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~81話~特訓の成果と叡斗達の怒り

「おはよう、めいさ。」

「御食事の準備が出来てますわよ?」

「わかった!」

叡斗が着替えてテントから出ると奴隷達が机まで列を作って最奥の机の手前でオリーブが立って出迎えてくれる。

「オリーブ?こんな仰々しいのはいらないよ!」

「そうですか・・・では明日からは無しで行きましょう。」

「みんなも各々朝御飯を食べてくれ!」

叡斗が言うと、奴隷達が一斉に返事をして席に座って朝御飯を食べ始める。


「お!うどんか!」

「あっさりと仕上げましたわ?」

「てんぷらもあるんだな!」

「ダーリンを参考に挑戦してみましたわ。」

「掻き揚げにサーペント肉か?」

「お試しに・・・」

「美味いがうどんには合わないな・・・」

「そうですのよね・・・」

「まぁみんなは喜んで食べてるからいいんじゃない?」

「ダーリンが喜ばないと・・・」

「俺?喜んでるに決まってるじゃん?」

「それならよろしいのです!」

昼食を食べ終わり、メイサの号令で各々が片づけを済ませてラプター車を先頭に6台の馬車隊が街道を進んで行く。



「で?村長どの土地に別荘を建ててもいいんですか?」

「村の外でいいという事でしたので畑が無ければどこでもよろしいですよ?」

「じゃあクイーンの小屋横に建てても?」

「どうぞ!お好きな様にしてくだされ!」

「ありがとうございます!」

夕方にウンテントラムに着き、メイサとオリーブはみんなを連れて特訓用の武具を買いに行き、叡斗がその間に別荘を建てる事になったので村長宅に赴き、改めて許可をもらっていた。


