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第1話 きさらぎ駅

新連載!

異世界エルフと、都市伝説的怪異だ!

ローファンタジーです!

 とある、異世界の学園。

 学園長は、とある書類に目を通す。

 それは、異世界転移の許可証および申請に関するものだった。


「リリー・スサラ。エルフであり、武器の扱い。

 学力に加え魔法の腕は一流。だが、性格に難あり。」

「本当にいいんでしょうか、転移なんて…

 しかも、あの世界で魔法は使えない……」

 隣に立っている老人は、学園長に心配そうに言った。


「必要な人材。だが、あっちの世界とここでは時間の流れはまるで違う。それに、本人の意思だ。

 仕方あるまい。留学、そう思えばいい。

 さらに、強くなって帰ってくるさ。」

 学園長は、少しの迷いはあれどその申請証に判を押す。


 ――――


「ねぇ、しってる?」

 暗い一室、白髪の少女が座るその目の前には、何本もの火がついた蝋燭が立っていた。

 少女は、少し楽しそうに言った。


「夜の電車に乗っているとね、たまに変な駅に着くんだって。」

 それは、どの路線図にも載っていない駅。

 その駅では、アナウンスも流れない、周りには誰もいない。

 ただ、古びたホームと暗い改札だけがあると言われている。


 ───「きさらぎ駅」


「もしその駅で電車を降りてしまったら、もう元の場所には帰れないんだって。

 ねぇ、もし電車の窓からその駅が見えたら……」

 少女は少しだけ声を落とした。


「絶対に降りちゃだめだよ。

 だって……そこは、もうこの世界じゃないから。」


 ――――――――――――――――――――――


 ─県内女性、深夜の電車で不可解な投稿残す。─


 “きさらぎ駅に到着”と書き込み後に消息不明に──


 県内在住の女性が深夜、有名な匿名掲示板に

「電車がおかしな場所に着いた」

 と連続投稿したのち、連絡が途絶えた。

 女性は存在しないはずの「きさらぎ駅」を名乗る場所に降り立ったと記しており、

 鉄道会社・警察ともに該当駅の確認はできていないという。


 投稿には、無人のホーム、山間部のような風景、

 遠くで響く太鼓のような正体不明の音など、異常な状況が記録されていた。

 女性は線路沿いを歩いていると報告していたが、

 その後の動向は現在も不明のままである。


 ――――


(いつからだろう、、霊が見えるようになり、取り憑かれやすくなったのは………)


 岩瀬景太(いわせけいた)は、昔から霊が見える。そして、取り憑かれやすい体質。

 そのせいで、友達はごく僅かしかいない。

 現在高校2年生。


 今日も彼は、霊に憑かれながら部活から帰宅する。

 現在18時で、彼は電車を待っていた。

 なんの変哲もない、駅の明かりに電車を待つ数名の人たち。

(……こんなに人いなかったっけ?)


 景太はふと思った。

 18時〜19時は本来混雑がピークに達する。それなのにだ。

 駅に電車が到着し、景太は躊躇う事なく乗車した。

 それが全ての始まりだった。


 5分から7分程度で次の駅に着くはずだった。だが、着かない、20分ほど経っただろうか、他の乗客に目をやると皆俯き眠った人ばかり、、


(流石におかしい……)


 横目に見ると、黒いフードを被りそこから微かに見える赤髪、、何やらコソコソとしているのが見えた。


(流石におかしい……!)


 その時、

『次は──……き、さら…………ぎ駅。

 この電車は──終点まで……参りま……』

 そこで、途切れ途切れのアナウンスが流れ電車は止まった。

 駅にある看板にはきさらぎ駅という、名前が書かれてある。


「きさらぎ駅……?知らない駅……」

 景太は、電車の扉の前で外に出ないようにし、辺りを見回す。すると後ろから急に押され思わず駅に足をつけて降りてしまう。


 それを確認したのかすぐに電車の扉は閉まり、景太を置いて電車はどこかに向かってしまった。

「痛っ!」

 景太は肩を抑え辺りを見回した。そこには、山しか無かった。電波はかろうじて繋がるものの、スマホの地図は白紙。見えない。


 ホームの向こうには、

 真っ暗な山道が一本だけ伸びている。

 遠くで──

 ドン……

 ドン……

 と、太鼓のような音が聞こえた。


「あんたのせいだ……」

 景太は、同じく降りてきた、いや自分を押して降りてきた黒いフードの人に怒りをぶつける。

 だが、フードの人は景太の肩に手を置く。


「………やっぱり憑いてるね。」


 その瞬間──

 スッ、と何かが消えた

「肩が軽い、、」

「低級だったから、手で除霊できちゃった。」

 その人は優しく微笑んだ。

 そうして、フードを取るとそこには赤髪に緑色の綺麗な瞳の少女が姿を見せた。


 なぜ顔を隠すのか、それがすぐに理解できた。

 彼女の耳は普通の人よりも尖っていた。

 これは、、


「私、怪異を除霊、退治してる専門家的な人。

 訳あって、異世界から転移して来たの。エルフだよ。知ってるかな?」


 知ってるも何も、有名な種族。

 にしても、、なんで……エルフ?

「それよりも、ようやくこれたね!異世界!

