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第37話 本戦開始!

俺達、世界格闘技大会の選手は控え室にて、主催者が用意してくれた弁当を、口に放り込んでいた。

ゼッケンは本戦の時に邪魔になるという事なので、スタッフにより回収された。


身軽になった俺は爺さんの横に身を寄り添いながら、爺さんに甘えて食事をとるという、微笑ましい光景を選手達に見せびらかす。

こういう甘えた行動は、無意識にやってしまっているので、俺の意志ではどうにも出来ないのだ。


ちなみに、予選を敗退した選手達は、修行をする為に帰宅したり、この大会を最後まで見るのか、その場に待機していたのだ。


「ほっほっほ。美仁香ちゃん、予選突破おめでとう。まさか、合気道を使ってくれるとは、思ってなかったよ」


爺さんは笑顔を浮かべ、俺の頭を撫でながら、俺の努力を称えてくれた。それがとても嬉しくて、俺の顔は無邪気な笑顔を浮かべて

「にひひひっ♪ありがとぉ♪」

爺さんに抱きってしまったのだ。はぁ、やっぱり、爺さんに褒められたら、嬉しいのかな?


「爺ちゃんもスゴかったよ?だって、二十四人も同時に戦って、それに勝ったんだよ?僕よりもスゴいよ!」

俺も爺さんを褒める。だが、口調がやけに子供っぽいのだが、何故だろう?まぁ、別にいいのだがな。


しばらく休憩し、ピンポンパンポ~ン♪という音が鳴り響き、どうやら休憩時間が過ぎた事をアナウンスで俺達に伝えた。そして、爺さんが一番最初に戦うので、爺さんと力士はフィールド場に集まれという報告を耳にした俺達。


「ほっほっほ。ワシは、もうこの控え室には戻らないから、いい子にしててね?寂しくなったら・・・ほれ、そこに日本人がいるでしょ?その人達に何か困った事があったら、遠慮無く言いなさい。いいでしょ?本村君に柏木君」


爺さんは近くにいたプロレスラーの人と空手の胴着を着た人に頼み、その人達はイヤな顔をせず、何も文句を言わずに頭を頷けた。本当に爺さんは信頼というか、尊敬される人なんだなぁ~。


「だっしゃっしゃっ。任せてくださいよっ!西園寺さんっ!我々がちゃんとお世話しますから」

「僕もこの子の事を責任持って守ってあげますよ。だって、まだこんなに小さい子供ですから」


プロレスラーと空手家は俺の背中をバシバシ叩きながら、爺さんの頼みを聞いたのだが・・・バシバシ叩くなこの野郎。


「ほっほっほ。では、行くとするか」

爺さんと力士は控え室から姿を消し、フィールド場へと向かっていった。残りの本戦出場者である俺達は控え室にある大型テレビを見て、爺さん達との戦いを見守る事にしたのだ。


「ほら、おいで?一緒にお爺ちゃんの応援しよっか。がんばれってさ」

空手家のオッサンはパイプ椅子を用意してくれて、空手家のオッサンの隣に席に座る。

「だっしゃっしゃ。もう保護者ヅラか?本村」

プロレスラーのオッサンも俺の横にパイプ椅子を持って俺を守るように座っていく。俺の右にはプロレスラー。俺の左には空手家のオッサンという最強の布陣なので、安心してテレビを見れるのだ。


