-12-
「そのようなことなど分かっておるわ! だが、何も罪の無いミュータント達が無残に殺された私怨は忘れることが出来ぬ! 毎晩悪夢に魘されるほどな!」
ヴィエイルの直系の子孫は人間から助けることが出来なかったミュータント達の亡霊を夢に見るほど、自責の念に駆られていた。
「でもお前達が俺達人間に復讐を果たしても、今度は生き残った人間がミュータント達に復讐するかもしれないんだぞ! もうこんなことは止めよう!」
光はこれ以上殺戮を繰り返さないことを願ってメビウスを説得しようとした。
しかしメビウスは眉を吊り上げ、目をカッと見開いた。
「貴様に何が分かると言うのだ! 我の計画は完璧だった……クレール達が裏切り人間共に手を貸すまではな! さらにプランスが殺され人間達が異次元ゲートを開ける能力を手に入れてしまった! しかし我は絶対に諦める訳にいかんのだ!」
メビウスは玉座から立ち上がると自分の右手に力を込める。
するとメビウスの右手が赤く輝きだした。
「貴様もプランスの苦しみを味わうがいい!」
そう言うとメビウスは、光に向かって右手を向けると「ファイア」と放つ。
「フォルティス!」
メビウスが「ファイア」を唱えると同時に光は身体強化の「フォルティス」を唱えると、メビウスの右手から飛んできた火の玉を素早く側転して避けた。
光の背後で火の玉が床に衝突し、激しい爆発音が聞こえた。
「お前だけは絶対に許さない! 元の仇を取ってやる!」
光は右手をメビウスに向けると「サンダー」を唱えた。
鋭い稲光が青い閃光を走らせながらメビウスに襲い掛かる。
「小癪な!『シールド!』」
メビウスは防御能力の「シールド」を使って、自分の目の前に見えない透明な盾を作るとニヤリと笑った。
しかし、メビウスのシールドに光が放った「サンダー」がぶつかった瞬間、異変が起こった。
バリンとガラスが割れるような音がメビウスの目の前で聞こえた。
光の放った「サンダー」が、メビウスの作った「シールド」を破壊したのだ。
そのことに気づいたメビウスは慌てて体を捻るが、左肘辺りに衝撃が走った。
「我の『シールド』を破る能力!? 貴様、クレールの指輪を嵌めているな!」
「そうだ、俺が今嵌めているのは黒斗さんの指輪だ!」
メビウスの左肘からうっすらと血が滲んでいた。
「シールド」を破壊した光の「サンダー」はメビウスの左腕に直撃したのだ。
メビウスは自分の「シールド」を破壊するだけの能力を持っているのは自分に仕えていたクレールしかいないと分かっていた。
「クククッ、クレールはとことん我に歯向かう気だな。人間の子供に己の指輪を渡すとはな」
光が嵌めている指輪が黒斗の物だと分かったメビウスはさも可笑しそうに笑い出した。
「黒斗さんは俺を信じて指輪を託してくれたんだ!」
メビウスの、黒斗を馬鹿にした笑い声に光は怒りを覚えた。
「よかろう。貴様がクレールの指輪を嵌めてるのなら、我は本気で貴様を葬ることにしよう」
メビウスはそう言うと、右手に更なる力を込める。
するとメビウスの体全体が赤く輝きだし、覚醒を始めた。
覚醒したメビウスは、光に自分の右手を向けると「バインド」と唱えた。
メビウス右手から赤く輝く紐のようなものが飛び出し、光に襲い掛かった。




