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第14話 またお前達か

まだ秋の季節のある日の事。

俺は爺さんに負けてからというもの、俺は急激に変わった。

これまで、基礎練習とか突きの練習しか行わなかったのだが、練習メニューを増やした。

とりあえずは体力を増やす為に早朝からマラソンを加えた。

が、母親が心配してくる。それはそうだろう、まだ小さい子供が朝から一人で走るなんて危ないだろうと。そんな母親を説得させる為に必ず自宅周りのみしか走らない事を誓い、母親は渋々承諾してくれた。


そして、柔軟体操も加えた。

筋トレも加えるのだが、女の子だからなのか筋肉がつきにくいのだ。

しかし、筋肉を大きくはしないつもりだし、ある程度するという感じだ。

筋肉を鍛えたら持ち前の柔軟性が下がるのでは?と疑問を浮かべる人達がいると思うのだが、実は違うのだ。


正しい方法での筋力トレーニングは、筋肉 を大きく伸ばしそして縮める作業の繰り返しである為、筋肉の柔軟性をアップさ せる効果がある訳だし、逆にずっと動かさないでいた方が筋肉は柔軟性を失ってしまい、硬くなるのだ。


ガッチリと筋肉の付いた逞しい体は何とな く硬そうに見えるかもしれないが、筋肉が硬くなるのは力を入れている間だけ。筋力トレーニングそのものが柔軟性の低下につながっているわけでは無い。


もしも本当に筋肉を鍛えることで柔軟性が 低下するなら、鍛え抜かれた太い脚の筋肉 を持つ力士が、脚を180度に開く「また割り」を行うのは難しい筈だろ?

ただし、力士達もただ力を鍛えていたら 「また割り」が出来るようになったという訳では無い。 筋力トレーニングは柔軟体操そのものでは無いので、ストレッチなどサボって いると「運動している割に体が硬い」という体になってしまう可能性は大いにある。

だから力強くて柔軟な体を手に入れるためには、 柔軟性を向上させるためのトレーニングも大事だという事を認識する必要があるのだ。


「さてと」

俺は日課となったマラソンを終えて、朝にシャワーをするようにもなった。汗で身体がベタベタになってスゴい気持ち悪いのだ。

「はぁ、まさかこんな女の子みたいな事するなんて・・・」

男だった時はそんなに汗は出なかったし、出てもタオルで拭くだけで済ませたのだが、俺の変わりように自分でさえも驚愕する。

「そんで、妙なピンクの扉が現れてメガネの少年が来ないだろうな?」

俺はこの世界には存在しない扉に不安と焦りを生じるが、いる筈無いだろうと何の根拠も無いのだが、落ち着いてみせる。

「くぁ~っ、眠っ」

俺の口から可愛らしい欠伸を発声させ、その目には少しばかり涙を浮かばせ、小さい手で目をこすりながらもシャワーを済ませていたのであった。

ーーーーーーーーー

小学校へと行き、勉学に励み、給食も食べ、何も面白い出来事が起きず、俺の友達である九重有と一文字ことみとで一緒に帰宅する事にしたのだ。

「美仁香ちゃん、その髪型似合ってるね?私にも教えてっ」

一文字ことみは俺の髪型を見て好奇心いっぱいの無邪気な笑顔で俺に尋ねる。

俺は学校でも三つ編み姿で登校するので、女子生徒からは可愛いだの言われ放題だったのだが、他の髪型でも可愛さが上がるので消去法により三つ編みしか俺的に許さないのだ。


「そかな?」

「そうだよっ。ね?有君」

「う、うん。か、かわいいと思うよ?」

九重よ何故疑問系なのだ?まぁ、いいのだが


俺達は仲良く下校する。すると登下校時によく見る、とあるコンビニに四人組の学ランを着た中学生らしき学生がコンビニ入り口付近にて屯っていたのだが、その学生に見覚えがある人間が三人もいる。