「よし!」

叡斗が気合を入れて『土魔法』で地面を掘り下げ別荘をシャドーゲートから出して、しっかりと埋めなおす。

「地面もしっかりと固めたから大丈夫だろ!」

叡斗が1人ごちて、馬車を家に備え付けてあった(うまや)に片付けているとみんなが帰ってくる。

「無事に移動出来たのですね?」

「問題無くできたぞ!」

「では貴方達?2階の好きな部屋を自分の部屋としてお使いなさい?」

「早く荷物を置いてきなさい。」

メイサとオリーブに言われみんなが大人しく家の中に入って行く。


「じゃあこれからは俺は部屋に篭って道具作りと特訓に励んでいいんだな?」

「彼らはお任せになって?」

「私がびしばしと鍛えます!」

「了解だ!」

「では晩御飯に致しましょう?」

「とりあえず明日はキッチンやトイレを使えるように整備するか・・・」

「お願い致します!」

みんなで、新しい家のリビングで晩御飯を食べて、叡斗はこの世界に来て初めてシングルベッドではなくダブルベッドでメイサと眠りに着く。


「おはよう!メイサ!」

「ダーリン今日は忙しいから魔素は取らなかったのですから頑張って下さいね?」

口惜しそうなメイサが釘を刺してくる。

「あぁ!キッチンも作らないとだけどまずは配管だから、魔素をかなり使いそうだからな。」

「あぁそれで、あんなに管を買っていたのですね?」

「すぐそこの小川まで伸ばそうと思ってるから。」

「ふむ・・・では今日の晩は家で調理できると思ってよろしいのかしら?」

「一応その予定だよ!」

「では朝食を食べて、各々頑張りましょうか?」

「そうだね!」

叡斗とメイサが2階の一番奥にある、主寝室から出て1階へ下りるとオリーブの指示によって、朝食が出来上がっていたので朝食を済ませ。

メイサとオリーブはみんなを連れて戦闘特訓へ行き、叡斗はくみ取り式だったトイレを改造して、『竜魔法』を使って土に潜って配管を組む。


昼前に配管が終わり昼食になるが、みんな服はボロボロになり、一様に疲れきった顔をしている。

「メイサ特訓って何してるの?」

「時間がありませんので、荒療治を。」

「そっか・・・」

「昼食が終わったら、数分で終わるから配管が通ってるか確認手伝ってもらっていい?」

「よろしくてよ?」

「じゃあキッチンとトイレから順番に水を流して見て欲しい。」

「それだけですの?」

「俺が地中から大本の配管に流れてるか確認するだけだよ。」

「全く問題ないですわ!」

「じゃあ後で宜しくね?」

昼食後、メイサの協力で確認をしたが問題無く水は通り、川まで流れていたので、キッチンを作る。



「ダーリン?もう使えますの?」

「あぁ使えるぞ?」

「これは・・・何ですの?」

「上が魔導コンロで下はオーブン、窯みたいなもんだね!」

「蛇口も設置されていて、便利ですわね。」

「あとトイレの使い方はみんなに教えてくれたか?」

「えぇ・・・トイレで潤沢に水を使う事に驚いてましたわ。」

「ただ俺達がいなくなって魔石がなくなったら手動でタンクに水を入れないと駄目だけどね・・・」

「ダーリン?これは何ですの?」

「よくぞ聞いてくれた!備え付けの冷蔵庫だよ!」

「ほほぅ!便利ですわね!」

メイサとオリーブが喜びながら料理をしているのを見て、満足そうに頷く叡斗。


「そういえばダーリン?お風呂はどうなってますの?」

「魔石でお湯が出るようにしたぞ?」

「魔石が切れたら使えませんのね・・・」

「魔石が切れたら改造して、外から火を焚いて温めれるようにしたぞ?」

「不便ですがしょうがないですわね・・・」

「魔玉でも使えるままにしてるからどうにかなるだろ!」

「よく考えてらっしゃいますわね。」

「俺達が使うんならここまで考えなくてもいいんだけどな・・・」

「ではご飯が出来ましたので席に着いてくださる?」

「ソフィアさん、カイルさん、配膳をお願いします。」

