仲良くしてくださぁい!!
「ふぅ……んっ………ぁっ」
なんて声を出してるの、私ーーーー!!
私はアランに食べられるみたいにキスをされていた。
………えぇ、ベロチューですよ!ベロチュー!!
入り込んできた舌に翻弄され、急激に流れ込む魔力に体が熱くなり…もう、何かなんだか!?
キス自体がさっき初めてだった私には刺激が強すぎる!!!
いや、これはキスじゃない!魔力供給の手段に過ぎないのよ、私!!勘違いしてはダメよ!!キスじゃないの!!
「はっ……………んぁ……」
恥ーずーかーしーいーーーーーー!!!!
キスじゃない!って自分に言い聞かせるも、今まで感じたことのない感覚が背中に走る。
足がガクガクと震え…まるで産まれたての子鹿。
(アラン!やり過ぎよ!!)
魔力供給するのにここまで深く繋がる必要はない。
アランは魔力を持ってはいるが使わないから、よく知らないのかもしれない。
私はいよいよ自分の力で立っていられなくなってアランに凭れてしまったが、アランはが腰にがっちりと腕を回して支えてくれる。
「はっ…はっ…………、っ!」
暫くしてやっと唇が開放される。
1、2分のことだったんだろうけど、ものすごく長く感じた…。
必死に呼吸と気持ちを整えようとしたが、離された唇と唇の間で銀糸が繋がっているのが見え、羞恥心が煽られる。
(応急処置…、これは応急処置よ……!!)
「アラン…迷惑かけてごめんね。ありがとう………」
まだ呼吸も荒く、顔も真っ赤だし涙目だし、何より腰が立たなくてアランに凭れかかったままだけど、なんとか謝罪とお礼をする。
「いやっ………いいんだ」
なせか目を逸らしながら答えるアラン。
なんとなく耳が赤い気がする。
「そんな顔をされると…」とか「破壊力が半端ない……!」とか、よく分からないがブツブツ独り言を言っている。
破壊力……?うん、確かに光魔法も闇魔法も破壊力スゴかったね。スゴかったけど、急にどうしたの??
そして…顔、か………。「そんな顔」って…そんなに変な顔してたのかな……。
そういえばまだ鏡をほんの少ししか見ていないから、真顔ではない表情の自分を見たことがない。
周りへの配慮のためにも、今度ひとりで研究をした方が良さそうだ。
ひとりで鏡の前で表情の研究…。絶対に誰にもみられないようにしよう。
そうしてやっとのことで自分の足で立てるようになった頃、フランツさんが戻ってきた。
「お待たせしました」
「えっ?フランツさん、その格好……」
フランツさんの洋服はもうボロボロではなかった………が、動きやすい冒険向きの洋服ではなく、先程と同じ、燕尾服を着ていた。
恐らくスペアの燕尾服だろう。
…これで行くの?動きにくくない?
「私の心と体はイリーネの物。イリーネに捧げ、仕える身ですから…この格好が相応かと」
「いえ、相応ではないし、心も体もいりません」
フランツさんが『そんなバカな!』とでも言いそうなくらい驚いた顔をしている。
いや、その表情が『そんなバカな!』ですよ。私のことをなんだと思ってるんですか!
「それに動きにくいでしょう」
「いえ、これは特注の品でして。伸縮性に富んでおり、生地も丈夫に出来ています。そこらへんの服よりよっぽど優秀なんですよ」
「へ…へぇ………」
一体なんのために作ったんだ!?
聞けない…聞けないよ!!これ、答えが絶対怖いやつ!!
聞いたらアカンやつ!!聞いたら絶対後悔するやつぅ〜!!
そして、アラン!!
小さい声で「じゃあどれくらい丈夫か試してやろう…」とか言わない!!こっちはこっちで怖い!!
「んっ………」
「「「!!」」」
アマーリア様が身じろぎする。
煩かったかな!?ヤバい、起きちゃう!!
ふたりと目配せをし、速やかに屋敷を出ることにする。
見つかる前に、追いかけられる前に!逃げるのよーーーーー!!!
******
屋敷を速やかに出る。
フランツさんがお客様のアランを連れているのは何ら不思議なことではない。
『あら、勇者様はお帰りなのね』って思うだけだ。
ちなみに私の洋服もなかなかにボロボロだったので、空間ポケットの中からワンピースを出して着ている。
白くて背中が肩甲骨の下辺りまでバックリと空いた、少し大胆ではあるが仕立ての良いワンピースだ。
その背中の空き具合も、長い髪を垂らしているのであまり目立たない。
恐らくいいとこのお嬢様に見えるんじゃないかな?
…白髪だけど。
だから勇者様と一緒に案内されている…とかなんとか勘違いしてくれるんじゃないかな?
そして予想通り、私達は誰からも声をかけられることなく外に出られた。
……緊張したぁ〜!
ちなみに私の格好を見て、ふたりとも口をあんぐり開けて固まってたわ。
…いいもん。期待なんかしてないもん。
屋敷から離れて、街の外れに来てひと息つく。
さて…フランツさんと話さねば。
「ねぇ、フランツさん…、従属の魔法の件なんですけど、今、ここで解除します。だから好きなように生きて下さい。あなたは自由なんです」
「え…?」
「思えばずっと従属関係を続ける必要は無いんですよね。一度闇を追い出したのでもう、私との契約は解除して問題ないんです」
「「なんだって!?」」
ひとりの声は歓喜、ひとりの声は戸惑いだった。
アラン…本当にフランツさんが嫌いなのね…。そんなに喜ばなくても…。
フランツさんもフランツさんで、自由になるのが怖いのかしら?顔が吃驚したまま固まっているわ。
一度闇を追い出せば、再度契約を結ばない限りまた従属させられることはない。
だから私との契約を無くせば彼はもう、完全に自由なんだわ。
なぜ気付かなかったのかしら!
「すぐに気付かなくてごめんなさい。闇を追い出す目的でかけた従属の魔法ですから、もう必要ないんです。一時とはいえ従属の魔法なんてかけて、不快な思いをさせてしまってすみませんでした」
ペコリと頭を下げる。
従属させられていい気分なわけはない。
フランツさんのためだったとはいえ、やはりここは謝っておくべきだろう。
「………私を捨てるんですか?」
「なっ!?捨て…!?」
「だってそうでしょう?私はもう、イリーネにこの身を捧げるつもりでいたんですから。………まさか弄んだっていうんですか?」
「ななななな!?」
いやいや!言葉のチョーイスっ!!
まるで私が悪女みたいじゃないの!!
え、まさかそういうことなの!?
私って悪女だったの!?んなバカな!!
「私の心も体もあなたのもの…」って、そんな蕩けるような目で見ないで!!
私を悪女に仕立て上げないで!!
ていうか近い近い!
「ひいっ!」
間合いを詰めてきたフランツさんにドギマギしていると…スッと剣の切っ先がフランツさんの喉にあてられ、変な声が出た。ちなみに私が。
もちろん犯人はアラン。
国王様〜!聖剣で人を威嚇してる勇者がいますぅ〜!!
フランツさんは全然平気そうなのに、私の方が冷や汗出るわ。
「近づくな。そしてお前は用済みだ」
「…狭小な勇者ですね」
バチバチと火花が見える…!
怖いよ〜!
お願いだから、仲良くしてください!!
やっとこさ次回から旅へ出ます〜!




