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第23話 夏祭り

時は流れ、まだまだ暑い夏の日の夜。

実は近所の公園にて祭りがあるというイベントがあるというのだが、去年はとある理由で行けなかったと母親が言ってきたのだ。

その母親の理由とは・・・

「美仁香ちゃんの浴衣が無かったのよ。でも、近所の娘さんが大きくなって着られないって言って貰ってきたのよ。ハイ、これ」

浴衣姿の母親の手にはピンク色の浴衣。おまけに花などの柄もちらほらと散りばめていて、やたら可愛らしい浴衣だ。


「麗香にですよね。麗香は友達と一瞬に行くって言ってました。それと透も友達と行くって先に行きましたよ?」

麗香はまだ浴衣姿にはなっていないので、麗香が母親が手にしている浴衣を着るものだろうと決めつけていたのだ。


「え?これは美仁香ちゃんが着る浴衣よ?麗香は別の浴衣よ」

「は?!!」

俺は耳を疑った。何故だ?何故俺が浴衣を着なければならないのだ?男でも浴衣を着る奴も少なくはないが、そのピンク色はキツいだろうが。

「べ、別に私服でもいいでしょ?」

俺は反論。それもそうだろ?こんな可愛らしい浴衣を好んで着る奴の気が知れんのだ。更に浴衣を着なくても祭りには行けるだろうとも思うぞ?

「お母さーん。もう用意したよー」

「はーい。ほら、着替えよ?」

麗香は一人でも浴衣を着れるのか、俺達に報告。そんな麗香の姿を見ていないが、俺もすぐに用意しないといけないらしいので、焦りが生じる。


「おーい、ワシも来たぞー」

爺さんは我が家に遊びに来たようだ。どうやら、爺さんも祭りに行くので我が家が集合場所となったらしい。

「あれ?まだ用意してないの?」

爺さんはリビングに居た俺と母親の姿を発見し、俺の姿を見て爺さんはまだ用意していない事を確認した様子。

「それがね、美仁香ちゃんが浴衣を着たがらないのよ」

「え?それは残念だ・・・楽しみにしてたのになぁ・・・」

爺さんは異様にガッカリし、肩を落とし残念がる・・・俺はそんな爺さんを見たくなかった・・・いつも優しくて強くてカッコいい爺さんが見たいんだ!

俺はそう思うと必死の思いで

「それ着る!!」

母親に報告。その報告を聞いた母親はサド気味な笑顔を浮かべ

「はーい、うふふふ♪うふふふ♪」

俺をピンク色の浴衣姿の可愛らしい女の子に変貌させていくのであったー。


ーーーーーーー

場所は近所の公園。

周りには出店があり、食べ物や射的や金魚救い等々、ありとあらゆる娯楽の店があり、客人達は羽を伸ばし、のびのびと祭りを楽しんでいる。

「ママー、あれ買ってー」

「はいはい」

家族連れやカップルの客が随分と大騒ぎする。年に数回しかない祭りなので、興奮しない訳は無いのだ。

そして、とある家族連れの様子も楽しげにするのだが、ピンク色の可愛らしい浴衣を着た女の子だけは顔を赤らめて他の人物と目線を合わせようともせず、ただただ顔を赤らめていたのだ。その人物とは・・・


「ほっほっほ。美仁香ちゃんや、似合っているよ?」

「そ、そかな・・・は、恥ずかしいけど・・・」

そう、俺である。

爺さんから褒め言葉を受けるのだが、恥ずかしくて顔を赤らめるばかり。それはそうだろう、ピンク色の可愛らしい浴衣なんて着た事ないから、恥ずかしくて恥ずかしくてたまらない。

「あ、歩きにくい・・・足技とか使えないし、突きもままならないよ」

浴衣は俺の歩幅を制御し、半歩程ずつしか進めないのだ。

緩めればいいのでは、という提案をしたら途中で浴衣が着崩れて裸になるという脅迫を母親から受けるのだ。俺は浴衣を着る際に上半身には何も着ずに浴衣を着ていたのだ。母親からは何枚も服を着たら暑苦しくなるし、色々と女の子だから可愛くしないといけないと俺を説得して、今至るのだ。はぁ、何故こんな目に遭うのだろう・・・。

