コイバナを楽しみましょ。












 白川、許しませんことよ。四宮柚梨(しのみやゆずり)は、すでにお嫁にいった長女の部屋で一人あまりの憤りに震えていた。


「ふふふふっ……また、白川のせいよ。私の娘の婚約破棄?徹底的に私達を馬鹿にしてるわね、あの悪魔。お姉様の時も……まさか、あんな、カマトト女とくっついて、お陰でこちらに飛び火したというのに……ああ、さっさと、地獄に帰ればいいのに!!」


 灰皿で燃えるのは、カマトトと悪魔の間に生まれた息子 白川竜也の現・婚約者。そう、私の娘の雛恵の元・婚約者を寝盗った女である。こんな下品なことをするからどこの庶民かと思えば、まさか、財界の重鎮の兄の孫であり、なかなか可愛がられているとのこと。ただの、売女ではなかったのね。


 ああ、それよりも、雛恵さんが、あの事態をあっさり飲み込んでしまったことが未だに忘れられない。あの子は、あの悪魔の息子には勿体ないくらいの令嬢に仕立てたのに。

 彼女には、令嬢としてのプライドというものが備わっていなかったなんて。


 けれど、この事態にホッとしている部分もある。やっと、野々山結女……今は白川結女というカマトトに会わないための口実が出来たのだから。

 女学園時代からあのカマトトのことは大嫌いでしたわ。何かと話しかけてくるあの女は、見下してはいない。ただ、あれは天然の外道。何人もの子が彼女の影で泣いた。鈴蘭のような女。ああ、本当に可憐で可愛らしい毒草のような女。私とはまさに正反対の女。

 そんな女と卒業して縁が切れたと思ったのに、まさか私の旦那様の親会社の若き社長である白川と結婚して、交流が出来てしまうなんて。


「あら、もう、柚梨さん。最近、四宮様の会社、業績が悪いそうですが大丈夫ですか??」

「ええ、大丈夫ですわ」

「うふふ!それなら安心ですわ!ああ、それにしても麗佳さんは柚梨さんにそっくりですわね。四宮様の……ああ!耳がそっくりですわね」

「そう、かしら」

「ええ!ああ!思えば、この前の金曜日に柚梨さんのお姉様と四宮様を池袋で見たのですが、家族ぐるみで仲が良いのですわね!私も今度混ぜてくださいまし!」


 手に持っていたティーカップを、投げつけなかった、私は偉いと思うわ。

 この前の金曜日は、泊まりがけのお仕事じゃなかったの?


 4ヶ月間、浮気の裏を取る為に動いたが、どうやら浮気ではなかった。私には二人目の娘、鶴代を身籠り、あれは思い違いだ、流そうと思った。けれど、未だに忘れられない、ある日突然真っ青な顔をした姉様が我が家に訪れたのだ。


 吐き出された言葉は信じられなかった。白川様はお姉様と長い間付き合っていて、いきなりフラれたと思ったら、一ヶ月後あのカマトトと結婚した。

 そこから、何を考えたのか自分でもわからない。ただ、あの夫婦と仲良くしてる私達夫婦に八つ当たりのように恨んで、やってしまったんだとのこと。


 そして、身籠ってしまったんだと。


 豪傑なお姉様がこのように縮こまり震え泣いている姿を見て、私はお姉様を責めることを何故か出来なかった。


 やはり、あのカマトトが関わるとロクなことがない。

 お姉様は悪くない。悪いのは……。


 旦那様は、この事実を知り、土下座してきたが、昏睡状態にしたお姉様が悪いので、お咎めはない。生まれてくる子だって、罪はない。


 雛恵さんにも、罪はない。

 あの白川と関係をもっと強くしようとした会社の考えが、罪。あの女には、負けたくないと、雛恵さんを抑えつけた私の罪。


「もう許しませんわよ、死ぬまで、絶対に」


 母と同じ愛し方しか出来ない私を許してね、娘たちよ。



家族についてやっと出せましたね。

うわー複雑 。

今回も誤字脱字報告おまちしてます。

就活つらひ

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