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最初の村Ⅷ

「どちらさまですか…生憎急いでいまして、いらぬ邪魔をするのであれば蹴散らさなければなりません」


 ノアは忠告をしたつもりだった。その返事は、弓矢で返ってきた。弓矢はノアの頬を掠め、地面に突き刺さる。これで、敵だという勘は間違いなく事実なものになった。しかも勇者ノウムを探すこのタイミングで、邪魔が入るとは厄介以外の何物でもない。

 誰の差し金か判断を今すぐ下すことは難しい。重要事項としては村の安全保障が上であるが、優先事項は襲撃者の処分が上だろう。ノアとしてはさっさと姿を現してほしいところだが、襲撃者は距離を取ったままであった。ノアに姿を見られたくない理由でもあるのだろう。


「村民を襲っているのはアナタ方…ですか」


返事はなく、また風を切って弓矢がノアのもとまで届けられた。今度は確実に急所を狙ったものである。ノアは首を傾げ、避けると一歩踏み出した。

 そう簡単に色々教えてもらえるとは、最初から期待していなかった。語りかけても返事をしないのであれば、口を割らせるしかない。神の名のもとに、真実を明らかにする。それは司祭の役割の一部である。

 ノアは地面を蹴って一気に距離を詰めると、祝詞を唱える。省略された本来神の御前では唱えないものであるが、教会では一律覚えさせられる。何故ならば、教会守護の為と答える。

 残念なことに神を信じぬものは多く存在する。そのような魂でも、神は救いの手を差し伸べる。だがそれを拒むものは当然おり、激しい抵抗が見られた場合に行使する。それは神罰として、所謂異端者狩りである。

 神に従わぬものではなくとも、司祭に危害を加える者どもに対して使用するのであれば、ノアが罰されないだろう。

 手を横に凪げば、空間が開きそこから無数の光が放たれる。これは弓矢のお返しである。触れただけでも皮膚が焼け、至近距離で直視でもすれば眩しさのあまり目が溶ける。それほどの殺傷力を秘めている光が炸裂した。

 二人ほど直撃し、木から落ちたようだ。動揺の声が聞こえる。だが、ノアは手を緩めない。忠告をしたのだから、確実な処分までがノアの使()()である。


「祝福の鐘よ」


そう唱えると、辺りの地面に月明かりが注がれる。照らし出されたステージの半径は一キロほどで、そう逃げられる距離ではない。そして神の祝福の鐘が響くと、辺りは薄いドーム型の膜に包まれる。


「今、裁きの言葉を囁き給え」


ノアは口に人指し手を当て、息を吐く。まるで眠る赤子を起こさぬように。優し気な笑みを浮かべて、ノアは最後の一撃を下す。

 ドームの天井から地中まで全てを照らし出すように、目も開けられない眩い光に包まれた。

 


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