「なにも、パンチとかキックとか出来なくてもいいでしょ?お祭りだし、そんなに怖い人が来る訳でも無いしね」

青い浴衣姿の麗香は俺をジト目で見つめて反論。それはそうだろう、何もここで武術をやりにきた訳でもないし、万が一には爺さんもいるので何とかなるだろう。爺さんは浴衣ではないし、普通の私服なのだからな。


「ほっほっほ。ほれ、ワシが奢ってやるから美仁香ちゃんは好きなの頼みなさい」

爺さんは財布と取り出し、俺に何かを奢るらしいのだが、何だか気を使ってしまう。う、う~ん、この祭りでは色々と物価が高いし、にしては味も普通だし・・・でも、祭りだからこそ美味しさは上がるというものだ。俺は、辺りをキョロキョロと見渡し、何かを選ぶのだが

「うふふっ♪慌てないのっ。お店は逃げないから♪」

母親はサド気味な笑顔を浮かべ、ニヤつく。な、なんだか恥ずかしいっ。俺はいつまで経っても子供のような気がするぞ。

「あ、友達見つけたから私行くね?」

麗香は友達を見つけたらしく、麗香はパタパタと人混みの中を前進し姿を消したのだ。

「うふふっ。ほら、私達も遊びましょう?何がいいのかな?うふふっ♪」

未だにサド気味な笑顔を絶やさない母親は俺をイジメているようだ。何故俺をこんなに子供扱いするのか知らないが、親にとっては子供はいつまでも子供なのだからなのか・・・今はそっとしておく事にした。

俺達は店を巡回していると・・・


「あー!美仁香ちゃん!」

いつもの交番専用の警官の服を身に纏った菜々子さんが登場。俺は、突然の菜々子さんの登場にキョトンとするしかないのだ。

「きゃあ♪かわいー♪」

菜々子さんは俺の頭を優しく撫で、俺はその菜々子さんの突然の行動を受け、恥ずかしくなり顔を赤らめてしまい

「あぅ」

変な声を出してしまった。もうこの変な声は無意識に出てしまうし、これからも付き合う事になるので別に何ら支障も無いと思うのでそっとしておく事にしたのだ。

「え!?警察の人!?な、何か美仁香ちゃんが悪い事でもしましたか?!!」

警官に顔を覚えられている俺に対し、不安が募る母親。それもそうだろう、警官に名前も顔も覚えられているから何らかの事件を起こしたに違いないと思うだろう。だが菜々子さんは

「いえいえ!とぉ~ってもいい子ですよ?あ、申し遅れましたが、私は橘菜々子です。ほら、この公園の前にある交番がありますよね?そこで務めているんですよ~。今はこの辺を見回りに来ましたっ」

「は、はぁ・・・あ、私はこの子の母親です。よろしくお願いします~」

「ワシはこの子の爺さんだよ」

母親と爺さんは菜々子さんにちょっとした挨拶。だが、菜々子さんはとんでもない事を爺さんに言ってきやがったのだ。


「あー!もしかして、美仁香ちゃんが言ってたお爺さんね?!お爺さんの事、少しだけですが耳にしましたよ!」

「おお、そうかいそうかい。で、何を?」

「合気道のスゴい達人って事をですよ!お爺さん!そして、その合気道を教えたんでしょ?美仁香ちゃんに」

そう、前に交番へと行き、俺の不良との事件にて合気道を使ったという誤解を覚えていたので、合気道の達人である爺さんから習ったという事を確認をとる。が、爺さんはキョトンとして

