所詮子どもですから
また会おう
そう言った男性の言葉が頭のなかで反響し、混乱しすぎた頭は逆に冷静に物事を分析した。
成る程、そう言うことか。
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ルドルフさんのお屋敷に戻り、子供でも動きやすいようにつくられた、しかし可愛らしさや品の良さを感じさせるドレスを着せられた。……着せられたのだ。
すぽーんと脱がされ、呆気にとられて、正気に戻った時にはもうドレスを着ていた。それはそれは凄い早業デシタ…
……別に、今は子供だし?ささやかな胸の膨らみも申し訳程度のくびれも恥じらうような繊細な神経も持ってないから良いけどね!!
あ、ヤバイ、自分で言って悲しくなってきた。
あー、だめだめ、こーゆーこと考えちゃ。
「うん、かわいいよミコト。君の髪にはどんな色でもよく映えるね」
ルドルフさんに促され鏡に写る自分を改めて観察する。
ワインレッドのドレスには肌触りの良い白いレースやフリル、パステルカラーのピンクの生地があしらわれ、強めの赤の印象を見事に緩和していた。
腰回りは大きめのリボンが結ばれ、それが可愛らしさを引き立てる。
可愛い。超可愛いけど……
「膝丈、ですか……?」
「うん。動きやすいよね?」
そう言うルドルフさんは蕩けるような笑顔を浮かべるものだから、うっ…と言葉に詰まる。
確かに動きやすそう……でも!!動くたびにふわふわ揺れるのが落ち着かない!
普通ドレスってもっと丈長いよね?足首まではあるよね?
子供はみんなこれなのか!?
これあれだよね?なんか……ゴス、ロ…リ
「さぁ。座って」
「わっ」
ひょいと体を持ち上げられ、椅子に座らされる。
……うん。気分は『お人形さん』だ。
ルドルフさんは私の髪を櫛で丁寧にすいて、手早く結んだ。
つ、ツインテール…だと?
精神的に色々ダメージを受けまくった私はルドルフさんに抗議しようと勢いよく彼の方に体を反転させたんだけど、その瞬間純度百パーセントの悪意など微塵も感じられないキラキラ笑顔が飛び込んできて、何も言えなくなった。
「じゃあ、お待たせするのも心苦しいし、行こうか?」
白い手袋をはめた手を差し出され、複雑な気持ちになりながらもその手をとった。




