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「光が羨ましそうな顔をしているから離れろ」
「い、いえ、そ、そんなことないですよ」
亮夜に本心を見ぬかれた光は、真っ赤な顔をして否定した。
「光にもそのうち可愛い彼女が見つかるわよ。何なら私の知り合いの女性隊員を紹介してあげようか?」
「ほ、本当ですか!? じゃあ、出来れば、身長は158cmで、体重は48kg、夕張メロンみたいな胸……イテッ!」
笑顔で光に話し掛ける鈴に気を良くした光は、自分の好みの女性を並べた途端、亮夜に頭を平手でしばかれた。
「調子に乗るな……行くぞ」
「はぁい、すいませんでした~」
頭を抑え、少し涙目になった光は、トラックの後部座席に座り、運転席に亮夜、助手席に鈴が座った。
途中、コンビニに寄った亮夜達はサンドイッチやオニギリを買うと、車中でそれらを食べた。
やがて3人を乗せたトラックは、討伐隊本部の正面玄関先に着いた。
辺りはすっかり日が落ちて、玄関の灯りが3人の姿を照らしていた。
3人が車から降りると、亮夜が鈴と光に声を掛けた。
「俺は本部に報告書を上げるから、鈴と光は今日使った救命道具や医薬品の補充をしておけ。鈴、光にしっかり教えとけよ」
「分かった。じゃあ光、車を移動させるから乗って」
「はい。亮夜さん失礼します」
鈴と光に説明をした亮夜は、本部の入り口から中に入っていった。
亮夜の指示で、再びトラックに乗った鈴と光は、鈴の運転で、本部から1キロほど離れた『雨降総合病院』に到着した
。
雨降総合病院は雨降財閥が経営している私立病院で、病床数1000床、10階建ての大病院。
屋上はヘリポートがあり、ウォームの襲撃で大怪我を負った人を受け入れることが出来る特定機能病院である。
ウォームに襲われ重症を負った亮夜の父親もここに入院している。
鈴はトラックを『討伐隊車両専用出入口』と書かれている場所に動かして停車した。
「じゃあ、先ずは荷台にある医療品の在庫を確認してから足りない分を取りにいくわよ」
「分かりました。手伝います」
光は鈴の指示で、荷台にある医療品の全てを確認すると鈴から渡されていた『医療品リスト』に数量を記入した。そしてリストを確認した鈴と一緒に病院の中に入っていった。
鈴は光に指示して、玄関入り口にある台車を持ってこさせた。
「討伐隊が使う医療品は、この院内薬局横にある『討伐隊専用医療品保管庫』で補充するの」
「分かりました」
鈴は台車を押している光に教えながら医療品保管庫に向かった。
そして保管庫の前に着くと、胸元から自分のICカードを取り出し、保管庫の扉の横にあるカードリーダーに通した。
すると、入り口の扉がカチリと音を立て、その音を確認した鈴が扉を横にスライドさせて開いた。
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