第43話 注目される美仁香ちゃん
二学期が始まって、数日経ったある日。
中学一年生である俺は、数週間後に開始されるという、期末試験という、めんどくさいものがあるので、適当に試験対策して、ただただ時間を過ごしていた。
そんなナマケモノの俺は、一時間目の授業終了のチャイムがなった途端、俺は机に身体をぐてっと倒して、欠伸を一つ発生させる。
「ふわぁ~・・・眠いっ」
まだ一時間目が終わったばかりなのに眠気が襲ってくる。昨日はよく眠ったのだがなぁ。
あ、ちなみに、俺専用の部屋は俺が中学生になってから出来ていたのだ。部屋出来るの遅っ!
俺の部屋は・・・それはそれは女の子の部屋でしたよ。ピンク色のカーテンに、ピンクを基調とした木造の机と椅子。ピンク色の電気スタンドに、ピンク色の鉛筆立てに、ピンク色のベッドや布団。
更にトドメをさすかのように、黄色いクマのぬいぐるみが多数散らばっているというファンシーさ。
ぬいぐるみは、いらないと言ったが、母親や麗香が捨てるのももったいないという事で、無理やり俺の部屋に押しやったのだ。
そして、俺の机の上には、県民栄誉賞の賞状と、世界格闘技大会で優勝した証の七百万円以上の価値がある黄金のトロフィーだ。
形は、ワールドカップのトロフィーを連想してくれ。そして、そのワールドカップをよく見たら、人間が万歳しているような物があるだろ?その人間の形がゴリゴリのマッチョの男らしきシルエットの形が両手でガッツポーズをしているのだ。
はぁ、別にいいんだけど、暑苦しいんだよなぁ~あのトロフィー。
ちなみに、賞金の六百万円の行方は、俺専用の銀行の口座を作ってもらって、そこに貯金。暗証番号はというと、俺と母親以外の人物には教えないという約束を母親と交わし、母親と共に覚えたのだ。
金の引き出しや預け入れに必要な通帳とカードを受け取った俺は、机の引き出しに保管。
ただ通帳やカードを普通に置くのも心配した俺は、板を購入し、その板を用いて通帳等を隠す事にした。
まずは、空っぽの机の引き出しの裏側に僅かな穴を空ける。その空っぽの引き出しの中に通帳やカードを先に入れて、それから机の引き出しの中に、購入した引き出しと同じ色した板を入れる。その上に、日記のような物を置くと完璧だ!ふっふっふ~頭いいだろ。
通帳が必要となった場合は、先程引き出しの裏側に小さな穴を空けたと言っただろ?その穴の大きさはボールペンの芯が通れる程だ。
だから、ボールペンの芯をその穴に入れて、購入した板が浮かんで俺の通帳やカードが姿を現すのだ。
この行動する時の俺の表情は、邪悪な笑みで『くっくっく。僕の勝ちだ』とイタイ事を言ってしまうのだ。俺は果たして誰に勝ったのか分からないままなのだが、俺はおそらく中二病だろうな。
この先、俺の部屋に遊びに来た友達や家族がその通帳やカードが入った引き出しを見ても、日記というフェイクが目に留まり、『あ、日記書いているんだ~』と相手は二重底になっている机の引き出しの中には気がつかないだろう。うむ、天才だ!俺は!
という事で、今至るという訳だ。
「そぉ~・・・」
俺はまだ机に身体をダラッと寝かせたままで、後ろに誰か気配があるのだが、疲れていたので、そのまま無視するしかなかった。
「勝負だぁー♪」
一文字ことみが俺に勝負を挑んできたのだが、後ろから不意打ちとは卑怯だぞ?そんな不意打ちの攻撃してきた一文字ことみの技とは
「こちょこちょこちょ~」
くすぐりだ。俺の横腹ががら空きだったので、右側と左側の横腹を同時にくすぐってきたので、俺は・・・
「ちょっ、にひひひっ。や、やめっ、にひひひっ」
くすぐったいので、笑ってしまったのだ。
「こちょこちょこちょ~」
「ぎ、ギブアップ~、にひひひっ。あふっ」
俺は机を右手でダンダンと叩き、ギブアップを宣言。すると、宮川綾と一ノ瀬歩美が登場して、一文字ことみの手をそれぞれ二人が持ち上げて
「「勝者、一文字ことみちゃんっ!世界最強だぁ~」」
俺から世界最強の座を奪ってしまう。いやいや、そんな簡単に世界最強の座は譲れんが・・・まぁ、子供の遊びだし、そっとしておこう。
そんな他愛の無いスキンシップをずっととられながら、次の授業の準備をしていた。まだ、一文字ことみにくすぐられながらな。
「こちょこちょこちょ~」
「にひひひっ。だから、やめっ、にひひっ」
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時は流れ、昼休み。
宿題が出たので、一年一組の教室にて済ませようと、ペンをいそいそと走らせていると・・・
「あの、西園寺さん。ちょっと、よろしいですか?話をしたいです」
「私も西園寺さんに話があります。職員室まで、来てください」
二人のガタイのいい短髪の教師が俺に話しかけてくる。俺に話があるという事で、俺は勉強道具を鞄に放り込み、二人の教師と共に職員室へと移動した。
「え、えっと、何ですか?先生」
俺はおっかなびっくりの表情を浮かべ、教師に質問する。そんな二人の教師は
「西園寺さんは部活に入っていないですよね?どうですか?剣道部に所属してみませんか?あっ、絶対に所属しないといけないっという話ではありません」
おーと、勧誘だ。多分、もう一人もそうだろうなぁ。何せ、世界格闘技大会の優勝者だから、運動神経や反射神経がものスゴくあると考えてしまうだろうなぁ。
「私も実は勧誘です。どうですか?柔道部。見学だけでもいいですから」
いやぁ、参ったなぁ。そんなに俺を天狗にさせないでくれよ。天狗になったせいで、今より弱くなったらどうするんだ?
