マオ・トルゴ
「いや食べ物はあげるけどさ、その前に体大丈夫なの?脚とか、左肩も潰されてるっぽいけど」
「うん、なんかうまいこと隙間に挟まったみたいで潰されてないから大丈夫なんだよ。ただ長いこと何も食べてなかったから正直死にそうで」
「わかった、じゃあ先にこれあげるよ」
残っていた赤い果実をあげた。まさかこんなにこの実が役立つとは思わなかったな。
ありがとうと目的の人物は赤い果実を美味そうに食べる。本当に何日も食べていなかったようで、あっという間に平らげたのでもうひとつあげた。
「あ、オレはマオって言うんよ。よろしくな」
「俺はテレンシオ。それ食べ終わったらどうやって掘り出すか一緒に考えてくれ」
「すんげー助かる。手が一本じゃ無理だったけど、動く手が三本あれば何とかなりそうだ」
マオが食べ終わると正面に座って観察する。
天井から崩れ落ちてきた物は岩と土の塊だ。
それがマオの体の下半分と左腕を丸々埋めていた。動く右手でもがいた痕跡があちらこちらにあり、爪も血が滲んでいる。
手当てもしないとな、とテレンシオは思った。
「とりあえず左肩の土砂をどかそう。そうすれば引っ張り出せる気がする」
「お願いします」
えっさほいさと手で掘り出すがなかなか進まない。掘ったそばから土砂が落ちてくるようだ。
「……、ちょっとこれ食べて待ってて」
埒があかないとテレンシオは立ち上がった。
鞄のなかに入っている干し肉をマオに手渡すと、剣とナイフを手にテレンシオは元来た道を戻っていく。
「待ってどこ行くん!!?」
マオが焦った声をあげた。
「秘密兵器取りに行く」
そうしてテレンシオは闇のなかに消えていった。
テレンシオは一旦洞窟の入り口まで戻って来た。
少し離れたところの木を剣で斬り倒すととあるものを作り始めた。鍬だった。大きいやつと小さいやつ。そして蔦をたくさん見付けると三つ編みのように編んで簡易なロープを作り、板と、棒も作る。
そしてそれらを担いでテレンシオをまた洞窟へ。
「お前何半べそかいてんだ」
戻ったらマオが涙目だった。
「べそかいてねーし。干し肉が美味すぎただけだし」
「そーか、そりゃ良かった」
板と棒の束を置くと、テレンシオは鍬を振り上げた。
「おい、大丈夫かそれ!オレの肩抉られないか?それ!」
「大丈夫だ、鍬は外さないから任せろ!」
「いやごめんやっぱり心配[ードスッ!ー]ぎゃあああ!!!」
マオの悲鳴を無視し、テレンシオはえっさほいさと土をハイスピードで掘り進めたのだった。




