あらま、翌日ですか?
「ふふふふふふ!」
本日は晴天なり!正しく、解放翌日の天気に相応しくてよ!!
いつもよりも三時間も早い起床。これは今日からどうしてもしたかった事を実行するのですから、念には念を。ただ、まだ朝四時ですので日は昇ってませんけれども。
晴天?ええ、天気予報で知りましたけれども。
兎にも角にも、凛々子ちゃん達女史会メンバーを驚かしますわよ!
そのあと、三時間かけて、じっくりと準備をしてみた。
待ち合わせのコンビニは三台の自転車と三人の女子がお喋りしていた。
「もー、亮のせいで私まで一緒に寮長に怒られたじゃないの!ストレスはお肌の大敵なの!!わかる!?」
「あーあーきこえないーでござるーエレン氏の美意識はエベレスト級ですな」
「うるさい、店員さんの迷惑だろ」
一人はハーフ系美人で身長が高くボンキュッボンのスタイル抜群、アッシュベージュのロングヘアーな豪華な巻き髪にし、ハーフアップにしている。ただ、目尻を吊り上げて怒る様はなかなか怖い。
その怒られてる方は、長いお下げ髪で150センチあるかないかの身長でぽっちゃり目。顔もぼんやりしているが、近くで見ると可愛いかな?という子だ。ただ、バッグに大量に着けられた同じキャラクター物のグッズと、そのキャラクターと同じ金茶に染められた髪はなかなか個性的である。
そして、その二人を呆れたように見ているのは、赤毛ショートカットのそばかすの少女。中性的で端整な顔と首にかけられた青いヘッドフォンからはコアな和製メタルの曲が流れ続けている。
「しかし、ぴよ氏遅いでござる。いつもは早漏もびっくりなくらいなのに…」
「こら!ぴよちゃんに失礼でしょ!」
「……確かにな」
いつもなら先に来ていて、コンビニのユウスケ似お兄さんを見つめているのに、今日に限っては遅い。お陰で、そのお兄さんが心配そうな瞳でこちらを見つめる。
ええ、アンタがぴよっ子に恋してるのは知ってますけども……
「お待たせいたしましたあわあああああ!」
絶叫が聞こえた方を振り向くと、黄色い自転車が物凄いスピードでこちらに向かってくる。こういう時はなんだか、嫌な予感がするんだよな。凛々子はささっとお気に入りのヘッドフォンを首から外した。
三時間以上かかってしまいました!!あああ、なんて難しいのでしょうか!前に、エレンちゃんに教えて頂いたのに、上手くできなくて何度もやり直したらとんでもない時間に。
また、制服も凛々子ちゃんとともに改造したものを着てみたが、難しいですわ。とても。
そして、髪も頑張ったのですが、かわいくできてますでしょうか??いつも下ろしていたので勝手がわかりませんけども。
さあ!一言目!大事ですわよ!!
「おっはー!ですわ!!ごきげんよう!」
あ、あれ?返事がありませんわね。
「どうかしました??」
「Oh!!!!Jesus!!!Noooooooo!!」
「え、え、わけがわからないよ!アンインストール!こんな現実アンインストール!!」
「おい、亮。パーカー貸せ。今日はサボるぞ。エレン、担任に「うちのぴよっ娘が狂った」と伝えとけ」
亮はブレザーの下に来ていたパーカーを脱ぐと、それを雛恵に被せる。エレンは言う通りにメル友でもある担任に連絡をし、休む許可を得た。四宮家のお嬢様が気が触れたとなれば、責任問われるのは担任だろうし。
凛々子は素早く近くの駐輪場に自転車を移動させる。その間にエレンはボーイフレンド一人を呼び出し、大きなリムジンに乗り込む。
「ダーリン、行きつけの美容室。お願いね」
「もちろん、今日の夜は「早くしてね」
「えっ、えっ、どうしたの」
雛恵はなぜこうなってるのか理解して居なかった。何が起きたのだろうかという感じだ。
「どうしたもこうしたもないわよ!なに!そのメイク!ラインガタガタ!眉毛は太すぎるし形違うし!頬もまるでピエロよ!!しかもマスカラついてるし!!口紅なんてなんでそんな真っ赤なのよ!アンバランス!!」
