あらま、趣味ですか?
君の事が、大好きなんだ!!
え、でも、あのこの事は…
僕はずーっと君しか見てないのに…!
わ、わたし、わたしだって…
「大好きですわ!!!」
白線デイズ!屈指の名シーン!!
病弱な王子様ユウスケが、主人公の友人であるユリエに告白するシーン。雨の中、先に帰ろうとした彼女を引き留めて告白するシーン。両想いなのに主人公のアリスがユウスケを好きなせいですれ違う二人が、やっと、やっとのことで結ばれるシーン!!!
しかも、その光景をアリスが見てしまい、このあと修羅場になるんだけど。
あああああ、もう、涎が、涎が!!
鑑賞中の私は両親にはとても見せられない格好。かわいいモコモコのパジャマを着て、髪の毛を適当に束ね、赤い眼鏡。
凛としていて、ネグリジェや着物をすすめ、庶民的な格好を嫌う家族が見たら、卒倒してしまうでしょうよ。
……他にも、改造済み制服とかも持ってたりしますわよ。
本当、凛々子ちゃんに影響受けていますわね私。
朝倉 凛々子ちゃん。
私が小学生一年生からのお友達。
婚約者の小学校をくじ引きの抽選で落ちてしまったので、持ち上がりのまま、ここの付属のに入学しました。
その時、急成長していたワンズラボの社長の娘である凛々子ちゃんと出会いました。
最初から、なぜかとても意気投合し仲良くしていました。
良家出身の母は「成金」とあまり良しとはしませんでしたが、父は案外そこは自由にさせてくださいましたので、今でも関係が続いてるのだと思います。
凛々子ちゃんのお母さんはとても優しくて、肝っ玉母さんで、ちゃんと叱ってくれる人で凄く好感が持てましたし、家柄とかも気にしない方ですのでとても好感をもてました。また、遊園地や買い物なども連れていってくださいますし、料理も教えてくださいますし、一番はテレビを見せてくれたことでした。その頃から私は恋愛ドラマや映画にのめり込んでいったと思います。
勿論、今でも大好きで度々お邪魔させていただいていますわ。語り合うために。
凛々子ちゃん本人は、本当にお母さん似で、明るく元気。そして、不思議な子。
お揃いとか、双子ファッションなど良くするのだが、どれもセンスがよくて私のファッションは凛々子ちゃんが構成したものが殆ど。更には行ったことがないところへたくさん連れていってくれて、「まるで、魔法使いですわ」と言えば、彼女は笑いながら頭を撫でてくれたことを思い出します。
そんな凛々子ちゃんに関する記憶を思い出しながら、狭いけども居心地のよいこの部屋にごろんと寝転がる。
この女学園の寮は、三年間部屋換えはないので、このように恋愛ドラマや映画のDVDも積み上がっていて問題がないのは嬉しい。
まあ、ここは学生マンションみたいなもので、ほかにも二種類のタイプで選べる。
シェアハウス型の寮、これが一番安く、また友人が出来やすい。部屋は小さいが十分な広さである。私もここで青春したかった。凛々子ちゃんも他のお友達もここに入ってるし、私もたまに無断で泊まりにいきますけども。
次に私が住む学生マンショ型。1LDKで、ユニットバス。料金は普通の一人暮らしと変わらない。あまりお金を使いたくないですし、掃除も大変だから親を説得して、此処にしていただきました。シェアハウス型は最初から却下だと伝えられていたので、選べなかったのはとても残念でしたが。
そして、高級マンション型。ワンフロア部屋という階が何個もある。無駄に寮費が高い。ここは本当にお金持ちの生徒が多く、あまり馴染めない。
財力的には普通に入れるのですけども、このタイプですと、毎朝リムジンの送り迎えがあって目立つし、嫌なのよね。寄り道も送迎があるため出来ない上に、ここよりも少し遠いですし。
お揃いで買った自転車で登校が毎日の日課ですし。
凛々子ちゃんたちと色ちがいで黄色いママチャリ「ぴよちゃん号」を思い出して、にやにやしてしまう。
凛々子ちゃんのは青い「リンリン丸」!
勇ましい彼女にはぴったりのお名前です!
ぴよぴょぴよ…♪
突然のユルトークの通知音に私は直ぐ様スマホを手に取り、確認する。『DVD女史会』のグループトークにエレンちゃんからのメッセージが届いていた。
『解放おめでとう!!ということは、シェアハウスに正面切って泊まれるのねぇえええ!』
「寧ろマンションにきてほしいです、っと」
『なぬ!?ぴよ氏解放おめでとうでござる!凛々子氏何故私には…!?
よっし、明日はマンションで宴じゃ!!』
亮ちゃんからも返事が来た。思えば、凛々子ちゃんにはすぐに伝えたんだけど、まだ返事着てないのよね…
そう思うと、すぐに通知ランプが光る。
画面には…
『返事遅れた、ぴよっこ、おめでとう。11年間お疲れ様。ここまで本当に長かったな。
明日は本当に宴開こう!けど、盛大にやりたいから、うちの知り合いのホテルでやろうか。
あと、亮うるせぇ。ドア越しで大きな声出すな、迷惑だっつーの』
凛々子ちゃんからだっ!!!
私は即効返事を書く。明日から、やっと、普通の女子高生として、通える。
嬉しくて嬉しくて仕方がない。
校門までやってきた愛する人の婚約者は、
恐ろしくも、美しい人だった。
まさに ーーー 大和撫子。
こんな人を泣かせてしまうんだと、とても申し訳ない。
しかし、それ以上に
「こんな人に勝てたんだ」という、気持ちも沸いてくる。
私の顔が少し歪むのがわかる。
「お前との婚約を、なしにしたい」
「ご、ごめんなさい!私、この人が、すきなんです!!」
ああ、彼女はどんな、気持ちなのだろうか。
必死に頭を下げ、お願いするように彼女の顔を下から見上げた。涙を流すのか、発狂するのか。
「あの、私ではなく、親をとおしてくれません?」
帰ってきた反応は、予想外だった。
婚約破棄なんて、まるで最初からなかったと言いたげな反応だ。竜也さんも予想外だったらしく、今まで見たことがない唖然とした表情だった。
まさか……彼女は竜也さんなんてどうでもいいと思ってる?
こんな、なんでも持っていて、けど寂しがりやで、カッコいい人を、どうでもいいと。
ありえない、ありえない!
しかし、あり得たのだ。
家族ぐるみの話し合い、彼女は実ににこやかに、優雅で、美しいまま、彼との婚約破棄を二つ返事で了承した。
そして、婚約破棄を終えて直ぐ様白川代表と取引をする姿は、令嬢とは思えない手際の良さだった。まさに、この時を待っていたと言わんばかりの反応と用意周到な台詞。
……中学生の頃と言えば、竜也さんと私が初めて出会った頃だ。
もしかしたら、その時から私の存在を知っていたのかもしれない。ゾワリと寒気がする。
もしや……私は……
まんまと、餌にされたのか…?
……こんな恐ろしい人が、竜也さんを好きになる訳がない。
本能的にそう悟ったのは、仕方がないと思われる。
竜也さんが、釣り合わないもの。
この人に、勝ったと少しでも浮かれた自分が恥ずかしい。
竜也さんに抱かれている肩の温もりが、なんだか少し冷めたような気がした。
雛恵さんは、まだハメを外してないですね。これから外していきたいと思います。
まあ、横取り?女目線です。また次の話もだれかの目線をいれたいなあと思います。
見切り発車小説で申し訳ありません。