表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王の花嫁  作者: yaasan


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

53/106

どこの世界の住人だよ

「あとでアストリア様も交えて少し話がしたい。よいか、クアトロ?」


 皆もいるのだし危険はないだろうと、クアトロはそれに黙って頷いた。そんなクアトロからエネギオスへとバスガル侯が視線を移した。


「エネギオス、剣の腕が上達したか見極めてやる。ついてこい。俺の息子は母親に似たのか魔導師なんぞになったので、日々退屈していたところだ」


 エネギオスが露骨に嫌そうな顔をする。しかし、そんなことは意に介さないバスガル侯だ。引き摺られるようにしてエネギオスは連れていかれる。


 筋肉ごりら一号も零号には勝てないということなのだろう。


 二人が去った後、マルネロが大きく息を吐き出した。


「とにかく丸く収まったわね」


「バスガル侯は、とってもマルネロさんのことがお気に入りなのですね」


 アストリアが感心したように言うと、マルネロが得意げに胸を反らした。


「まあ、マルネロが好きというより、その爆……」


「クアトロ、それ以上言ったら燃やすわよ」


 マルネロが凄い顔で睨むのでクアトロは黙り込む。


「父上唯一の弱点が、女性ですからね」


 息子のグリフォードも安心した顔をしていた。


「ではクアトロ王、私はこれら将兵を解散させるとします。続きのお話は城内にて」


 グリフォードは一礼すると踵を返した。


「では皆さん、我々は城内に向かうとしましょうか」


 クアトロが思うには、謝罪どころか喧嘩を売り続けていただけだったようなヴァンエディオがそう言ったのだった。





 城内に通されてしばらくすると、上気した顔のバスガル侯と、いささかやつれ顔のエネギオスが入って来た。


「四将の筆頭などと煽てられているが、エネギオスもまだまだ青いのう」


「いやあ、叔父貴には、まだまだ敵いませんですぜ!」


「かっかっかっかっかあ」


 バスガル候が気持ちよさそうに笑っている。


 お前ら、どこの世界の住人だよ……。


「おっと、これはお嬢さん方の前で失礼をした」


 バスガル侯はそう言って、アストリアとマルネロの正面に腰を下ろした。


「ところで……何の話だったかのう?」


 バスガル侯が不思議そうな顔をクアトロに向ける。

 何なんだ……このぼけ老人は……。


「父上、アストリア様も交えてクアトロ王にお話があると……」


 息子であるグリフォードにそう言われて、バスガル侯が大きく頷いた。


「そうじゃった、そうじゃった。娘さん、いやアストリア様は鍵となる人物でな……」


 話を始めるのかよとクアトロは思う。

 ヴァンエディオには教えないと、あれほど言っていたのに。


「かつてこの地上の主だった邪神と呼ばれる存在。それを封印した人族の血を引くのがアストリア様だということだ」


「ほう、鍵という以上、封印ができるのであれば、解放もできるとでも言うともりですか?」


 ヴァンエディオがそう言うと、バスガル侯はぷいっと横を向いた。

 

 やはり、ヴァンエディオのことは嫌いらしい。

 クアトロは目でマルネロに合図を送った。


「あ、あらさすが、バスガル侯ですね。博識ですこと」


 マルネロの片頬が見事に引き攣っている。


「ほっほっほ……」


 途端にバスガル侯の機嫌がよくなったようだった。分かりやすいが、面倒な爺さんだとクアトロは思う。


「だが、解放するといってもどうやって?」


 クアトロが疑問を口にする。


「知らん」


「……」


 何かひどく疲れた。もう帰ろうかなとクアトロは思う。この虚脱感は、あの不死者の王、トルネオと対峙した時と同じだ。


「だが、魔人の奴らは、それを知っておったのだろうな。だからアストリア様を狙ったのだ」


 そう言ってバスガル侯は考え込む様子をみせる。


「ならば、また邪神を解放するために、魔人が来るのでしょうか?」


 それまで黙っていたダースが、我慢できないとばかりにバスガル候の言葉に口を挟んできた。


「まあ、可能性としてはあり得る。邪神を解放し、地上を混乱させて神や天使どもに、ひと泡吹かせるといった考え方もあるのかもしれぬ」


「しかし、ひと泡吹かせたところで、魔人に大した益はないのでは。それで神や天使を駆逐できるわけでもないはず」


 ヴァンエディオが口を開くと、バスガル候は面白くなさそうにそっぽを向く。全くもって面倒な爺さんだった。


「バスガル侯、何か思いあたることはありませんか?」


 そっぽを向いたバスガル侯にマルネロがやんわりと声をかける。もっとも、マルネロの片頬は引き攣っているのだったが。


「さあてな。魔人どもの考えていることなど分からん。だが、この地上はもともと魔族や人族のものではない。邪神と呼ばれる連中のものなのだ」


 マルネロに訊かれたら仕方ないと言わんばかりにバスガル侯が口を開く。


 確かに以前は邪神のものだったかもしれないが、今さらそんなことを言われてもとクアトロは単純にそう思う。


「地上の盟主だった、邪神。その邪神を封じた人族。そもそも人族は天使によって地上に生み出された存在。そして人族への対抗として魔人に生み出された魔族……」


 ヴァンエディオが情報を整理するように言う。


「今ひとつ、どれも綺麗に繋がらないわね」


 マルネロの言葉にバスガル侯が思い出したように口を開いた。


「クアトロ、そう言えばお主のところに、ちび助の天使がいたじゃろう? 天使であれば何か知っているかもしれんぞ」


 スタシアナのことなのだろう。クアトロは頷いた。邪神に関しては、天使であったスタシアナやエリンの方が詳しいかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