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「エトワル星に戻った俺達は、メビウスに自分達の見てきたことを伝え、俺達はエトワル星で静かに暮らそうと提案をしたが、却下されてしまい、更にメビウスの怒りを買い、離宮に隔離されてしまった」
黒斗は一瞬悲しそうな顔をして、目を伏せた。珀もその時の事を思い出したしたのか、唇を噛締めた。
その2人の様子を霧人は心配そうに見つめていた。
「そしてエトワル星から初めて地球にインセクトと呼ばれているウォームを転送すると知った俺と珀は皆の目を盗んで離宮を抜け出し、インセクトと一緒に異次元ゲートを潜ったんだ」
メビウスの命令で監禁されていた黒斗と珀だったが、地球にウォームを送る情報を偶然手に入れ、覚悟を決めた。
地球に行って、人間にこの真実を伝えなければいけないと思ったのだ。
幸い、一度異次元ゲートを通って地球に行っているので、プランス異次元ゲートを開く場所、異次元ゲートの潜り方は分かっていた。
そして地球にウォームを送り出そうとしているプランスが異次元ゲートを開き、デファンスが能力でインセクトを持ち上げ、異次元ゲートの入り口まで運んでいる時、黒斗と珀は自身の能力で宙に上がり、異次元ゲートをくぐった。
「だが、全てが上手くいったわけではなかった。俺達が異次元ゲートに侵入したことはすぐに気付かれ、彼らは異次元ゲートを閉じようとしたんだ」
黒斗と珀の行動に気付いたプランスとデファンスは急いで異次元ゲートを閉じようとした。
しかし一度開いた異次元ゲートを、急に閉じることは出来なかった。
「俺達が地球まで後少しのところで、異次元ゲートが歪み、俺達は竜巻の渦に巻き込まれたような激しい衝撃を受けた」
「それでも何とか地球に辿り着いた時、俺達と一緒に異次元ゲートを抜けたインセクトと呼んでいるウォームが霧人様の前に立っていたんだ……」
ここまで黒斗が話したところで、今度は霧人が口を開いた。
「……私はその日、SP達を連れて私有地にあるゴルフ場でゴルフを楽しんでいた。しかし突然目の前に大きな黒い穴のような空間が現れ、そこから巨大な化け物が現われたんだ」
霧人とSPの目の前にはサメのような口をした、巨大なムカデのような醜い化け物がいた。
「私のSPはすぐに持っていた銃で化け物を攻撃したが……あっという間にSP全員の体は押し潰されてしまった」
霧人を守ろうとしたSP達は次々と化け物の体の下敷きになり、トマトが潰されるように簡単に殺されてしまった。
「私は逃げ出そうとしたが、残酷な光景を見て腰が抜けてしまった。だんだんと近づいてくる化け物を見て、もう駄目だと頭の中に走馬灯が浮かんだ」
返り血を浴びた化け物に霧人は覚悟を決め、息を止めた。
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