表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王の花嫁  作者: yaasan


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/106

天使って馬鹿なの?

 「何か面白くなってきたじゃない?」


 アストリアの自室で、マルネロは楽しげにそう言ってみた。


 部屋にはアストリアの他にスタシアナやエリンの顔もある。扉の外には廊下でダースも控えているはずだった。

 

 部屋の主であるアストリアは、その隅っこで申しわけなさそうにしている。どうやら皆が自分の護衛のために集っていることを、先ほどから気にしているようだった。


 マルネロが言ったさっきの発言もそれを払拭しようとしてのことだったのだが、そんなアストリアを見る限りでは、あまり効果がなかったようだった。

 

ならばここは直球でと思い、マルネロは口を開く。


「アストリア、気にすることはないわよ。私とスタシアナは魔族の四将と呼ばれているのよ。魔人ごときに遅れは取らないし、揉めごとも大好きだからね」


「はい……」


「それに天使にとってみれば、魔人は目の敵なんでしょう?」


 マルネロがそう言って、エリンに目を向けた。


「あら、目の敵ってほどではないわよ。もちろん潜在的に嫌っている部分はあるけど。天上では生活圏も違うから、互いに揉める機会もあまりないわよね」


「え……そうなの? 神や魔神も含めて、お互いにばちばちなんじゃないの?」


「そんなばちばちやってばかりいたら、とっくにどちらかが滅びているわよ。ましてや、呑気に地上に来たりもできないじゃない」


 馬っ鹿じゃないといった感じでエリンがマルネロに言う。

 この天使、綺麗な顔をしてこの言い方……本当に腹が立つとマルネロは思う。


「で、でもさ、スタシアナも魔人は嫌いだもんね」


「んー、どうでしょうか。魔人なんかより、不浄な者の方が嫌いですねー。不浄な者は即浄化です!」


 くっ、このろりこんばばあが……。

 マルネロが心の中で呟く。

 あの骸骨と妙に意気投合しておいて、即浄化はないだろう。


「でも魔族の皆さん、眷属の魔人と戦うことには問題ないのでしょうか?」


 アストリアがそう訊いてきた。


「上位眷属とは言っても、人族が天使を敬うみたいなことはしないわよね。逆に上位眷属だからって、なんで偉そうにされないといけないのかって感じじゃないかしら」


「あら、魔族って随分と捻くれているのね。やっぱり下位の頭が悪い眷属だからかしら」


 エリンが鼻で、ふふんといった感じで笑っている。


「こらっ、エリン!」


 そんなエリンに対してスタシアナが拳を振り上げる。

 エリンは、ひっと言って両手で頭を庇う。


「マルネロをあまり馬鹿にしちゃ駄目なんですよー」


 馬鹿に? 

 喧嘩を売っているの間違いじゃない。

 

 何か非常に疲れてきたと思うマルネロだった。


「でも、皆さんに守られてばかりでは申しわけなくて……」


 アストリアが俯き加減で言う。


「気にすることないわよ。こうして話しているのも楽しいじゃない?」


 天使どもとは話していても全然楽しくないけどね。

 マルネロは心の中で呟きながら、不自然な笑顔を浮かべて見せた。片頬が引き攣っているかもしれない。


「やはりあの魔人、また現れるのでしょうか?」


 マルネロにアストリアが改めて問いかけてきた。


「そうね。怖がらせるつもりはないけど、あの感じだとまた来るでしょうね」


「面倒だからさっさと来ればいいのよ。今度はすぐに消して……」


 エリンがそこまで言った時だった。轟音とともに部屋全体が大きく揺れた。


「ほら! あんたが余計なこと言うから!」


 マルネロがスタシアナを庇いながら、エリンに向かって叫ぶ。


「はあ? なんで私のせいなのよ!」


 こんな状況でもエリンが果敢に言い返してくる。


「アストリア様! ご無事ですか!」


 ダースが部屋に飛び込んで来た。


「魔人の襲撃かしら? そこのおっぱいお化けと一緒で、魔神に連なる存在って気が短いのよね」


 エリンが悪態をついている。

 やがて、さらなる轟音が上がり、天井が崩れ始めた。スタシアナが両手を上に向ける。


「障壁!」


 白い半透明の球体がスタシアナ達の周囲を取り囲む。崩れ落ちる天井から顔を見せたのは巨大な竜だった。


「なんでこんな所に竜が? とにかく外へ……」


 そこまで言って、マルネロは言葉を飲み込んだ。竜の左横にあの時の魔人が宙に浮かんでいたのだった。


「あれー? 魔人って飛べたんですねー?」


 浮遊魔法の一つなのだろうが、スタシアナがどうでもいい感想を述べている。


「ダース、アストリアを連れて逃げて。この騒ぎよ。皆もすぐに来てくれるはず!」


 三本の角? まさか、古代種の竜?

 マルネロは心の中で呟く。


 なぜ古代種の竜が魔人と行動をともにしているのかとの疑問もあるが、今はそれを考えている場合ではなかった。


 古代種の竜はスタシアナとエリンに顔を向けると咆哮を上げた。かつて邪神とともに地上で神や天使、そして人族と争ったという古代種の竜。魔法に絶対的な耐性を持っているはずだった。


 さすがに分が悪いとマルネロは思う。自分も含めて、スタシアナやエリンも魔法しか使えない。


 だけれども、アストリアを逃して防御に徹していれば、やがてはクアトロたちが駆けつけて来る。そうなれば、勝機も見えてくるはず。


「スタシアナ! アストリアを逃して防御に徹するわよ! そうすればって……へっ?」


 スタシアナに視線を向けたマルネロは絶句してしまう。


「こらあ! クアトロのお城をこんなにして! ぼくは許さないんですよー!」


 スタシアナは杖をぐるぐると掘り回し、ぷんすか怒りながら黒い翼を広げて空中に飛び出して行ってしまう。


「あ、スタシアナ姉様、待ってよー」


 エリンも白い翼を広げて、スタシアナのあとに続いて飛び出していく。

 

 天使って皆……馬鹿なの?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