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サンライズ・シティ

『ハルカ、どうか幸せに・・・』



「おじさん!」

 目覚めるとそこは温かい光が差し込む、真っ白な部屋だった。


 ここは? おじさんは? ・・・っ!?


 左の脇腹がひどく痛む。頭にも何か巻かれている。

 状況が全く呑み込めない。

 たしかみんなと別れた後、番犬を倒す方法を話してて、それで・・・あれ?


 なぜこうなったが思い出せない。


 どうして私は見たこともない景色の場所で、白い服をきて、こんなにもきれいなベッドで寝ていて、それから――


「あら? 目が覚めたの?」


 ?!

 部屋の入り口に知らない女性が立っていた。

 金色の長い髪が光を反射して眩しい。

 首筋には皮膚とそれ以外の金属のようなものが貼り付いており、一目でただの人間でないことが分かった。


「あ、あの・・・」


「あなた、外から来た人でしょう? 災難だったわね~番犬に襲われるだなんて。みんな早くあれを退かそうって言ってるのに、警備隊の方は口先ばっかりでなんにもしやしないんだから。でも今回あなたたちがあれを壊してくれて、ほんとに感謝してるわ。これから来訪してくる人たちを安全にお出迎えできるんだから。あとそれか」


「あ、あの!」


 女性は私の傍に座るや否や急に話し始めた。

 このまま流されると聞きたいことも聞けなくなる。無理にでも割って入ることにした。


「あらごめんなさい。私ったら、テンション上がっちゃって、つい・・・。それで、どうしたの?」


「あの、ここって・・・?」


「ここ? 病室よ。あなた、大怪我してこの街に入ってきたのよ? 助かってよかったわね」


「ええーと、そうじゃなくて、え、街?」


「え? ああ、ごめんなさい。そうよね、見るのも来るのも初めてよね」


 女性は腰を上げると、ベットの向かい側に歩いてきた。

 そして光が差し込むカーテンを一気に広げる。


「ようこそ、サンライズ・シティへ」




 どうやらここは私が夢にまで見た太陽の街らしい。

 こうなった状況をもっと詳しく聞きたかったが、レナ・ニールソンと名乗った女性は「今はまだ安静にしてなさい。明日には退院できるそうだから、そのときいっぱいお話ししましょう。あ、そうそう。眠たくなったら、横についてるボタンを押せば遮光カーテンが下りてくるから。それじゃあね、ハルカちゃん♪」と言い残し、そそくさと部屋から出ていってしまった。



 念願の街に来た。

 温かい光を浴びて、きれいなベッドで寝ている。


 私はベッド横のボタンを押す。

 真っ黒なカーテンが下り、部屋を暗闇が包み込む。


 何も考えられない。

 願いは叶ったはずなのに。


 なのに


 どうして




 おじさん


 どこ?







 目が覚めてすぐ、レナさんが部屋を訪ねてきた。

 もう退院の手続きは済んでいるらしく、レナさんから外に出るための服を貰う。

 足元がヒラヒラしている真っ白な服を身にまとい、レナさんと共に病院を後にした。



 レナさんは上機嫌で鼻歌を歌っている。

 自宅でいろいろ話をしたいそうだが、私はそれまで待てなかった。

 私のことよりも、何よりも先に聞きたかったことがあった。


「ねえ、レナさん」


「ふ~ふふっ、あら、どうしたの?」


「えっと、おじさんは・・・」


「え? なに?」


「おじさんは! 今どこにいるんですか?! 無事なんですか?!」


「ええ? ハ、ハルカちゃん、落ち着いて・・・」


 つい声を荒げてしまった。

 近くの人たちの驚きの視線が集中する。レナさんも私の急変に取り乱している。



 そうだ。

 どうして私1人なの?

 戦いの後、おじさんは?

 知らないうちに街に入ってるってことは、おじさんが連れてきてくれたの?

 おじさんはどこ?

 さみしいよ・・・。

 独りにしないでよ・・・・・・。



「ハルカちゃん、お願いだから落ち着いて・・・」


「・・・・・・。ご、ごめんなさい・・・」


「そこの公園で、ひと休みしましょうか・・・」




「ハルカちゃん、あなたがここに来た時のことを話すわね」


「・・・はい」


「落ち着いて聞いてね。まず、あなたは1人でこの街まで来たのよ? 大怪我をして、意識を失った状態で、防衛軍の強化外装《オーバーフレーム》を乗ってね」


「・・・え?」


「お医者様も警備隊の人も驚いていたわ。まだ幼い女の子が、番犬を相手に1人で立ち向かい、勝利してこの街に入ってきたって」


「・・・いや・・・え・・・?」


「機体は防衛軍のものだったけれど、1人で番犬と落としたのなら、これは勲章ものだぞって、隊長の人は言ってたかしら」


「・・・いや・・・ちが・・・」


「あーでも、操縦席なのに操縦桿もモニターも何も無いのは変だなってことも言ってたわね。ハルカちゃん、サイボーグでもないのにどうやって」


「違うんです・・・!」


「ㇵ、ハルカちゃん・・・?」



 やっぱりおじさんだ。

 おじさんが連れてきてくれたんだ。

 でもなんでいないの?

 どうして?

 私、元気になったよ?

 あ、でもおじさんも怪我してるのかな。

 今は機体の修理をしてるだけに違いない。

 きっとそうだよ。



「レナさん」


「な、なあに? ハルカちゃん」


「その機体、どこに行ったか知りませんか?」

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