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恐怖の大魔王に変身


「だったら魔王様がなりたいものになればいいじゃない。あーバカバカしい」

 サッキュバスはつまらなそうに背を向けて立ち去ってしまった。

「ちょっと待てサッキュバスよ、予の話は終わっておらん。宇宙は凄いんだぞよ。広くて大きくて無敵だぞよ」

「そうですね、別に急いで今決めなくても、その時になりたい物になるのでいいと思いますよ」

 ソーサラモナーも立ち去る。

「待て、待って! 予の話を最後まで聞くのだ!」

「なりたいものって年相応で変わりますから、無理に決める必要はないかもしれません。それでは失礼します」

「ああ、サイクロプトロールまでそんなこと言う!」

 魔王様が寂し気にそう言って立ち上がったが、三人は玉座の間から出て行ってしまった。


 まあ……半日も無駄にしたのだから、みんなの気持ちも分からなくはない。

 だが、私はここにいないといけないから……やりにくいなあ……。誰か替わって欲しいぞ。

 次の魔会議で相談してみようか……。


 二人だけになり魔王様は渋々玉座へと座られた。いつものように私はその隣に立つ。

 夜の冷気が天井から下りてくる……。コタツに入ってみかんが食べたい季節だ。

「デュラハンよ。変身するならやはり、ライダー系ではなかろうか」

 ――!

 まだ諦めていない魔王様が……やはり歯痒い。

「……ライダー系って、まさか」

「カッコイイ変身ポーズで『変身! とうっ!』そしてベルトがグルグル回るのじゃ!」

 グルグル回るベルトって――通じないぞ! 古くて。

「仮面ライダー魔王!」

 ごっそりそのまま言っちゃってる――! どこかで聞いた事があるかもしれない!

「かっこいいかもしれませんが……勇者がキャーキャー言うかどうかは別問題かもしれません」

 イケメンになる必要がありますと言いかけ、慌てて口を押さえた。


「それよりも魔王様。ここは一度初心にかえり、もっとシンプルな方法はどうでしょうか」

「シンプルだと? 卿の頭の中身か」

 カッチーンとくるが、私は首から上が無いモンスター……へっちゃらだ。耐えられる範囲内だ。

「変身ではなく、大きくなってはいかがでしょうか? これこそシンプルイズベストです」

 なぜこんな簡単なことに早く気付かなかったのかと自己嫌悪してしまいそうだぜ。フッ。

「大きくとな!」

「はい。天井に頭が付くくらい大きくなれば、勇者どもがキャーキャー驚くこと間違いなし」

 足でクチャッと噛み古したガムのように踏みつぶせます。

「だが、細長くなりはしないか?」


 ――身長だけ長くしないで! ちゃんと横にも大きくなって! 気味が悪くてキャーキャー言われます。

「……とりあえず縦にも横にも比率を固定して大きくなり、魔王様が大魔王様になるのはいかがでしょう」

 大きくなったから大魔王でございます!

「おお、名の通り大魔王か! 一番しっくりくるぞよ」

 大きくなれば……とりあえずはキャーキャー驚くことだろう。当社比1.5倍でも十分だ。

 これにて一件落着。部屋に帰って頭痛薬を飲んで寝られるぞ。


「スカイツリーと同じくらいの大きさでどうじゃ?」

「デカ過ぎ――! それも世界観が壊れます!」

 せめてクリスマスツリーと進言した方がよいのだろうか……。高さが634mで体重4万トンの大魔王様……。歩き回れば各地で地盤沈下の被害が勃発するだろう。しかも展望デッキ付き……。

「そんなバカデカくなってしまえば、魔王城も足でクチャッと踏みつぶされます。魔王軍は魔王様以外壊滅状態になることでしょう」

 絶対私も踏まれるだろう……プチっと。

「そうか……では、大きくなればよいという訳でもないのだな」

「はい。変身は度を過ぎてはいけません」


 度を過ぎた変身は、もはや変態としか呼べません。


 ――魔王様、変態は諦めてください。



最後まで読んでいただきありがとうございました!!

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