~62話~日記とこれからの計画
「では行ってきます。」
「何をするかは知りませんが浮気はダメですわよ?」
「そんな事しないよ!気をつけてね?」
「問題があれば御主人様お願い致します。」
「そうね、ダーリン頼りにしてますわよ?」
「ハハハ!Cランクダンジョンを軽くクリアしてくると信じてるよ?」
「お任せください!」
「行って参ります!」
オリーブとメイサが出発して行く。
「さて!」
叡斗は部屋に戻り昨日雑貨商から買った物を調べる。
「このバッジと本か・・・」
女神の柄のレリーフが刻まれたバッジを『鑑定』すると
<免罪符>
免罪符
「意味がわからん・・・本見よ!」
読んでみると日記のようだ。
ヨハン暦1年1月1日
ヨハンに召喚されて5年であらかたの魔物を管理させ終え大陸は人間だけでもどうにかなるレベルにまで落ち着いた。
これでやっと自由に遊べる!
中央から東は風王龍に任せとけばいいみたいだし、100年ごとに一番栄えた国を作った人が中央に作る予定の城に住めるというルールにして、4人で召喚された場所から東西南北に散らばって国を作る事にした。
あと日付がこの世界の人間に聞いてもわからなかったので、今日をヨハン暦の始まりと勝手に決めることにした。
人間を統べる国王になる予定の4人が言ってるんだからいいよね?
私は北の水王龍との交易で栄えるべく北の領地を貰う。
厨二は風王龍との交易のために東、グータラ娘は南の地王龍との交易で南。
スケコマシは「旅の間に綺麗な子が多かった!」という理由で西の領地へとすんなり決定して各々1年後に中央で集まる約束をして方々へ散った。
「これってかなりヤバイ日記なんじゃねぇのか・・・?」
金貨50枚を思わず500万って言ったのに平然と受け答えたし・・・あの包帯露天商が勇者だったのか・・・?
この先は当たり障りの無い建国の苦労話や愚痴が続いている。
女神暦1年1月1日
全員で1年ぶりに中央の掘っ立て小屋に再会して、苦労話を肴に祝杯を上げていたら、糞ババ・・・女神がやってきた。
「ヨハンの使いでやってきました。」
とか言って現れたけど、うさんくさかったのよ!スケコマシは美人の女神を見て即答で受け入れるし、他の2人もすぐに信じてるし!
女神と3人に説得されて、魂の制約?とかいうの受けた途端に女神の様子が豹変して「ちっ!家畜同然の種族が疑り深すぎなんだよ!」と誰にも見えない所で私に唾を吐いてきやがって!!
あー思い出しただけでもむかつくぅぅぅぅ!
それにしても3人は簡単に懐柔されやがって!
私がどげんかせんといけん!
それで?スケコマシはダンジョン管理、厨二野郎はギルドを使って人間の管理、グータラ娘は女神教とかいうよくわかんない宗教のマスコットで?
私は?『空間魔法』を駆使して伝令!?ふざけんな!
しかも中央の土地には女神教の総本部の教会を作れだ?お前が作れっつーの!
そんなの関係ねぇ!はいオッパッピー!つってやめれたらどれだけ楽だろう・・・
魂の制約のせいで女神の取決めに逆らったら死んでしまう・・・見た目は6年前から変わってないし、寿命は長いみたいだし。いつか復讐できる日を待つ事にするわ・・・
日付も今日から不本意ながら女神暦とする!!不本意だが!