俺は俺自身に天狗になるな!という意味を込めて、二人の案を丁寧に断る事にしたのだ。
「え、えっと、すみません。お二人のご期待に背くのですが・・・部活には入るつもりはありません。放課後とか休日を使ってお爺ちゃんと修行をしていますから・・・お爺ちゃんは僕との修行を楽しみにしていますので・・・そんなお爺ちゃんの楽しみを奪いたくないですから」
き、きたぁぁ!最高の言い訳だ!どうだ!参ったか!爺さんとの修行を好んでいるのは俺の方が強いかもしれないが、なんだかんだで爺さんも楽しんでいるからな。
俺の最高の言い訳を聞いた二人の教師は、驚いた表情を浮かべて、互いを見つめ合って、今度は俺を見る。
「しゅ、修行ですか?!い、一体、どんな修行ですか?!教えてくださいっ」
「わ、私もお願いします西園寺さん。柔道部で何か役立つかもしれませんからっ」
二人の教師は大興奮。柔道部の顧問らしき教師なら別に修行方法を教えてもいいのだが、剣道部には意味が無い修行だぞ?だって、受け身だけだったからさ。あと、合気道を少々。そんな受け身とか投げとかする武術では無い筈だろうが。
とりあえず、今まで修行してきた内容を告げる事にしたのだ。
「え、えっと、まずは、基礎体力をつけるから・・・重いものを背負って、全速力で走ったり、防御を鍛える為に、床に背中とか叩きつけられたり 、お腹にバスケットボール的な物で叩きつけたり、あとは柔軟性をつける為にはーーーーー」
俺が今まで努力してきた事を二人は聞いていたのだが、二人の顔はだんだん青ざめていった。それもそうだろう、まだ中学生の女の子が自分の身体に大きな負担を自ら与えているのだから。
「それとですね「「も、もういいですっ!西園寺さんっ!」」あ、はい」
俺の説明を二人の教師が阻止。まぁ、痛そうな話ばかりだったしな。
「それでは、最後の質問です。何故、そこまでして、本気で修行出来るのですか?西園寺さん」
柔道部の顧問が最後という事で、本音で素直に話す事にした。俺はいつも素直だけどな。
「強い人と戦いたいからですっ!僕は僕より強い人との戦いが大好きですからっ!にひひっ♪」
本音で喋ったら気持ちがいい。無邪気な笑顔も無意識に出てしまう。
「そっ、そうですか。では、西園寺さん、もう戻ってもいいですよ」
「すみませんね、昼休みを邪魔して」
二人は顔を赤らめながら話を終えた事を伝え、俺は職員室を出て、職員室から姿を消したのであったーーー。
「さすが、世界最強の女の子ですよね」
職員室から出てしまった西園寺美仁香を目にした柔道部の顧問である教師は、剣道部の顧問である教師に、西園寺美仁香の強さを確認していく。
「そうですね。今でも信じられないですよ。あんな小さな女の子なのに、世界最強の座を手に入れたんですから」
誰だって西園寺美仁香の身体の小ささで本当に強いのか?と疑問が浮かぶ。でも、名の知れたプロボクサーや総合格闘家や世界最強の合気道の達人に勝ってしまうという驚きの結果があるので、その強さを再確認する教師達。
「私の柔道部も負けていられませんね」
「私の剣道部だって、がんばりますよ」
この二人の教師を含めて、全世界中の人々は、西園寺美仁香を尊敬し、努力出来る源として、西園寺美仁香には負けられないと、日々必死に何かの出来事に向けて努力していったのであったーーーー。