「それにその制服着こなし方間違ってるですぞ!ワイシャツ開けすぎリボン忘れてるし!なんでセーターもダサい指定の奴って、しかも、改造制服は遊びに行くとき用!しかもルーズソックス!!なんで!なんでなの!!そこまでしたら校則違反3つで生徒指導部行きですぞ!学校の時はゴムベルトを使いって…いや、ぴよ氏は折らなくていい!その清楚感がよかったのにいいい!!」
「髪型も。お前はどこかのキャバ嬢……いや、ロココの世界から飛び出して来たのか。まあ…人には得意不得意があったな、すまない」
「皆さん、そーりーひげそーりー?ですわ。テヘペロ?」
「「「口調は元に戻せ」」」
このあと、美容室に着くまで、懇々と説教されました。
そう、私は、女子高校生向けの雑誌を読んだり、ドラマや映画などを見て、何をすべきか研究しました。
そこで、まず最初に、学生的なオシャレを自分で出来るようにしなければと考えました。
いつもは母上達がお気に入りのデパートのフィッティングルームで購入したり、凛々子ちゃん達監修の元購入していますが、やはりそこを一人で出来て一人前!まずは、制服のカスタムの仕方をしてみました。
また、その後、メイクやヘアメイクもしてみたのですが……
ダメでしたようです。
「とにかく、そんなに心機一転したいなら、手伝ってやるよ。ぴよっ子」
凛々子ちゃん、エレンちゃん、亮ちゃん、
ご迷惑お掛け致しますわ。
そこは、美しい夜景が一望できるとある一室。赤と金で埋め尽くされた部屋は悪趣味と芸術の紙一重。
「あははははははははは!あの女、棄てられたの??良い気味ね!!」
真っ赤なドレスに、真っ赤な唇、黒く艶やかな髪を耳にかけ、血のように赤いワイン…ではなく、トマトベースの野菜ジュースを煽る。部屋にはもう一人、女に踏まれる男がいた。
「はい!!!!あああああ、もっと踏んでくださいいいいいい!!!明子さまあああああ!!!」
「相変わらず、うるさい、わね」
一層力を入れて、頭を踏みつける。いつもなら放置するところだが、私はとても気分がよかった。出来の良く美しいあの女に、遂に、遂に醜聞が出来たのだ。
あいつに出会った時から気に食わなかった。今までは、私が一番下で可愛がられていたのに、いきなりあの女やってきた。そしたら、私なんてほったらかし!!
勿論、その下にも二人妹が出来たけれど、そんな比ではない。私へ向けられていた愛情をアイツが奪っていったのだ。
一歳のころの話だけども、未だに鮮明に覚えている。あの屈辱を。
次に、あの白川との婚約話だ。私は、年上という理由で除外された、候補に挙げられたあの女を憐れんだ。「婚約者に縛られるなんて可哀想」なんて、思ってた。
けれど、その婚約者は極上の男だった。かっこよくて、お金持ちで、運動神経が良くて、カリスマ性に溢れていて。
私なんて、踏まれて喜ぶ、このドM豚野郎なのに!!!
そんなことが許されてたまるか。私の婚約者を変えることは今のところできないけども、あの女の婚約を滅茶苦茶にしてやりたい。だから、協力した。白川に飛び交う虫の友人と。思い会う二人をもっともっと焚き付けて、燃え上がらせて、二人の世界から出れないように。
「貴方が、協力してくれるの?だって…妹さんでしょ?」
「いいのよ、愛し合う二人がくっつくのが普通なはずよ。私は美しい愛に憧れるの。それに、あれには、勿体ないからね」
「そう…心強いわ。ありがとう、四宮様」
面白いように燃え上がる二人。ああ、おかしくて仕方がない。フィオーレのトップであり品行方正な私の後押しがあれば、簡単に状況は作り出せるのに。でなければ、二人っきりなんて作り出せないのだから。
そして、長い長い計画が遂に達成された。ここまでくるのに、4年。耐えたわ。唯一の憂さ晴らしが、会ったら二人のことをそれとなく伝えることだけだったのだから。清ました表情してたけど、腸の中は煮え繰り返ってたでしょうよ!!
それに、婚約破棄になったら、あの女は恥ずかしくて、家から追放を自ら強請ったなんて!!なんて情けないのかしら!!ああ、最高の気分よ!!
「豚!今日はご褒美をあげるわ」
「あああ、ありがとうございますううう」
顔だけはいいこの男に首輪を着けた。
本当は一週間後だったのですが、載せました。
何気にこの回で一番楽しかったのは、明子様ですかね。