「なんか微妙に古い流行語がちょいちょい出てくんな・・・」
その後は女神教を広めるために不本意ながらも働いたようだ。
「あれ?終わり?」
女神暦2年目の12月31日から白紙になっていた。
ぱらぱらと捲って行くと最後のページに何か書かれていた。
げんきなからだがあるのに、1000年も生きると心、精神が全員やられてしまうんだなと実感する。
とにかく、やっとこさヨハンからの希望が見えた。
でもみんなは1000年の生に飽き飽きしているようだ・
まじわる事のない線のように私の気持ちとすれ違う。
つまり何が言いたいかと言うと、未だに復讐を忘れないその一点だ。
「なんだこれ?」
謎の文章が書いてある。
「このページだけインクが新しい?」
ページからインクの匂いがする。
「よし!」
叡斗は宿の部屋を出て、宿で昼御飯を食べて図書館へ行く。
「女神暦1年の×月××日に水龍王と対決・・・あった!」
図書館についた叡斗は歴史書と日記の出来事を照らし合わせて行く。
「他の出来事も歴史書とばっちりあうな・・・」
歴史書との矛盾は一切見当たらない。
叡斗は宿に戻り、京平の元へ転移する
「どうしたの叡斗さん?」
玉座の間にいた京平が言う
「京平?これ見てくれるか?」
京平がぺらぺらと日記を捲る
「これは・・・本物?」
「わからん!ただ金貨50枚で怪しい人が売ってた。」
「よく買ったね?」
「色々あってな?メイサが選んだって言われて買わされたんだ。」
「にしても1000年前の日記にしては綺麗すぎない?」
「『空間魔法』使えるみたいだから空間収納に入れてたんじゃね?」
「確かに!それなら不思議は無いね!」
京平が日記を隅々まで観察して納得する
「この日記どう思う?図書館で調べたけど内容に矛盾は見つからなかったよ?」
「これが本当なら女神の魔王は味方だね?」
「ヨハンの召喚者って書いてあるしな?」
「女神の召喚者が語ってる可能性もあるよね?」
「それを言ってたらきりがねぇよ!」
「だけど疑わないと騙されたら僕達は終わりだよ?」
「セバスチャン原初なんだろ?どうなんだ?」
叡斗がセバスチャンに尋ねる
「ホッホッホッ!私が東を平定して山脈を穿ち西へ向かう際に風王龍が立ちはだかって、「ここから西は我とヨハンの使者が請け負う」と言ったので戻りましたがね?」
「なら行き先は・・・?」
「そうだな!急いでアラブタニア帝国に言って風王龍に会わないとだな?」
「叡斗さんがんばってるみたいだし、そこまで急がなくてもいいんじゃない?」
「どした?いつもなら尻を叩いてくるのに珍しいな?」
「危険すぎるよ・・・猶予は増えてるでしょ?」
「そう信じたいがな?」
「京平様?」
本を見ながらセバスチャンが言う
「どうした?」
「最後のページ・・・頭を縦読みするとゲントで待つになりますが偶然でしょうか?」
「なんだって?」
セバスチャンの言う通り方眼紙に書かれた文章はそう書かれていた。
「偶然かい?」
「偶然で片付けられるか?」
「いや・・・でも叡斗さん慎重に行くべきだ!」
「そうだな!風王龍に会いに行って確かめる!」
「風王龍が信用に足ると?」
「京平は疑り深いな!セバスチャンどう思う?」
「はい叡斗様、龍はヨハン様に作られた原初の魔族でございますので、ヨハン様に関しては間違いないかと。」
「ふむ・・・」
京平が顎を触りながら考え込む
「どうした?」
「作戦変更するべきかもね?」
「ん?」
「この日記が本当ならヒトを治める魔王も龍もヨハンの味方だから・・・」
「日記が本当ならな?やっぱり風王龍に会ってみるか。」
「叡斗さん危険だよ?」
「危険を冒さないと時間が無いだろう?」
「そうだね・・・この日記預かっても?」
「いいけどどうするんだ?」
「不死王に見せて矛盾が無いか調べてもらうよ。」
「了解だ!きっちり調べてくれよ?」
「勿論だよ!これが本物なら計画が全部変わるしね?」
「そうだな・・・」
「魔王達が味方になってくれればダンジョンを攻略して・・・なんて事しなくて良くなるね?」
「そうだな!ダンジョンを踏破って大変だもんな・・・」
「僕もこれでオーバーフローに備えて魔素を貯めなくてよくなるかもしれないな。」
「そんな事してたの!?」
「オーバーフローってとんでもない魔素が必要なんだよ?」
「言われてみればそうか。」
「じゃあいい時間だし叡斗さんご飯食べるでしょ?」
「食べる!おいしいやつ食べる!」
「部屋に用意してるよ?」
「ありがとね!」
叡斗がスキップで魔王城の叡斗の部屋に向かって行く
「あの人は本当にとんでもない物を持ってくるね?」
「本物なら女神との対決が近いものになりますな?ホッホッホッ」
