-2-
「お腹空いたぁ、疲れたぁ、早く何か食べたいよぉ」
「結構ハードな訓練だったからね。時間が無いからさっさと食べましょう」
「とりあえず、塩分摂りたいっす」
光は片手で自分のお腹を抑えながら、疲れきった声を上げる。
すると光の隣にいた鈴が両手を天に伸ばして背筋を伸ばしながら、光を元気付けた。
やがて光達は自分達の名前が書かれているテントを見つけた。
光は自分のテントの入り口のファスナーを開けて中に入る。
するとテントの中央に宅配用ダンボールより一回り小さいダンボールが1個置かれていた。
ダンボールの横には「食料品」と黒いインクで印字がされていた。
「何が入っているんだろう? とりあえず、いただきまーす!……へっ?」
光はダンボールを閉じていたガムテープを剥がして中身を取り出した。
しかしその中に入っていたのは、ブロック型と飲むゼリータイプの栄養補助食品、それとミネラルウォーターのペットボトルが3人分だけだった。
「亮夜さーん、あんなに動いたのにお昼これだけっすかぁ」
「情けない声をだすな。訓練中だぞ」
「光、いらないなら私が食べてもいい?」
「いえ、残さず食べますぅ」
光は訓練中だからお握りやサンドイッチが食べられると思っていたのが外れてガッカリする。
しかし食べないと体がもたないので、文句を言いながらも全て平らげた。
休憩が終わると隊員達はテントから出て、最初に訓練を始めた場所に集まった。
「午後からはそれぞれの能力に合わせた訓練を行う。各自、自分の能力のタイプを把握しているだろう。では、『身体強化特化型』タイプの隊員は左端へ。『特殊能力特化型』は中央へ。『万能型』は右端へそれぞれ集まってほしい」
黒斗の言葉に、隊員達は自分の能力別に集まった。
AAT入隊が決まった隊員は事前に、黒斗と珀が用意した試験をこなして、自分の真の能力を伝えられていた。
火・水・雷・風・氷・毒・煙・盾・鎧など魔法に近いような能力を自由に使いこなすのが、『特殊能力特化型』で、光がこのタイプだ。
魔法のような能力はほとんど使えないが、体力や行動スピードが常人の何倍になる『身体強化特化型』で、鈴がこのタイプになる。
そして、特化型より力は劣ってしまうが、特殊能力も身体強化も使いこなすことが出来るのが『万能型』で、亮夜が当てはまるのだ。
数分後、左端の『身体強化特化型』に7名、中央の『特殊能力特化型』に9名、右端の『万能型』に8名が集まった。
すると黒斗は、「これから手渡すバングルを右手首に装着しろ」と言って、『身体強化特化型』の隊員達に幅が3cmで、プラスチックのような素材の赤のバングルを、『特殊能力特化型』の隊員に黄色のバングルを、そして『万能型』に青のバングルを渡した。
隊員達がバングルの開いている部分を手首の横側から入れて嵌めると、バングルが手首に吸い付くように装着された。
「このバングルは、各自が身に着けているルビーの指輪と繋がり、各自の能力を抑制する仕組みになっている。『特殊能力特化型』は体力強化に繋がる能力は使えない。逆に『身体強化特化型』は魔法能力を使うことが出来ない。『万能型』は指輪の能力を半分しか使うことが出来ない」
黒斗の言葉に、バングルを装着した隊員達から動揺した声が上がった。