「そういう柏木さんも、この子の事を気にしていますよね?西園寺さんの頼みだからでは無く、一人の大人としてね」

「だっしゃっしゃ。言いやがったな?この野郎。あとで覚えておけよ?」


プロレスラーと空手家は睨み合い、火花を散らす。こいつらの試合は爺さんとの戦いの次なので、今のうちに威嚇しているのだが・・・そんなもんは試合でやってろよ。


「あっ!爺ちゃんが戦うみたいだよ?オジサン達っ!み、見ようよっ!」

俺は威嚇している二人にテレビを見ろと説得し、二人の視線をテレビへと移させたのであったーーー。


ーーーーーーー

これから世界格闘技大会の本戦が始まるようで、爺さんと力士がリング中央に集まる。


「『さぁ!世界格闘技大会の本戦が始まりましたぁ!まずは、一回戦は・・・世界最強の合気道の達人!身長155センチ!体重は45キロの西園寺豪三ぉぉ!』」


司会の選手紹介の後、爺さんは手を振って、観客にアピールして、観客を湧かせる。 

ちなみに、選手のデータは俺達が休憩を取っている間、スタッフが選手達のデータを知る為に、アンケート用紙に俺達の身長や体重を書かなければいけなかったのだ。

本戦に出場する選手は全員名の知れたプロなので、勝利数や何らかの大会の優勝経験等々、書いていった。


俺は、そんな大会の体験や勝利を体験していないので、名前と身長と体重のみを書いて提出した訳だ。


「『その対戦相手は、十五年間無敗を誇る大横綱!貴乃華ぁぁ!身長192センチ!体重154キロ!相撲界最強の力士だぁぁ!』」


爺さんの相手は力士。まわしのみをつけた裸のオッサンが登場。まぁ、力士だからな。


「『両者、中央に立つ!そして、審判による合図を今か今かと待ちわびているぞー!』」


爺さんと力士はある程度離れて、両者睨み合い。そして、世界格闘技大会の本戦が今始まろうとしている。


「始めっ!!」

「『さぁ!今、試合が始まってしまったぞー!早速、貴乃華が西園寺豪三に張り手をくらわせようと、右手で張り手だー!!これをどうする?西園寺豪三ぉぉ!』」


力士は司会の言う通りに、爺さんに力士は張り手。それを爺さんは

「ほいっ!」

「『おぉっと?!貴乃華の張り手を西園寺豪三は、相手が突いて来るのを外側に入り身転換してさばき、手首を取り外側に反して投げぇぇぇ!100キロを超える大きな巨体は横回転してしまうー!』」


爺さんが使った技は突き小手返しというらしい。その技を力士にかけ、力士は横回転。すげぇな・・・やっぱり強いぞ!爺さん!


「ほいほいっと!」

「『おぉっと?!西園寺豪三は両手を用いて貴乃華を更に横回転させるー!一回転、二回転、三回転~!!大きな巨体を小さな身体で回転させる西園寺豪三ぉぉ!さすが合気道の達人だぁ!』」


見た事の無い技だが、さすが世界最強の達人だ!こうして見るとやはり爺さんと戦いたくなる!無謀だとしても、何度でも戦いたい!

俺が無邪気な笑顔でテレビを見つめていると


「だっしゃっしゃっ。楽しそうに見てるな?俺は驚きすぎて全然笑えないぞ。」

プロレスラーが俺をいじる。

「ほ、ホントだよ・・・僕なんか恐怖すら感じて、足が震えちゃってるんだよ」

空手家も俺をいじる。なんだかんだで、二人は俺が気になるご様子だ。


「お?やっと決着がつくみたいだぞ?」

プロレスラーの発言で俺達はテレビを見つめて、爺さんの戦況を見守るのであったーー。


ーーーーーーーーーーーーーー

「『おぉっと?!西園寺豪三!貴乃華を横回転させ、右手を相手の顔面に添えたー!!』」


「そりゃあ!!」


「『そしてそのまま貴乃華の頭部を地面に叩きつけるー!!貴乃華は、コンクリートの地面に自分の体重プラス西園寺豪三の力を加えた衝撃を頭にくらってしまったぁぁ!』」


爺さんの攻撃により、力士は気絶。審判の判断により、この試合の結果は・・・爺さんの勝ちだ。


「『き、決まったぁぁぁ!早くも決着がついたぞぉぉ!勝者!西園寺豪三ぉぉぉ!もはや、敵無しの強さだぁぁ!』」


ワァァァ!と歓声が会場内に響く。

力士は数人のスタッフにより、何とか医務室へと連行。やはり、爺さんは強いようだ。

そんな爺さんの勝利を見た俺はというと

「やったぁぁ♪にひひひっ♪」

立ち上がって無邪気な笑顔を浮かべて万歳してしまう。どうやら、心の底から爺さんの勝利を嬉しく感じているらしい。


「よ、良かったね?お爺ちゃんが勝って」

空手家のオッサンは俺のはしゃぎようを見て、俺との喜びを分かち合おうとしていた。

「うん♪にひひひっ♪」

俺は無邪気な笑顔を二人のオッサンに見せてしまう。そんな笑顔を見たオッサンはというと


「う、うん。よ、良かった良かった」

「だっしゃっしゃっ。良かったなぁ」

俺と同調して笑顔を浮かべていた。


しばらく喜びを分かち合っていると、ピンポンパンポ~ン♪というチャイムが鳴り、どうやら次の試合に出る選手は集まれという事を俺達に知らせる。


「よしっ!そこで大人しくしててね?」


空手家のオッサンは俺に言い伝え、俺はまだ興奮が収まっていないので、無邪気な笑顔を浮かべ


「うん♪」


なかなか落ち着いてくれない俺なのであったーーー。

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