ログ:冒険の始まり
これから研究の間にログを残していこうと思う
毎日は無理だが、後世のために残すことにする
しかしもう120光年か
地球を旅立ったのがつい昨日のように思えてくる
外宇宙探索計画は太陽の縮小と共に始まったが、この無謀ともいえる冒険の始まりは偶然の産物だった
条約違反の宇宙空間での超大型融合炉建造
メルトダウンからのワームホールの発見
人為的なワームホールの発生方法の確立
そして今、自由に何百光年の距離を移動できる技術となった
まさか大華王国の大事故からこんな技術につながるなんて、当時の科学者からすれば想像もつかないだろう
ジェネレーターも小型化できて本当に良かった
太陽石がなかったら、いつ爆発するか分からない大型融合炉か、設備の積載量がかなり削られる中型融合炉の並列搭載しかなかった
太陽石様様だ
あの2人、いや3人には本当に感謝しなくちゃな
あいつには、結局伝え損なってしまった
それだけが心残りだ
さあ湿気た文はここまでだ
頼れる仲間を紹介する
マリス艦長、クラウス長官、同期のラスカーと後輩のデーラ
方舟の搭乗員はこれで全部だ
あとは舟の整備や実験のサポートをしてくれるアンドロイドが1000台ぐらいだな
方舟の乗組員候補は他にもたくさんいたんだが、俺を含めた5人以外は第三世代フルサイボーグの手術に適合できず、体だけが死んでしまった
だが死してなお、脳組織を生体コンピューターに収めているやつも多い
第三世代フルサイボーグは成功率が高く、その後も安定しているとされていたが、実際は60%程度に留まったそうだ
太陽の街の居住者に手術を強要して、俺たちの手術の成功率を上げたという噂があるが、上の連中がやりそうなことだ
そうは言うが、携帯融合炉を生命維持装置に使った第二世代よりは遥かにマシだと思う
街の金持ちどもを気の毒と思うか、ざまあみろと思うかはこれを読んでいる君次第だ
最近の仕事、というにはもう5年は経っているか?
この体だと休まなくていいから、時間感覚がおかしくてな
まあそれくらい前の仕事なんだが、人類が移住可能な惑星の実地調査があった
旧時代の核戦争が無ければ、全コロニーにいる全員を乗せることができるぐらいの数の宇宙船があったそうで、その時の移住計画で候補に挙がった惑星の1つだ
もう遠い過去の過ちだが、こればかりは先人に文句を言いたい
「あんたたちが変なことで争ってばかりいるから、地球脱出の術が無くなってしまったじゃないか」ってな
愚痴はさておき実地調査の結果だ
これまで18の移住候補惑星を調査したが、結果は散々だった
水がない星、海かと思ったらただの青い結晶に覆われた星、草木が生い茂る緑ではなく一面カビだらけの星、溶岩が滾り続けている星、そもそも跡形もなく消えてしまった星
旧時代の観測結果は使い物にならないらしい
7度の戦火は、学問の分野にも大きな爪痕を残したと実感したよ
今回の惑星はというと、大気も水もあるし、植物と思われる有機体も確認された
気温は惑星全体で25℃ぐらいだし、エイリアンのような脅威となる生命体はいない
今までで一番完璧だった
だが先行した無人機が大気の成分を分析をすると、そこは死の星だった
酸素濃度85%
探査機自体は永久鋼で作られているため回収できたが、中の制御装置が激しく腐食していた
今回もダメだった
この星も、あと数億年すれば人間の落ち着ける星になるんじゃないだろうか
しかしながら地球人類はそんな長い間を待ってはくれない
いつものことだが、こうも連続で外すと、くるものがあるな
まあそんなところだ
また何かあれば書いていく
あいつの分まできっちり働くさ




