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第109話 2年生のスタートはいい感じ

澪と関係を復活させてから数週間が経った。


春休みの部活はメニューのサポートかマネージャーとしての仕事をしていて全然楽しくなかったが監督や先輩方と久々に喋れたのは嬉しかった。


俺も早く復帰したいのでリハビリは勿論行っている。

そのついでに澪からのお遣いも頼まれているが、それもリハビリの一種と考えれば面倒くさいとも思わなかった。


「明日からまた学校だな」


「そうですね……」


俺はテレビを見ながら澪に話しかけた。

澪はどこか不安げな声色で返してきたので俺はどうしたんだろうかと思い焦点をテレビから隣で一緒に見ていた澪に向けようとした。


その瞬間、俺の右腕に何か温かいものが抱きついた。


「どうした?急に抱きついて」


何か俺澪を不安にさせる事言ったけ?


「だって、同じクラスじゃないと他の女の子に蒼君が取られるかもしれませんから……私不安で…」


なるほど、これは乙女ならではの悩みなのか、ふむふむ。


俺はそんな事無いだろうと思っていると、澪が上目遣いで言ってきた。


「蒼君は私以外の女の子を好きになりませんよね……」


絶対にそれは無い。

第一、澪より美しくて可愛らしい女性は存在しないだろ


俺は澪を安心させる為に、澪の頭を撫でながら言った。


「俺は澪しか眼中に無いから大丈夫だよ」


「絶対に?」


「絶対に」


澪は俺の言葉を聞いて安心したのか、俺の腕に縋るように抱きついてきた。


「じゃあ、もう寝よっか」


「そうですね」


澪は『そうですね』と言った直後、両腕を広げて伸ばした。


待ってくれ澪さん、貴方は高校生ですよ。

……だけど


俺が抱っこするかしないかで葛藤していると。


「蒼君?」


小首を傾げどうしたのとでも言いたげな顔をして俺の事を見上げた。


「……はいはい」


俺はネグリジェ姿の澪に近づき、赤ちゃんを抱っこするように優しく持ち上げた。


澪は俺の肩に頬を擦り付けている。


そんな行動を可愛らしい水色のフリルを使われているネグリジェ姿でされると俺はもちろん理性が死んでよく無い事をしでかすかもしれなかったのでできる限り視界に入らないように努めた。


髪は少しだけ乾いていなかったので風呂から上がった直後の謎の色気が風呂上がりから20分そこら経っているのに消えていなかった。


正直俺の男についている棒は大きくなっていたが澪の足がそこに当たらないよう願いながらなんとか2階の部屋に向かった。


俺は優しく澪の背中から布団に降ろすと澪は『ありがとうございます』と言い残し俺の枕にマーキングを施す勢いで匂いを嗅いで自分の顔を擦り付けていた。


「お前さ、顔擦り付けててばっかりだな」


こいつ、前世は動物か何かかよ……もしかして俺の練習着とかも毎回洗濯する前に匂い嗅いでるのかな?流石に汗臭いだろうからしないか。


俺は疑問に思ったので聞いてみた。


「だって……」


澪は今から理由言います感を出しながら俺の首に腕を巻きつけ、耳元で囁いた。


「蒼君を私色に染めたいからですよ」


◆◆◆


「そんなに緊張しなくてもよくね?」


「無理です!」


寝る直前に悪寒を覚えた翌日の4月8日。


学校に行っている最中は澪の配信活動についての雑談に花を咲かせていたのだが校門前に来た途端、急に澪の雰囲気が変わったので聞いてみると、澪は俺と同じクラスになれているかなれてないか願っているらしい。


「もしクラスが離れても大丈夫だって、現に1年がそうだったじゃん」


「去年と今では蒼君に対しての熱意が全然違います!」


「そ、そうなんだ」


「私はずっと蒼君の隣に居たいんです!」


「わ、わかったから早くクラス表見に行こう?」


澪は大きく頷いた。


校門を抜け、クラス表を見てみた。


澪は身長が足りず、ぴょんぴょんと跳ねていたが最終的に見れなかったのか、ほっぺたを大きく膨れさせていた。


え、この小動物可愛すぎんか?


俺は澪を眺めていると、後ろから聞き馴染んだ声が聞こえてきた。


「お、蒼と柳田さんじゃん」


「蒼君と澪ちゃーん」


桜が咲き乱れ、少し風が吹けば鮮やかな桃色の花びらが舞い落ちる校門と校舎を繋ぐ道、大人数がいる中にとある二人組はお互いの指を絡めて手を繋ぐ所謂恋人繋ぎをしてこちらに向かってきていた。


義隆と咲茉がそこに居た。


おいおい、待て待て……発展しすぎじゃね?

俺が知っている限りでは義隆は肝付さん呼びだったけど、あの感じじゃ絶対に名前呼びにお互いなってるよね、てか、ダブルデートも結局俺のせいで出来てないし何かお菓子かジュースでも奢らないとな。


「っあ、咲茉ちゃん!」


澪も後ろから来ている二人に気付き、澪は咲茉に抱きつきに行った。


その時に見せた『してやったり』みたいなゲスの笑顔を見せやがった咲茉を殴りたくなったが義隆がいるので何とか抑えることが出来た。


「で、クラスはどんな感じ?早くネタバレしろ」


「いや、俺も早く知りたい」


「じゃあ、フィジカルの出番だな」


「あー……まぁありだな」


実際、桜島高校は8クラスあるがその中でもまともに会話できるのはバスケ部か4組だけ、殆どの人は名前も知らんから別に悪く思われてもいっか


俺は知らん人たちの間に出来たスペースに脚を肩を入れ無理矢理空間をこじ開けるのを繰り返して何とかクラス表の前にたどり着いた。

……もちろんごめんっていいながらフィジったよ。


とりあえず4人だけの名前を探そうか


えっと1組には……義隆と……って


「4人同じやんけ」


俺はとりあえず4人のクラスを知れたので直ぐ様クラス表から離れた。


「でさ、こいつがね――」


「っあ、蒼君!」


澪が真っ先に俺に気付き、手を振ってくれたので俺も振り返した。


「でクラスはどうだった?」


「見事に4人全員一緒」


「やったー」


澪と咲茉はハイタッチをしていた。

そんな咲茉に殴りそうになったが流石に彼氏の前ではやめておこう


俺等は4人並んで1組に向かった。

久々の長い階段上りは脚にきたが、これも澪と今後はずっといれるって考えると全然痛くなかった。



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