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「な、何だ……どうした!」
クリュエルが音のした方に目を向けると……クリュエルを遊園地まで乗せてきたムーシュの体が塵に変わっていく姿が。
「女に手に上げるとは……最低だな兄さん」
その声にクリュエルの顔を大きく歪んだ。
クリュエルの目の前、塵になったムーシュが立っていた場所に、漆黒の髪で猫のような長円瞳孔の瞳をした人物。
研究施設で、雨降霧人から現場へ向かえと言われた黒斗が立っていた。
黒斗の手にはアンチマテリアルライフルが握られている。
本来、二脚を床に設置して伏せ撃ちで使われ、機関砲弾にも分類される対物ライフルだが、黒斗はそれを小銃のアサルトライフルのように軽々と使いこなして、ムーシュを狙撃したのだった。
「名前を『白金黒斗』と変え、地球で生活しているようだな裏切り者、クレール!」
「あれは……雨降当主のSP!?」
地面に横たわったまま、クリュエルに『クレール』と呼ばれた黒斗を見つめた亮夜は、彼に見覚えがあった。
以前、討伐隊を設立した雨降霧人が討伐隊本部を訪問した時に、霧人を護衛していた人物のうちの一人だったからだ。
その時一度しか見ていないが、黒斗独特の猫のような長円瞳孔の黒い瞳が印象に残っていたのだ。
しかしその黒斗が、自分達を襲った者を何故兄さんと呼ぶのか、そして兄さんと呼ばれた人物が黒斗をクレールと呼び、裏切り者と言うのか、何故地球を襲うのか、この時の亮夜には理解できなかった。
「この白金黒斗という名は、俺が地球に偵察に来る際にメビウスが用意した名前だ。それに……先に俺達を洗脳したのはメビウスだ」
「我が王を呼び捨てとは、何たる無礼! もはやお前に生きている価値は無い!」
無表情で淡々と話す黒斗に対して、クリュエルは顔を真っ赤にして怒りを顕にする。
次の瞬間、クリュエルの右手の平が黒斗に向けられるが、すぐに能力を出すことが出さなかった。
何故なら、黒斗は直立で立ったまま、持っていたアンチマテリアルライフルのバット(床尾)を右肩に当て、右手はグリップと引き金に、左手で機関部を支え、銃口をクリュエルに向けていたからだ。
「このまま相打ちにするか? どうするクレール?」
地球に来た時点で覚悟を決めていたクリュエルは、歪んだ笑みを浮かべながら、黒斗に話し掛ける。
「偶然だな。俺も同じ考えだ」
黒斗はそう言うと、グリップを握っている右手に力を込めた。
「あの人を死なせる訳にいかない!」
亮夜は必死に右手をクリュエルに向けた。
細かい話は分からないが、クリュエルと黒斗の会話を聞いて、黒斗をこのまま相打ちにさせる訳にいかないと判断した。
「グッ……届けよっ……サンダー!」
いつもより威力は落ちるが、亮夜の右手の平から、白銀の光線がクリュエルに向かって走っていった。
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