番外編〜あるデモの裏側で〜
本誌と関係ない番外編です
youtubeで埼玉のデモの動画を見たので。
俺の小説なんだから俺の思想熱盛しちゃっていいよね。
これも思想の自由だろコノヤロー
都内某駅前。
普段ならバスやタクシー等が往来するコンコースは、今日はいつもの何倍も喧騒に塗れていた。車道に一台の選挙カーが停まり、移民反対の演説を行なっている。
それを歩道や広場から反対派の人間たちが、政治家の話に耳を傾けようとしているのだが、浅慮な賛成派の妨害によって半分も聞き取れない。
羽柴と巴は、プライベートでたまたまこの駅前に来ていた。この駅ビルに売っているシュークリームがたいそう美味いと聞いていたからだ。いざ外に出てみれば、ゴミが人のように群がっていた。それことゴミを見るかのような目で彼ら、ひいては賛成派の人々を見ている。
実を言うと、羽柴は政治には興味がある方だ。宮崎での事件でも垣間見えたが、彼は日本ないしは天皇陛下を尊敬している。それは彼なりの持論に基づくのだが、自分は地獄ならば陛下は天国の象徴だという思想があるのだ。
天国と地獄の二つがあって世界は均衡が保たれている。つまり、日本を危機に陥れようとしているこの日本人もどき達を外患誘致罪で殺さなければならないと羽柴は思っていた。
「ここはヒトラー先輩リスペクト"自分の思想に反対する奴らを粛清しよう大作戦"でもするか」
『素晴らしいお考えですが、それバレちゃうと日本派の印象を悪くしちゃいますよ』
「だよね。つまり、左派にはサイレント・マジョリティになって貰えばいいんだよな?」
羽柴は何も言わずに巴に手のひらを差し出した。巴はバッグから怪しい小型注射器を羽柴に渡し自分もそれを持つ。そして、5分後に集合と言って群衆の中に飛び込んでいった。
「移民を受け入れろ!」
「可哀想だと思わないのか!」
「差別をするのか!?」
賛成派の低レベルな野次が政治家の音声をかき消そうと必死になっている。数を集めて質が低いのは百も承知だが、生憎と選挙は数なのだ。
これもまた一種の暴力であることを理解できていない。何より、選挙演説の妨害は普通に犯罪である。恐らく、これは反対派にも言えることだが、一人や少数ならここまで声を上げることはなかっただろう。故に、人は群れ、徒党を組み、己の力が肥大化したという幻想に迷い込み間違いを犯すのだ。
現にこうして喚く賛成派は、政治家が何を言っているのかすら分かっていないし聞こえていない。本末転倒もいいところに思えて作者も笑えてくる。
だが、まだ誰も気づいていないが賛成派の声がだんだんと弱くなってきていた。それは単に何人か帰ったからとかではなく、声が単純に出てこなくなっているのである。
「―――――――ッ!?」
ある賛成派も、首にチクリと何かが刺さったと思った瞬間、声帯が上手く機能せず声が出てこなくなっていた。
慌てて隣を見れば、狂気に染まった瞳の男が立っていた。羽柴である。何が起きたか分からなくなっている沈黙者に、羽柴は嘲るような声色で説明した。
「声帯ってよお、反回神経を麻痺らせっと声が出なくなんだぜ? 今お前らの声帯付近に麻痺毒を打ち込んだ。有難いご高説は静聴するのがマナーだぜ老害Lv.100」
頭に血が昇った賛成派は羽柴を殴ろうとしたが、片手で喉を締められもがいていた。羽柴は心を折って自殺させるつもりでこう畳み掛けた。
「お前歴史勉強したことないでしょ。外国が日本に入ってきた時なんて治外法権と不平等とトラブル満載だったんだぜ。逆に徳川の鎖国時代は日本はそれはそれは平和だった。そんでいざ外国受け入れたら倒幕とか尊王攘夷だとか出てきてよお・・・。ここまで言えばお前ら政治的弱者が如何に悪か分かるよねぇ?」
言葉は説教のように刺々しいが、口調はむしろ楽しんでいるようだった。純粋にこの恥辱にまみれた拷問に愉悦を感じている。羽柴もまた、自分が正しいと主張している選挙の野次馬と変わりない。唯一違うのは、彼らと違って自分の主張を押し通す圧倒的な力があることだ。
ある程度、移民賛成派の声が小さくなってきたところで群衆の中から抜け出て巴と合流した。
「どう?」
『36人殺せました。あとできるだけの賛成派に自作の違法麻薬を忍ばせておきました』
「さいこー♡」
気が晴れた二人は駅前を立ち去り、元の日常に戻っていった。この日、異様に多くの不審死と麻薬取締法違反があったが、真相はこの世で二人しか知らない。
鎖国時代の日本がいかに平和だったかを学校で教わったはずなのに分かっていないようですね。
国史読んで出直してきやがれください。