「いいや?一度も教えてないよ?」

「ええ?!!な、何で!!?でも、美仁香ちゃんは・・・」

菜々子さんは驚きを隠せない。それもその筈、誤解とはいえ、爺さんから合気道を習わずにどうやって知らない筈の合気道を習ったものだろうかと。


「コラ!菜々子君!職務中だぞ!」

遠くから大原さんの声がして、菜々子さんを叱る。それもそうだろう、見回りしている筈なのに客と談笑している後輩を発見してしまったのだから。

そんな大原さんは、ズンズンと俺達のもとへ歩きだし、到着。

「え?!!ち、違いますよっ。ほ、ほらっ、美仁香ちゃんですよ~」

菜々子さんは慌てて俺を大原さんの前に出し、俺はおっかなびっくりの表情を浮かべ、大原さんの正面へと立つ。というか、何故俺を前へ出すのだ?菜々子さんよ・・・。

「おおっ、美仁香ちゃん。似合っているね~」

大原さんは俺との目線を合わせる為にしゃがみ込み、頭を撫で回す。そんな大原さんの急な行動に恥ずかしい思いをした俺は

「あぅ」

またも変な声を出して恥ずかしがる。


「また警察の人?!!は、はぁ・・・頭痛くなったわ・・・」

母親は警官と知り合い多い俺に何かを感じてか、頭が混乱してしまうようだ。

「あ!大原さん!ズルいです!私も美仁香ちゃんを撫でます!」

「さっき撫でていただろうが。もう行くぞ?」

「あっ!ひ、ヒドいです!あっ、あ~・・・」

大原さんは菜々子さんの制服の襟もとを掴み、菜々子さんをズルズルと引っ張り出し、人混みの中へと消えていったのであった。


「ほっほっほ。賑やかなお巡りさんだったね。ほれ、そんな事より欲しいモノはないのかい?美仁香ちゃん」

爺さんは財布を再び開け、俺に何かを奢りたがるのだ。

「い、いいの?」

俺は爺さんに気を使う。いくら爺さんが儲かっているとしても、その金を俺が使かう理由がないのだ。

「いいよ。ほれ、この前柔道の人と戦って勝ったでしょ?そのご褒美がまだだったしね」

「ええ?!そ、そうなの?!し、しかも勝ったの?!」

母親は俺と柔道家との戦いを知らないので、驚きの声をあげる。それはそうだろう、まだ幼い女の子が柔道家と戦い、しかも勝利してしまったから驚くしかないのだ。


「え、えと、かき氷がいい。メロン味で」

「ほっほっほ。ワシもそれにするか~。ほれ、手を繋ごう。迷子になるからね」

爺さんは俺に手を伸ばし、俺と手を繋いでこの祭りを楽しむようだ。

恥ずかしい。が、この爺さんとならいい。俺は爺さんの手をしっかりと握りしめる。

「あれれ~?どうしちゃったのかな~?随分、素直じゃな~い。うふふふっ♪」

サド気味な笑顔を浮かべながら、俺の異変を面白がる。この爺さんの前では素直になれるのに、母親の前では素直になれない。いや、素直になったところで、また母親は面白がるだろう。だから母親に甘えられないのだ。甘えたくもないのだ。


ーーーーーーー

かき氷を頼み、かき氷を持ちながらとある場所へと移動。

「よし、この辺なら見えるでしょ」

俺達は花火を見る為に、河原へと向かった。

公園の遠くに海が見える。どうやら海に空の花火を映して空と海の両方に花火を打ち上げる演出するらしい。


「ほっほっほ。あそこに麗香ちゃんや透君がいるね~」

爺さんはとある方向を指差して麗香と透を見つけたと報告。俺もその方向へと視線を移すが、人、人、人である。麗香も透も姿を発見出来なかったのだ。

「うふふふっ。抱っこしてあげよーか?」

「や、いいですよ」

またもサド気味の笑顔を浮かべる母親。俺が麗香や透の姿を目撃出来なくても何の支障も無いので、断った。


「あっ!花火っ」

誰かの方向により、客達は一斉に夜空を見る。

ぴゅ~・・・どん!

夜空に一輪の花が咲いた。夜空の暗い空と星空に美しい一輪の花を客達は目に焼き付ける。

「キレイね~」

「うん」

「ほっほっほ」

ぴゅ~・・・どん!

夜空に咲く花は何時までも咲き続けるのであったーーー。

うーん、なかなか上手く書けないなぁ・・・

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