この前、不良に絡まれた話があっただろ?その三人だ。あと一人は見覚えの無い人間だ。


だけど、そんなもん気にしないので俺は知らないフリをして九重有と一文字ことみの視線にやつらを移させないように、視界を防ぐのに徹した。が、しかしそうはいかなかったのだ。

「?あー!あいつっ!髪型変わったから他人だと思ったけど、やっぱあいつだ!」

俺が冲捶ちゅうすいをモロにくらわせた不良が俺を指差し、他の三人も不良が指差している方向を見て俺の姿を目視した。

「あ、ホントだ。顔もソックリだしね」

「・・・ふふっ、かわいいね?あ、さっきコンビニで買ったやつ今確認したけど、カップ焼きそばと焼きそばパンだった・・・」

不良達は俺の正体を確認しあって、どうやら俺を俺だと見抜いてしまった様子。

そして、懐かしの不良三人目よ。お前はどうしてキャラが濃いのだ?意味が分からん。


「あー?前に言ってた小学生にやられたって話のやつか?冗談は程々にしておけ」

新登場の不良らしき人物は俺が不良達を撃退したという話を聞いていたらしいのだが、全く信じていなかったのだ。まぁ、分かるけど

「や、ホントだって!な?」

「うん」

「・・・焼きそばパンの焼きそばを抜いてパンだけを食べよう・・・ならいける」

不良達は必死に説得を試みるが、やはり信じてもらえず、それでも俺に仕返しをする為に今から脅そうと提案しているらしい。

その間、俺達は早歩きでコンビニを過ぎようと試みて足をせっせと運ぶ。


「あ、ほら、帰って行くじゃん!」

不良は俺の帰って行く姿を見て慌てる。すると、新登場の四人目の不良はというと

「はぁ、ガキ相手に何なのさ。ほれ、行くぞ」

不良達の話を聞かずに、帰るご様子だった。

よし、そのまま帰ってくれ。そしてこれからもまとわりつくなよ?不良共。


「・・・ちょっといい?」

不良三人目が俺達の目の前に瞬間移動して、俺達の行く手を阻む。つか、早いぞ!俺達と不良達との距離は軽く十メートルは離れていたぞ?どうやって移動したんだ?このキャラの濃い不良は。


「な、何?」「こ、こわいっ」

二人は怯えた表情で俺にすがりよって、俺を盾にするのだが、俺がどうなってもいいのか?こいつら・・・

「あっ、あいつ!」

不良達は三人目の・・・あー、うっとうしいから不良Cでいいや。その不良Cが俺達の前に立った事を今さっき気づいたのか慌てるばかり。

「・・・俺がやったキーホルダー、まだ持ってる?・・・」

どうやら『へぇ~』と合成音声がなるキーホルダーをまだ所持しているかを聞いているご様子。だが、捨ててしまったので捨てたと答えると

「・・・そ・・・」

不良Cは非常にガッカリしている。ま、まさか大切なモノなのだろうか?ま、別にどうでもいいが。

「・・・なら、お仕置きっ」

不良Cは左拳を高らかに上げ、俺の頭へと攻撃する。言うなれば拳骨だ。

そんな拳骨をわざわざくらう訳もいかないのだが、近くに九重有と一文字ことみが居たので避ける訳にもいかない。


白馬翻(はくばほんてい)!」


白馬翻はくばほんてい。相手の攻撃を受ける時、外に体を逃がしながら腕を掴み、背中合わせになるように背後に回り込むか、横に並びながら腕を引いて崩し、自分の足を相手の股の間に差し入れて、膝の脚を後ろに蹴り上げる。ダメージを与えるよりも、相手を「転倒」させる為の「投げ技」である!


俺は前者の背後に回り込む方を選び、自分の足を不良Cの股の間に差し入れて、膝の脚を後ろに蹴り上げたのだ。

「ぅわっ?!」

不良Cは、うつ伏せ状態で倒れて何が起きたのか全く分からなかったのか、キョトンとするしかないようだ。

「な!見ただろ?あの子すげぇ強いんだ」

不良の・・・AとBでいいや。その二人はまだ俺の強さを知らない不良Dに俺の強さを確認させるばかり。はぁ、またやっちまったか?


