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「神堂さん、お待たせしました」
「もう少し悩むと思っていたんだが、意外と早かったな」
待ち合わせ場所に行くと、光と同じようにたくさんの料理を皿に乗せた亮夜が立っていた。
「結構悩んだんですけど、早かったですか?」
「割とな。じゃあ空いている席へ行こう」
そう言うと2人は外の景色が見える窓際の席に座った。
亮夜の皿には半生のステーキ、海老味噌のスパッゲッティ、マカロニサラダとポテトサラダ、刺身の盛り合わせ、一口サイズのチョコレートケーキとモンブランなどが盛られていた。
「神堂さんも結構ガッツリ食べるんですね」
「まあな……しっかり食べないと筋肉がつかないからな」
「「いただきます」」
二人は手を合わせると箸を持ち、目の前のご馳走を食べ始めた。
「あの……神堂さんはお幾つですか?」
「俺は19歳だ」
「討伐隊に入る前は何をしていたんですか?」
「大学生だ……今は休学している」
「どうして討伐隊に入ったんですか?」
「父親がウォームに襲われて……大怪我をしたんだ。俺に力があれば守れたのにな……」
光の質問に食事をしながら淡々と答えた亮夜だが、討伐隊入隊の動機を聞かれた時はその声が少し震えていた。
亮夜の父親は討伐隊に助けられたが、両足切断の他、内臓を負傷して病院で寝たきりの生活を送っているそうだ。
光はその話を聞くと、自分の両親を思い浮かべ、胸が苦しくなった。
「すいません、余計なことを聞いて」
「いや、気にするな。……食事が済んだら館内を案内してやる」
光は俯くと声が小さくなった。だが亮夜はあまり気にしない様子で、少し微笑みを浮かべた。
「神堂さんは大学で何を専攻していたんですか?」
「俺は『機械工学』を学んでいる」
「討伐隊を辞めたら、何かなりたいものがあるんですか?」
「ああ、『宇宙環境』に取り組みたいな……」
光と亮夜はお互いのことを話しながら食事を楽しんだ。
「はー、ご馳走様でした!」
「ご馳走様でした。満腹になったか?」
「はい、それに美味しかったです」
光は自分のお腹を右手で軽く撫でながら笑顔を浮かべた。
その様子に亮夜の顔にも笑顔が浮かぶ。
「食器を返却したら館内を案内する。ICカードの使い方を教えるからしっかり覚えろよ」
「はい、よろしくお願いします」
食べた食器を所定の返却口に持っていった光と亮はエレベータに乗って地下1階に向かった。
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