オリーブが2人に言うと、2人が元奴隷達に指示を出してみんながテキパキと配膳を始める。

「2人をリーダーにしたんだな?」

「暫定的にですがそうしましたわ。」

「ふむふむ、これなら安心して任せられるな!」

「明日からはお部屋に篭りますの?」

「色々作らないと駄目だしねぇ・・・」

「魔素切れには注意してくださいね?」

「わかってる!俺用の呼び鈴も付けたから使ってね?」

「用意周到ですわね・・・」

「わざわざ呼びに来るのは面倒臭いだろ?」

「そんな事は・・・ですが楽になるのなら言う事はございませんわね。」

「じゃあご飯を食べようか!」

「そうですわね!」

特訓でくたくたになっていたみんなもご飯を食べると元気になり、賑やかな晩餐を終え、風呂に入ると各々すぐに部屋に戻り死んだように眠りにつく。


「初日だったけどみんなはどうだったの?」

ダブルベッドの上で叡斗とメイサが寝転がっている

「時間が無いので午前中は魔素付きの棒で叩いて、午後から瞑想してほぼ全員が『魔力操作』を会得しましたわよ?」

「何人も教えてるから上手くなってるんだね?」

「明日からは午前中は瞑想して、午後からは武具の練習ですわね。」

「そうだ!みんなを見て武器と属性の指定を決めてもらってもいい?」

「かしこまりました!」

「1週間は武器以外で潰れるだろうからゆっくりでいいからね?」

「分かりましたわ!では・・・」

メイサがズズイと近づいて来て魔素を吸いとって行く。



「では行って参ります。」

「頑張ってね!」

叡斗がみんなを見送ってご飯の時以外は部屋に篭り、アイテム作りをする生活が2週間続き、今日は珍しくメイサとオリーブがアイテム作りを手伝ってくれている。

「ねぇ?2人共ここにいて大丈夫なの?」

「ちょっと思う所がありましてねぇ?」

「そうなのです。」

「思う所?」

「2日前から周辺の魔物を倒して回っているのですが、ファットバイソンも倒せて増長してまして・・・」

「引きこもりの御主人様よりも強くなったかも?っと言い出す始末です。」

「強くなって気が大きくなってるだけだろ?いいんじゃないの?」

「いえ!ここでダーリンの強さを認識させておかねば計画が瓦解しかねませんわ。」

「反乱とまではならないでしょうが、御主人様への忠誠は無くなってしまいます。」

「それと2人がここにいるのと何の関係が?」

「おそらく今日はソードグリズリーに遭遇すると思いますの。」

「ダンジョンでAランクの魔物で御座います。」

「それやばくね?」

「簡易通信機を持たせてますので、ピンチになったら押すように言ってますわ?」

「そこで御主人様が颯爽と登場してソードグリズリーを簡単に打ち倒すのです。」

「まぁ2人がそう思うのなら、そうするだけだ!」

3人で話していると通信機が鳴り響く。


「なんていいタイミングなんだ!」

「私はそろそろと思ってましたわよ?」

「御主人様、倒したら今日は昼までに屋敷に戻るようにとお伝えください。」

「分かった行って来る!」

「頑張って下さい!」

「いってらっしゃいませ。」

叡斗が簡易通信機に表示される座標へと転移する


「おい!本当に助けが来るのか!?」

「メイサ様はエイト様がすぐに駆けつけると仰ってたぞ?」

「引きこもりが来てどうすんだよ!?」

「いや!メイサ様とオリーブ様を連れて来るのかも知れないぞ!?」

「なんでもいいわ!生きて帰れるならね!?」

「引きこもりのサポート役のエイト様じゃ生きて帰れるかもわかんないじゃない!」

「お前ら!エイト様の悪口を言う暇があったら攻撃しろ!」

「あんた達も口を動かさないで、手を動かしなさい!」

叡斗が転移すると、前方には2m以上の巨大な熊が剣のようにするどい全身の毛が逆立てて盾を構えるカイル達に殴りかかっている、後衛組が俺の悪口を言いながら魔法や弓を撃っているが、ソードグリズリーは全く意に介した様子は見られない。