「ほぉ~、強いね。でも、いいや。あんなガキに勝っても嬉しくないから」

不良Dの言葉に俺はいいぞ!と心の底から称賛を称えた。よし、そのまま帰っておくれ!

「でも、気になるな」

ギャー!不良Dはズンズンと俺の元へと近寄り、その顔には眉間にしわを寄せ威嚇。何も小学生相手にそんなことしなくても。


他の歩行者達は不良に絡まれている俺達を見て、警官を呼ぶのかパタパタと走り交番らしき方向へと向かっていったのだが、本当に警官を呼ぶのか分からないので俺が対処する事にしたのだ。

「おいガキ」

「ひっ!」「ふぇぇっ」

九重有と一文字ことみは若干涙目になりつつ俺に抱きついてプルプルと身体を震わせるのだが、このままの状態では八極拳を使えないので二人を何とか説得させ、俺の後ろに立つようにと指示し、二人は俺の後ろに並んで涙目になりながらも不良Dを見つめる。

「何か?」

俺はこんなやつには敬語も丁寧な言葉も使いたくないので、素の俺を堂々と見せる。


「お前、ムカつくな。やっぱ、泣いとけ」

不良Dはビンタをするように横方向に掌をぶんと振り、俺に攻撃する様子。

俺は二人を庇いながら後ろへ後退。そして反撃のチャンスを待つ。二人には俺より5メートルは離れてろと伝え、二人は力強く頷く。

「ち、めんどくせぇ!」

不良Dは蹴りを両手をポッケに入れながら、右足で攻撃。俺はその攻撃を八極拳で迎え撃つ。


鳳凰双展翔(ほうおうそうてんしょう)!」

鳳凰双展翔ほうおうそうてんしょう

敵の攻撃を回避した直後、背中合わせになるように 背後に回り込み、両腕を広げながら勁を高めて体当たりを浴びせる反撃技である!

「ぐぁっ?!」

不良Dはずてんと仰向けで地面に倒れる。

俺はすかさず九重有と一文字ことみの腕を掴み、逃亡を図るのだが。

「「待て」」

不良AとBが行く手を阻む。

が、いいタイミングで警官が来てくれて、不良達は『やべ、逃げろ』と捨て台詞を言い逃げていったのだ。はぁ、助かった~。


「はぁ、全く・・・最近のやつは・・・」

警官はこの前応援に駆けつけた警官と同一人物だったのだ。まぁ、その警官は俺達の事は忘れていると思うのだがな。

「大丈夫?君達、ってあれ?どこかであったっけ?割と最近」

ギクリ。しかし、別にバレてもいいだろう。俺は前に不良共に絡まれた事を警官に話してみて、警官は思い出したのか手をポンと叩いた。思い出すリアクション古いな~。

「あ~、あの時の。でさ、話変えるけどね?あ~、キミ。何て名前?」


警官は俺に指差し、俺の名前を聞きたい様子なのだが、校長とかに話すのだろうか?でも、警官だしちゃんと答えないといけないので自己紹介をする事にした。

「西園寺美仁香です」

「そっか、オレは大原おおはら大輔だいすけだ。そこの公園前にある派出所・・・交番と言えばいいかな?そこで働いているお巡りさんだよ」

大原大輔。その人の見た目は四十歳弱のオッサンで腹立つ事に爽やかイケメンなのだ。身長も高くて多分だが170ぐらいはあるだろう。

そこらのオッサンとは比べものにはならないカッコ良さが目に見える。


「暇な時があったら交番においで?休日とかでさ。ちょっと話たい事があるんだよ」

「へ?へ?わ、悪い事したの?」

大原さんに後程交番に来るように言われたが、非常に不安だ。かなり怒られそうな予感がするのだが・・・

「絶対に来るんだよ?今はほら、帰っている途中だしママも心配するでしょ?」

「は、はい」

「うんっ。じゃあ、またね」

警官は俺達に手を振り、自分の仕事場へと姿を消していたのであったーー。


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