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それぞれの春

 春に唄う。

 守られた居場所と目標へ続く舞台へ手を伸ばして。

 今日も音を響かせる。


 春に誓う。

 自らの弱さと失敗を糧に糧に。

 より一層、強く逞しく、そして鮮やかに咲かせてみせる。


 春に悔やむ。

 未熟な心が告げてしまった別れの言葉。

 決して戻らない、桜の終わりを迎える時。


 春に飛ぶ。

 それぞれの方向へ進路を変えようとも進む道は変わらない。

 変わらず皆を信じてる。


 春に妬ける。

 毎年、特別枠だった花見席。

 少し目を離したすきに私の桜は皆の桜になっていた。

 そして、彼女のひだまりの場所になっていた。


 春に知る。

 必死にもがいて不器用ながらにも予想以上の正義を掲げる人に。

 私はバカらしくも想いを寄せている。


 春に惜しむ。

 何度も見た同じ景色、同じ桜木。

 慣れ親しんだものへの愛着を捨てて巣立つ時、君の笑顔を見ていたい。


 最悪の春。

 毒に気付かれ伐採されようにも生き地獄。

 焼かれた枝から新芽は育つ。


 世界一青い春。

 思い思われ、交差して過ぎ去る春に背を向ける。

 後悔の先に再会があるのだと信じて。

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