「メイサ達に言われたが、直接聞くと心にくるものがあるな・・・」

「あ!エイト様!」

「すみません!我々の力不足で・・・」

「ソフィア!カイル!頑張ったな?だがお前ら後でお仕置きだ!」

「望む所ですので!お助け下さい!」

「じゃあみんなそこから動くな!」

叡斗がソードグリズリーの首に向けて一文字を抜刀してスラッシュを放ち、一文字を鞘に収める。


「じゃあ俺は行くから!」

「え?」

「エイト様助けてくれないんですか!?」

「あ!あとオリーブが昼までに屋敷に戻れと言っていたぞ!」

「あれ?ソードグリズリーが動かない?」

「本当だな・・・」

ソフィアとカイルが異変に気付くと、ソードグリズリーの首がズレて地面に落ち、続いて後ろに続く森の木々も横にズレて倒れて行く。

「これからは俺も特訓に参加するから覚悟しとけよ?」

叡斗が言うだけ言って転移して屋敷へと戻る。


「お帰りなさい!どうでしたか?」

「お帰りなさいませ。」

「一瞬で倒して来たぞ!あとこれから俺も特訓に参加するから!」

「ダーリン怒ってます?」

「久々に見ますね。」

「さすがに目の前で悪口を言われるとカチンと来た!」

「ではダーリンの特訓も兼ねたものを昼から早速致しましょう!」

「御主人様の戦闘をあいつらに見せ付けてやりましょう。」

3人が悪い顔で相談をして、屋敷の前でみんなの帰りを待つ。



「やっと帰ってきましたか・・・」

「申し訳ありませんでした!」

「ソフィア?何に対しての謝罪でしょうか?」

「我々は増長しておりました!」

「ソフィアも悪口を言っていたのですか?」

「我々はチームなので連帯責任です!」

「いい心がけです!ではこれから少し特訓を致しましょう。」

「特訓ですか?」

「ダーリンに攻撃を当てられた者は今回の事は不問と致します。」

「目隠しをされてますがそのままで20人と?」

少し離れた所で目隠しをした叡斗が木刀で素振りをしている。

「それが何か?あと20mの円を書いてますのでそこからダーリンを出せば、全員を不問とします。」

「出来なかったら、罰は何でしょうか?」

「サーペントのステーキを用意してますが無し、そしてこれから1週間昼食は各自で用意ですわ。」

「制限時間は如何ほど頂けるのでしょうか?」

「全員がダーリンに勝つか、全員が戦闘不能になるまでですわ。」

「では失礼します!」

ソフィアが振り向きざまに目隠しをして木刀を構えるエイトにファイアーボールを放つ。



「それが当たると?」

当たる直前で『魔力吸収』を発動してファイアーボールを消して叡斗が不敵な笑みを浮かべる。

「のりゃあ!」

「せあっ!」

「せい!」

「いいコンビネーションだな?だが引きこもりには当たらんよ!」

カイルがコンビネーション攻撃を仕掛けてくるが叡斗がひょいひょいと避けて3人を順番に襟首を掴んで投げる。


「あれ?次は?みんな円の中に入ってこないと特訓にならないよ?」

「我々は魔法使いですので!行くよ!?」

「「「「はい!」」」」

「一斉攻撃か!しかも魔法は目晦ましで矢を混ぜるとはよく一瞬で連携をとったな!」

叡斗が魔法を同時発動させて、それぞれの魔法へと飛ばす。

「なんだって!?同時に発動・・・しかも無詠唱!?」

「副リーダー!魔法が相殺どころか飲み込まれてこっちにきますよ!」

「退避だ!」

後衛組の人間が右往左往して魔法の余波に巻き込まれている。


「次はどいつだ?引きこもってたから準備運動くらいには動きたいんだが?」

「誰だよ!?こんな人よりも強くなったとか言ったやつは!?」

「なんで誰も攻撃あたんねんだよ!?」

「だからエイト様の悪口はよせと言っただろう!」

「ハッハッハッハッ!目隠しをした引きこもりに負けるのか君達は?」

叡斗が前衛組を木刀で軽くいなしながら、平行して後衛組に魔法を打ち込み続ける。



「ダーリンよほどカチンと来たのですわね。」

「そのようですね、ですがなぜ目隠しをして戦われているのですか?」

「『魔力操作』で見えるようになったので、視力に頼らない特訓ですわ。」

「さすがは御主人様ですね。」

メイサとオリーブがステーキを優雅に食べながら話している。


「お!?お前は確かルークだっけか?力なら俺に負けないんだってな?」

「エ、エイト様御戯れを!」

「さぁこい!」

叡斗がルークと手四つになり力比べを始める。

「おい!魔法を撃ち続けながらの状態でルークが圧倒されてるぞ!」

「今なら俺の攻撃が!」

「お前はエッカルトだったな?スピードなら俺に負けないんだな?」

「カートとお呼びびください!」

カートが手四つの状態の叡斗へと飛び込み斬りかかって来るので、ルークの腹を押すように蹴って吹き飛ばし、一瞬で斬りかかって来るカートの背後に回り込み円の外へと襟首を掴んで投げ飛ばす。



「さすがはエイト様だ・・・力もスピードも計り知れない・・・」

「カイルどうする?」

「あんなのどうしようもないだろ・・・」

カイルとソフィアが話していると

「近接組は近づいてこないと特訓にならないよな?」

叡斗がそう言って魔法を発動させると、みんなが叡斗に引き寄せられていく。


「奥様?みんなが御主人様に向かって引き込まれていますが魔法でしょうか?」

「見たことも聞いた事もない魔法ですわね。」

「引き寄せては殴る・・・あれは心が折れそうですね。」

「いい薬になったでしょうから、ここらへんにしましょうか。」

「それがよろしいかと。」

メイサとオリーブが叡斗に近づいていき

「ダーリン?それくらいでよろしいのではなくって?」

「こいつら鍛え方がいいから戦闘不能にならないんだよ・・・」

「まだ挑戦したい人はいますか?」

メイサが質問するが、答える人間はいない。

「しっかりと反省したようですわね。」

「みたいだな?」

「では今回の一件はこれをケジメとして不問とします!」

「よし!みんな飯にしよう!」

叡斗がみんなを治癒して、屋敷の中へと入って行く。



「あなた達?今回の特訓はダーリンの優しさですわよ?」

「え?」

「あのまま増長して私と奥様が怒ったら何人かは死ぬでしょうね。」

「あら?何人かで済みましたの?」

「私は何人かで済むかと。」

「私は何人かでは気が治まらないでしょうね?」

「ではそうならないために今回のような特訓を?」

「ソフィアは勘がよくて素晴らしいですわね?」

「御主人様は恐ろしく強いので、我々に勝てないなら触れる事すら叶わないと心に刻んでおく事です。」

メイサとオリーブの言葉に顔を青くした19人の元奴隷達が屋敷へと入って行く。

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