「どっちにしろ、最終的には対決する事になってたろうけど早すぎる・・・」
「叡斗様なら何かやってくれそうな期待をしてしまいますな!」
「そうだね・・・じゃあ僕は不死王のところに行ってくるよ!」
「かしこまりました。私は叡斗様のお世話を。」
セバスチャンがうやうやしく礼をして、京平を見送る
「なぁセバスチャン?」
「なんでしょうか?」
「なんかこの部屋臭くない?」
叡斗が魔王城の自分の部屋で顔を顰めている。
「ふむ・・・久々に呼吸しましたが、カビの臭いでしょうか?」
「普段呼吸してないのかよ!?」
「呼吸は空気中の魔素を取り込むためにするものなので。」
「魔王城なら供給されるから必要ないのか・・・」
「左様でございます。」
「このタンスだな・・・」
叡斗が魔王城を出発した時にはなかった、タンスが2つ並んでいる。
「それはメイサが京平様に嘆願して造って頂いた一品です。」
「ふーん・・・俺の服・・・他の段も!?」
タンスいっぱいに叡斗の服が畳んで入っており、全てが洗われた様子はなく、所々にカビが生えていた。
「これは叡斗様のお召し物ですかな?」
「いつもメイサが洗ってくれてると思ってたのに・・・」
「メイサは叡斗様といる時だけは呼吸をしておりますからな。」
「えい!」
叡斗がタンスに向かってヘルフレイムを放ち、タンスが跡形もなく燃えて、黒く焦げた壁と床が元に戻って行く。
「セバスチャン?ここには何も無かった、いいね?」
「では御食事に致しましょう!」
「ありがとうセバスチャン。」
セバスチャンが何事もなかったように、椅子を引いて食事を促してくれる、所作も気遣いも完璧な執事だ。
ご飯を食べ終え、玉座の間に戻ると、京平と法衣を着た骸骨ノーライフキングが頭を突き合わせていた。
「ノーライフキングさんお久しぶりです。」
「おぉ!叡斗殿久しぶりである!」
「俺もメイサもお世話になりっぱなしです。」
「某の知識が役に立っているようで重畳である!」
「それで?何を話してたんですか?」
「おぉ!この日記に書いてある魂の制約は神の解呪で解呪出来ると思うのである!」
「え?なんで?」
「魂の制約は見るに『呪魔法』の一種だと思うのである。」
「メイサが制約の魔法って言ってたな。」
「そうである!魔法神ヨハンの魔法、神の解呪なら効く可能性は高いのである!」
「それを聞けたのは僥倖だな!で?日記の中身はどうだろう?」
「魔王殿と拝見したが今の所、矛盾は見当たらないのである!」
「京平?どう思う?」
「今まで不死王は間違った事ないからね・・・」
「なら決定だ!ウラジール・アメリアを抜けて帝国に行くぞ?」
「叡斗さん死なないでよ?」
「魔王殿!叡斗殿が某の魔法を使いこなせば、大陸も沈められるである!」
ノーライフキングがカタカタと音を立てて笑う
「死なないための準備をしないとな?」
「準備?」
「京平手伝ってくれるか?」
「それは勿論!」
「じゃあ早速!」
「待つのである!!」
ノーライフキングが声を張って言う
「どうしたの?」
叡斗が聞くと
「某の昔話をするである!」
「昔話?」
「うむ!魔族になる以前は某は人間だったはずである!」
「だった・・・はず?」
「生前と言うのも可笑しいが知識は残っているのだが、記憶が無いのである!」
「どんな人間だったのか知らないのか?」
「そうである!で・・・日記には「魔物を管理させ終え」とあるのである!」
「魔物を管理させ・・・あ!4人の勇者は魔族を?」
「んむ!おそらく作れるのである!某の目覚めは膨大な知識と共に眼帯の男の目の前で目覚めたのである!」
「その時に不死王に?」
「その時はレイス・・・スケルトンの上位存在だったのである!」
「そこから最上位まで進化したのか?」
「魔法は使えましたのでな?襲ってくる者を倒していて気付いたら進化してたのである!」
「さすがはノーライフキングだな・・・」
「某はこれでも強いのでな?」
「知っとるわ!」
「カッカッカッ」
ノーライフキングがカタカタと全身を震わして笑う
「時間を使わせて申し訳なかった!今言っておかなければいけない気がしたである!」
「あんたの事だ!いつか絶対に役に立つだろうよ?」
「そう言って頂ければ幸いである!では実験もしたいが日記が気になるので失礼するである!」
日記を持ったノーライフキングが転移して消える
「京平!行こうか?」
「不死王は意味深な事いうよね?」
「気にしてもしょうがない!今出来る事をするぞ?」
「何をすんの?」
「京平じゃないと手伝えない事だ!」
「さっさと全部話せよおっさん!」
「この辛辣具合・・・久々だ行くぞ!」
「もうわかったよ・・・行こう!」
叡斗と京平が魔王城の闘技場へと向かう。