 きさらぎ駅。ここ最近被害が多くて、、でも私霊感無いし怪異達に避けられるから、朝すれ違いざまに君を見つけて付けてきた。近頃依頼が少なくて。」

「なるほど……」


(え、ん?

 付けてきた?今、この人朝って言った?)


 景太は、ふと今日のことを振り返る。


「……まさか、ずっと?」

「うん。ずっと、」

「トイレも?」

「見てた。」

「見んな!」

「君が、、隣の席に座る幼馴染の女子の匂いを微かに嗅ごうとしていた所も……」

「どこだそこ!盛るな!」


 景太は理解した。ヤバいやつに会ってしまったと……


「私の名前は、リリー・スサラ、さっき言った通り

 エルフね。よろしく、岩瀬景太、」

「よ、よろしく。」


 リリーは右手を差し伸べる。

 景太は握手を交わした。その時見えた、エルフの手の甲には何かの黒い模様が描かれていた。


(タトゥー?ん?それより、なんで名前………ああ、ストーカーしてたのか、)


「君は取り憑かれやすい体質なんだな、

 待って、見えたりする?」

「霊は見えるよ、

 憑いてたのも知ってるけど、本当に除霊できるんだな。」

 景太は呆れながらもそう言った。

 そして、辺りを見回す。


「怪異には、ランクがある。S級、準S級、A級、B級

 C級、D級、E級、これは、B級ぐらいかな。

 さっさと片付けよう、異世界系には核となる物があるはず、それを壊せば……」

「戻れるのか?」

 景太がそう聞くと、リリーは顔を顰める。

「多分……?」

「頼りない!」


 リリーは線路に降りる。

 そうして、歩き始めた。

 景太は混乱しながらも、とにかく今はリリーについて行く他ない。

 しばらく歩くと、太鼓の音と同時に声が聞こえる。


『おーい、危ないから線路の上を歩いちゃダメだよー』


 人の声、だが明らかにおかしい、不気味で背筋が凍るような野太い声が後ろから聞こえた。

 その時、リリーの手の甲にあった模様が光る。

 すかさず、どこから現れたのか分からない弓と矢を構える。

 後ろにいたのは男の人。


「お、おい、何してんだ?助けてくれるかも……」

「アイツが核かも、ていうか私の方が助けてる。」

 それを聞くと、景太は少し納得してしまう。


(確かに、安心感は強いし、何かしてくれるかも……)


 その時、

 リリーは弓を構え、狙いを定める。

木行(きぎょう)……破邪。」

 黒い模様が描かれているその矢は一直線で、男の眉間に突き刺る。


(…何かしてくれるかもって、、いや殺人はダメでしょ!)


 景太は直ぐに男の人に視線をやる。

 すると、男は小さく呟いた。


『……霊能力者か。……魔力、霊力が強いな。』


 その途端、男の身体に樹木の模様が広がり、黒い砂のように崩れていく、

 それと同時に線路も崩れていき、段々とリリーの方に近づき嵐のように向かってくる。

「走るよ!」


 さっきまであった弓と矢は突如として消え、

 リリーが、景太の手を引っ張る。

「……おい!」

 わずかにリリーの方が速く進んでいく。

 全力疾走、陸上部の景太でもリリーの足の速さに追いつかない。


 トンネルの目の前まで来ると、そこには壁にもたれかかる女子高生が1人、眠っていた。

 被害者の女性だろう。

 トンネルの向こうには、光が見える。


「出口?」

「多分!」

 景太は被害者の女性を担ぎリリーと一緒に走る。

 嵐のようなものは直ぐそこまできているものの、

 トンネルを抜けて光の中に入ることができた。


『…逃したか、、』


 それを横目に見ていた男はそう呟いて消えていった。


「ここは、、」

 目を開けると、そこは元の降りる予定の駅だった。

「戻れたんだ。現実の世界に……

 君が助けた子は、お礼を言って帰っていったよ。

 今時の子にしては、珍しくガラケーを持っていたけど……」


 リリーはそう言って、景太に向かって手を伸ばす。

 リリーは続けた。


「唐突で悪いが君には才能がある。

 助手にならない?私と一緒に怪異を退治しようよ!」

「え……?」


 あんな事があった後だ、急な誘いに、景太は困惑した。


 ――――――――――――――――――――――


 少女は楽しそうに笑い、続ける。

「面白かった?解決してよかったね。

 ……でもね、きさらぎ駅って、一度だけじゃないらしいよ」


 彼女は口角をわずかに上げる。

「夜の電車に乗っていると、また別の誰かが迷い込むんだって。」

 少女は少しだけ首を傾げた。

「君はしってる?怪異ってね……噂が消えない限り、何度でも生まれるんだよ」


 少女は1本目の蝋燭の火をフッと吹いて消す。

 そして少女は、また静かに口を開いた。


「じゃあ、次の話をしようか……」


 ──────────────────────


 怪異名:きさらぎ駅

 怪異階級:B級


 攻撃力:B

 スピード:D

 知能:E

 防御力:B

 噂レベル:B


 怪域:不完全。線路または電車を媒介に発生。

 選ばれた人物を異界へ転移させる。


 種別:異界型怪異


 リリーメモ:変な電車に乗るな。

きさらぎ駅有名だよね。

リリーメモは、リリーがそう言うのに耐性が無い

一般の人が怪異に遭遇した時の対処法を教えてくれます。


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